注目のポイント
ショッピングキャンペーンのAI最大化設定を実際の案件に入れて、導入の前後を比べました。2本のキャンペーンで共通して起きたのは、表示回数が約2割減り、クリック率が上がり、CPCが下がり、コンバージョン率が下がる、という動きです。片方のキャンペーンはクリック率が+174.3%、CPCが−75.8%、その裏でコンバージョン率が−50.7%でした。コンバージョン数はほぼ横ばいで、費用が下がったぶん効率は改善の方向です。クリック率とCPCの改善だけを見て判断すると読み違えます。導入後3日間の数字なので、確定した結論ではありません。案件が特定されないよう、業種とブランドは伏せ、費用の実額は出していません。
何をどう比べたのか?
ダイレクト通販のEC案件で動いているショッピングキャンペーン2本が対象です。どちらも入札は目標広告費用対効果で、導入のタイミング以外は設定を変えていません。
- 導入日:2026年10月8日(木)
- 導入後:10月8日〜10日の3日間
- 主な比較対象:前週の同じ曜日(10月1日〜3日・木金土)
- 補助の比較対象:導入前37日間(9月1日〜10月7日)の日平均
導入直後は期間の平均どうしで比べると曜日の偏りが混ざるため、前週の同じ曜日を主な比較対象にしています。
クリック率とCPCはどう動いたのか?
どちらのキャンペーンもクリック率が上がり、CPCが下がりました。ただし動いた幅がまるで違います。

キャンペーンA
| 指標 | 前週同曜日 | 導入後 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 表示回数(日平均) | 237,686 | 193,001 | −18.8% |
| クリック率 | 1.25% | 1.64% | +31.1% |
| CPC | 21.6円 | 17.4円 | −19.5% |
| コンバージョン率 | 0.97% | 0.85% | −12.8% |
キャンペーンB
| 指標 | 前週同曜日 | 導入後 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 表示回数(日平均) | 25,716 | 20,788 | −19.2% |
| クリック率 | 1.08% | 2.96% | +174.3% |
| CPC | 295.8円 | 71.6円 | −75.8% |
| コンバージョン率 | 5.42% | 2.67% | −50.7% |
表示回数が約2割減っているのに、クリック数は増えています。出る回数を絞って、クリックされやすい面に寄せた動きです。
コンバージョン数は増えたのか?
コンバージョン率は両方とも下がりましたが、コンバージョン数はほぼ横ばいです。
| キャンペーン | 前週同曜日比 | 導入前37日平均比 |
|---|---|---|
| キャンペーンA | −7.2% | +1.0% |
| キャンペーンB | +9.3% | +4.9% |
費用(日平均)は前週同曜日比で、キャンペーンAが−14.3%、キャンペーンBが−46.3%です。コンバージョン数がほぼ変わらないまま費用が下がっているので、効率としては改善の方向に出ています。
ただし直近日のコンバージョンは計測が遅れて後から増えることがあります。3日目の数字は、来週になるともう少し積み上がる可能性があります。
日別で見るとどうなっているのか?
クリック率を日別で並べると、導入日からの動き方がはっきり出ます。

導入前はどちらも1.0〜1.4%の狭い範囲で動いていました。導入後はキャンペーンBが1日目1.99%、2日目2.60%、3日目4.25%と日を追って上がっています。キャンペーンAも3日目に2.29%まで上がりました。
初日から一気に変わるのではなく、日を追って振れ幅が大きくなっていくのが特徴です。学習が進むにつれて配信面が入れ替わっている、という読み方ができます。
この3日間をどう読むか?
筆者の見立てとしては、AI最大化設定は「表示を絞って、クリックされやすい面に寄せる」動きをしています。クリック率が上がってCPCが下がるのは、その結果です。
そしてコンバージョン率が下がるのは、その裏返しです。安いクリックを多く拾えば、1クリックあたりの確度は下がります。クリック率とCPCの改善は、質の低下とセットで出てきます。
見るべきなのはコンバージョン数と費用です。今回はコンバージョン数が横ばいで費用が下がったので、現時点では悪くない結果です。CPCの元が高い商材ほど、下がり幅は大きく出ます。
導入するときの進め方
3日では判断できません。筆者が置いている進め方は次のとおりです。
- 最低2週間は回す。曜日差と計測の遅れを吸収するため
- 比較は前週の同じ曜日で見る。期間平均どうしだと曜日が混ざる
- 「商品のタイトル」レポートを開いて、書き換えが効いている商品と落ちている商品を分ける
- CPCが大きく下がったキャンペーンは、検索語句レポートでどこに出ているかを確認する
- コンバージョン率の低下幅が、費用の低下幅を上回ったら止める
参考:ショッピングのAI最大化設定が管理画面に登場|AIが書き換えた商品タイトルを元タイトルと並べて検証できる
最後に
3日間の実データで分かったことは3つです。①表示回数は約2割減る ②クリック率は上がりCPCは下がる ③コンバージョン率はその分下がり、コンバージョン数は横ばい
管理画面を開いてクリック率とCPCだけを見ると「効いた」と判断してしまいます。そこで止めずに、コンバージョン数と費用まで並べて見てください。数字が落ち着くのはこれからなので、2週間たったところで同じ比較をやり直す予定です。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。





