注目のポイント
2026年9月30日、Google広告のアルコールに関するポリシーが改訂されます。今回の更新では、国別ガイドラインが改訂され広告掲載が許可される地域が拡大されるほか、「アルコールの無責任な宣伝」に関するポリシーが厳格化され、違反するとアカウント停止の可能性があります。また、ノンアルコール飲料広告のみ許可されている地域をターゲットとする広告主は、9月30日に既存の許可がすべて取り消されるため、事前に再認定の申請が必要です。アルコール関連の広告を出稿している広告主は、9月30日までにポリシーの確認と対応を完了させる必要があります。
何が変わるのか?
今回の更新は大きく3つのポイントに分かれます。
1. グローバルフレームワークの統一化
これまで国別に個別のガイドラインが設けられていたアルコール広告ポリシーが、より統一的なグローバルフレームワークに移行します。この結果、広告掲載が許可される地域が拡大されます。
ポリシーの構造も整理され、「アルコール販売(Alcohol sale)」「アルコール情報(Alcohol information)」「アルコールの無責任な宣伝(Irresponsible alcohol advertising)」の3カテゴリに明確化されました。
2. 「アルコールの無責任な宣伝」ポリシーの改訂
今回最も注意すべき変更点です。「Irresponsible alcohol advertising」のカテゴリが改訂され、このポリシーに違反した場合、アカウント停止の可能性があることが明記されました。違反時は停止の7日前に警告が出されますが、アカウント停止は広告運用において致命的です。アルコール関連の広告を出稿している場合、改訂後のポリシー内容を必ず確認してください。
3. ノンアルコール飲料広告の再認定
ノンアルコール飲料広告のみが許可されている地域をターゲットとする広告主は、9月30日にそれまでのすべての許可が取り消されます。事前に再認定を申請しないと、9月30日以降の広告配信が停止します。ポリシーのプレビューページから申請フォームにアクセスできます。
参照元:Alcohol – Advertising Policies Help(Google 広告ポリシーヘルプ)
「アルコールの無責任な宣伝」とは何か?
今回の改訂で特に注目すべき「Irresponsible alcohol advertising(アルコールの無責任な宣伝)」とは、有害・違法な飲酒を促進するコンテンツを禁止するポリシーです。具体的に以下の表現が禁止されています。
| 禁止事項 | 具体例 |
|---|---|
| 未成年ターゲティング | ターゲット地域の法定飲酒年齢未満のユーザーに広告を配信すること |
| 社会的・性的・知的地位の向上を示唆 | 「飲めば人気者になれる」「仕事ができるようになる」といった訴求 |
| 健康・治療効果の示唆 | 「ワインを毎日飲めば医者いらず(A wine a day keeps the doctor away)」のような表現 |
| 過度な飲酒の好意的描写 | 一気飲みや飲み比べの描写 |
| 飲酒運転の描写 | 飲酒しながら車両や機械を操作するシーン |
| 注意力が必要な作業中の飲酒描写 | 飲酒しながら集中力や器用さが求められる作業を行うシーン |
Googleが具体例として挙げている「A wine a day keeps the doctor away」は分かりやすい例ですが、広告コピーの中でこうした示唆が暗に含まれていないかは注意が必要です。「リラックスしたい夜に」程度の訴求であっても、文脈次第では治療効果の示唆と判断される可能性はゼロではありません。
参照元:Irresponsible alcohol advertising – Advertising Policies Help(Google 広告ポリシーヘルプ)
日本のアルコール広告規制から見ると、これは当然の流れ
筆者がこのポリシー改訂を見て最初に思ったのは、「日本のテレビCMではとっくにここまで来ている」ということです。
日本では「飲酒に関する連絡協議会」(ビール酒造組合など9団体で構成)が酒類広告の自主基準を策定しており、テレビCMにおけるアルコール広告は非常に厳しい規制下にあります。具体的には以下のようなルールがあります。
- テレビ広告で喉元を通る「ゴクゴク」「グビグビ」「ゴックン」などの効果音は使用禁止(飲んだ後の「プハー」はOK)
- お酒を飲むシーンで喉元アップの描写は禁止
- 25歳未満のタレントをモデルに起用できない(25歳以上でも25歳未満に見える表現はNG)
- テレビ広告の放映は午前5時〜午後6時は禁止
- アニメキャラクターの使用禁止
ビールのCMを思い出してみてください。最近のCMでは、タレントがグラスを傾けて一口飲み、「うまい!」と言うだけの構成がほとんどです。かつてのように喉を鳴らしてゴクゴク飲む、いわゆる「シズル感」たっぷりのCMは2016年の自主規制強化以降、姿を消しました。
さらに2026年7月には自主基準が改正され、酒類容器への純アルコール量の表示や、テレビ広告における注意表示の視認性向上が義務化されています。
つまり日本のテレビ広告では、とっくに「飲酒を煽る表現」から「飲酒の実態を透明化する表現」へとシフトしています。Google広告のポリシー改訂は、このグローバルな流れにデジタル広告も本格的に合わせてきたと見るべきでしょう。
参照元:ゴクゴクCMが消える! 基本法の成果 第1号(NPO法人ASK)
移行期間中の注意点
9月30日のポリシー適用に伴い、移行期間中は以下の点に注意が必要です。
広告に複数ラベルが表示される場合がある
フレームワーク移行中の技術的な現象として、広告に複数のラベルが同時に表示されることがあります。これは広告配信には影響せず、変更後数週間で自動的に解消されるとGoogleは説明しています。
改訂ポリシーのプレビューは公開中
改訂されたポリシーの文言は現在プレビューとして公開されています。9月30日に既存のアルコールに関するポリシー記事に正式に置き換えられる予定です。移行前に、自社の商品タイプとターゲット地域に関連する基準を確認しておくことが推奨されています。
最後に
今回のGoogle広告アルコールポリシー改訂は、広告掲載可能地域の拡大というポジティブな面と、「無責任な宣伝」への規制強化というコンプライアンス面の両方を含んでいます。
特にアルコール関連の広告を出稿している広告主は、9月30日までに以下を確認してください。
- 自社の広告コピーやクリエイティブが「Irresponsible alcohol advertising」に該当しないか
- ノンアルコール飲料広告のみ許可されている地域をターゲットにしている場合、再認定の申請が済んでいるか
- ターゲット地域が新しいフレームワークでどのカテゴリに分類されるか
筆者の感覚では、日本のテレビCM業界が経験してきた自主規制の強化と同じ流れが、デジタル広告にも本格的に到来しています。「ゴクゴク音が消えた」テレビCMの世界を見てきた広告運用者にとっては、Google広告のこの動きも想定内かもしれません。ただし、デジタル広告の場合はポリシー違反がアカウント停止に直結するため、テレビCMの自主規制とはリスクの質が異なります。早めの確認・対応をおすすめします。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。





