注目のポイント
P-MAXキャンペーンに「チャンネル優先度コントロール」機能がアルファテストされていることが確認されました。Search、YouTube、Display、Discover、Gmail、Mapsの各チャンネルに対して、プラスまたはマイナスの調整を加えることで、アルゴリズムがどのチャンネルを優先するかに影響を与えられるようになります。これは予算の配分比率を指定するものではなく、チャンネルごとのCPA許容度を調整する仕組みです。まだアルファ版ですが、正式リリースされればP-MAX運用の大きな転換点になります。
チャンネル優先度コントロールとは何か?
P-MAXの設定画面に、新たに「Channels」という項目がテストされています。各チャンネル(Search、YouTube、Display、Discover、Gmail、Maps)に対して、プラスまたはマイナスの調整を加えることができます。
プラス調整をすると、そのチャンネルで許容するCPAが緩和され、アルゴリズムがそのチャンネルにより積極的にコンバージョンを追いかけるようになります。マイナス調整をすると、CPAの許容度が厳しくなり、そのチャンネルへの配信が抑制されます。
現時点ではアルファテストの段階で、一部の広告主のアカウントで確認されている状態です。Googleからの公式発表はまだありません。

参照元:Google tests channel prioritization controls for Performance Max(Search Engine Land、2026年8月25日)
予算配分とは何が違うのか?
ここが最も重要なポイントです。この機能は「チャンネルごとに予算を割り振る」ものではありません。
| 予算配分(これはできない) | チャンネル優先度コントロール(今回の機能) | |
|---|---|---|
| 操作イメージ | 月10万円のうちSearchに5万、Displayに3万、YouTubeに2万と割り振る | Searchをプラス調整、Displayをマイナス調整する |
| 仕組み | チャンネルごとに固定の予算枠を設定 | チャンネルごとのCPA許容度を上下させ、アルゴリズムの優先判断に影響を与える |
| アルゴリズムの自由度 | 枠内でしか動けない | 調整の方向性を示しつつ、最終判断はアルゴリズムに委ねる |
つまり、「Searchにもっと寄せたい」「Displayを減らしたい」という方向性をアルゴリズムに伝える仕組みであり、予算のアロケーションツールではありません。Googleの既存ドキュメントでも、P-MAXでは広告主がチャンネルごとの予算配分を直接コントロールすることはできないと明記されており、この点は今回の機能でも変わりません。
可視化からコントロールへ:P-MAXの進化
この機能が出てきた文脈を理解するには、P-MAXがこれまでたどってきた流れを見る必要があります。
ステップ1:チャンネル別レポートの追加(可視化)
まず、Googleはチャンネル別のパフォーマンスレポートを導入しました。これにより、P-MAXの予算がSearch、YouTube、Display、Discoverなどのどこに使われているかが可視化されるようになりました。
ステップ2:チャンネル優先度コントロール(今回の機能)
可視化で「どこに使われているか」が分かるようになった次のステップとして、「その配分に対して方向性を示す」機能が追加されつつあります。
筆者の感覚では、この流れは非常に大きな意味を持っています。チャンネル別レポートが出た時点で、「次はコントロールが来るだろう」と予想していた方も多いと思いますが、実際にアルファテストとして確認されたことで、その方向性がほぼ確定したと言えます。
参照元:Google begins rolling out Performance Max channel performance reporting(Search Engine Land)
なぜこれが「めちゃくちゃ大きい」のか
P-MAXはローンチ以来、ブラックボックスであることへの批判を受け続けてきました。アセット、オーディエンスシグナル、検索テーマ、コンバージョン値データなどで間接的に影響を与えることはできましたが、「どのチャンネルに配信するか」に直接的なレバーを持つことはできませんでした。
P-MAXのブラックボックスを推奨する声も業界には多かったものの、クライアント側から見るとマーケティングに求められるのは再現性です。「なぜこのチャンネルに予算が使われたのか」「次も同じ結果を出せるのか」を説明できなければ、代理店もインハウスも運用の継続判断が難しくなります。
今回のチャンネル優先度コントロールは、そうした声に対するGoogleの回答と言えます。完全なコントロールではありませんが、「方向性を示す」ことができるだけでも、運用者にとっての説明可能性は大きく向上します。
正式リリースされれば、P-MAXの導入ハードルは確実に下がると筆者は考えています。「ブラックボックスだから使いにくい」という最大の反論に対して、具体的なコントロール手段を持って応えられるようになるからです。
注意点:アトリビューションの罠
ただし、チャンネル別のCPAだけを見てプラスマイナスを判断するのは危険です。
例えば、あるユーザーがYouTube広告で商品を認知し、その後Google検索経由でコンバージョンした場合、ラストタッチのアトリビューションではSearchにコンバージョンが紐づき、YouTubeの貢献は見えません。
YouTubeのCPAが高いからといってマイナス調整をかけると、実は上流の認知獲得を削ってしまい、結果としてSearch経由のコンバージョンも減少する可能性があります。
チャンネル優先度コントロールを使う際は、各チャンネルの直接的なCPAだけでなく、カスタマージャーニー全体における役割を理解した上で調整を行うことが重要です。
最後に
P-MAXのチャンネル優先度コントロールは、まだアルファテストの段階ですが、正式リリースされればP-MAX運用における最も大きなコントロール手段の一つになるでしょう。可視化(チャンネル別レポート)→ コントロール(チャンネル優先度調整)という流れは、P-MAXが「完全自動」から「ガイド付き自動化」へ進化していることを示しています。
ブラックボックスであることを理由にP-MAXの導入を見送っていた広告主にとっても、再検討のタイミングが近づいています。正式リリースの発表があり次第、改めて詳細を追記する予定です。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。



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