注目のポイント
Google検索が、検索結果内の外部サイトへのリンクを「google.com/goto」というリダイレクトURLに置き換える方式を本格展開しました。これにより、検索結果のHTMLソースから直接URLを読み取ることができなくなり、GRCやAhrefsなどの順位計測ツールは各リンクを個別にリクエストして遷移先を確認する必要が生じます。Googleは「不正利用からサービスとユーザーを守る措置」と説明しており、SEOツールやAI企業によるスクレイピングを技術的に締め出す動きと見られています。
何が起きたのか?
2026年7月からテストされていた「google.com/goto」パラメータが、ほぼ100%のロールアウトに達したことがNozzle社のDerek Perkins氏によって確認されました。Googleも公式に展開を認め、「不正利用に対する技術的措置を定期的に講じている」と説明しています。
具体的には、Google検索結果に表示される外部サイトへのリンクが、従来の直接URL(例:https://example.com/page)から google.com/goto?暗号化トークン というリダイレクトURLに変更されています。
| 従来 | goto導入後 | |
|---|---|---|
| HTMLソース上のリンク | href=”https://example.com/page” | href=”google.com/goto?token=xxxx” |
| URLの特定方法 | HTMLをパースするだけで分かる | 各gotoリンクにGETリクエストを送り、リダイレクト先のLocationヘッダーを読む必要がある |
| 1ページ取得に必要なリクエスト数 | 1回(HTML取得のみ) | 1回 + リンク数分のリクエスト(数十回) |
ポイントは、gotoのトークンが毎回変わる使い捨てのセッション紐づきIDであるため、一度対応表を作って使い回すことができない点です。検索するたびに同じURLでも異なるトークンが生成されるため、毎回リクエストして確認するしかありません。
順位計測ツールはなぜ困るのか?
順位計測ツール(GRC、Ahrefs、SEMrush、Nozzleなど)は、特定のキーワードで検索した結果の1位から50位まで、「どのドメインのどのURLが何位にいるか」を全件記録することで価値を提供しています。自サイトの順位だけでなく、競合の動きを含めたSERP全体の情報が商品です。
従来は検索結果5ページ分のHTMLを5回取得すれば、50件のURL全てがHTMLの中に直接記載されていたため、テキスト解析だけで完了していました。
goto導入後は、5ページ分のHTML取得(5回) + 各ページのリンクを個別に確認(サイトリンク等を含めると1ページあたり数十本) = 合計で数百回のリクエストがGoogleのサーバーに対して必要になります。
リクエスト数が増えること自体も問題ですが、最大の問題は「短時間にgotoリンクを大量に叩く」というアクセスパターンがボットとして非常に検知しやすい点です。従来はHTML1回取得するだけだったため、一般ユーザーのアクセスと見分けがつきにくかった。今回の変更でスクレイパーの行動パターンが明確になり、Googleがブロックしやすくなりました。
なお、gotoリンクを辿る際はHTTPリクエストのLocationヘッダーだけを読んで止まるため、リダイレクト先の外部サイトには実際にはアクセスしません。増えるリクエストはすべてGoogleのサーバーに対してのものです。
一般のサイト運営者への影響は?
結論から言えば、直接的な影響はほぼありません。
自分のサイトの順位を確認したいだけなら、Search Consoleでクエリ別の平均掲載順位が確認できます。AI Overviews経由のクリックやAIモードからの流入もSearch Consoleで確認可能になっています。
影響があるのは以下のようなケースです。
- 使っている順位計測ツールの精度が低下する可能性
- ツールの利用料金が値上がりする可能性(事業者のコスト増加分の転嫁)
- 競合分析ツールの提供データが今後制限される可能性
ただし、SerpApiはすでに対策済みと発表しており、主要なSEOツール事業者も順次対応してくると見られます。ツール側の対応速度次第では、エンドユーザーが気づかないうちに解決している可能性もあります。
Googleが本当に言いたいこと
筆者がこの動きを見て感じるのは、goto導入はSEOツール対策という表面的な話だけでなく、もっと大きなメッセージが含まれているのではないかということです。
Googleの立場を整理すると、自分のサイトの順位はSearch Consoleで見れる。では、サードパーティの順位計測ツールで何を見たいのかと言えば、「競合が何位にいるか」です。
そして競合順位を見て何をするかと言えば、多くの場合「上位表示されているコンテンツを参考にして、自分も同じようなコンテンツを作る」ことです。特にAIの登場以降、競合コンテンツをスクレイピングして分析し、それを元にAI生成で大量のSEO記事を量産するワークフローが広がっています。Googleが潰したいのは、おそらくこの流れそのものです。
つまりGoogleのメッセージは、「検索結果をスクレイピングして競合の真似をするな。自分の専門性で独自の価値を出せ」ということではないでしょうか。goto導入はSEOツール事業者への技術的対策であると同時に、スクレイピングベースのコンテンツ戦略そのものに対する間接的なメッセージとも読めます。
今後の展開
技術的にはいたちごっこが続くと見られます。ツール事業者は住宅用IPプロキシの利用、アクセス間隔のランダム化、分散サーバーの活用などで対抗するでしょう。実際にSerpApiはすでに対策済みと発表しています。
しかし注目すべきは、Googleが技術的対策だけでなく、SerpApiに対する訴訟という法的措置も並行して進めている点です。「技術ブロック+法的措置」の二段構えで、スクレイピングを根本から封じようとしています。
AI OverviewsやAIモードのリンクもgoto対象になる可能性が高く、AI検索時代の引用元トラッキングにも影響が出るかもしれません。Search ConsoleではAI Overviews経由のデータは一部確認できるようになっていますが、クエリ単位での引用状況までは公式ツールでは追えない部分が残っています。ここは「公式にデータ提供しないが、勝手に取るのも許さない」というGoogleの姿勢がどこまで続くか、という話になってきます。
最後に
google.com/goto の本格展開は、順位計測ツール事業者にとっては大きな逆風ですが、一般のサイト運営者にとっては直接的な影響は限定的です。
ただし、この動きの本質は「SEOツール対策」という技術的な話を超えて、「検索結果を分析して真似るコンテンツ戦略はもう通用しない」というGoogleからのメッセージだと筆者は捉えています。競合の順位を追いかけてコンテンツを作るのではなく、自社の専門性に基づいた独自の情報発信にリソースを振り向けるべきタイミングが来ているのかもしれません。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。





