注目のポイント
総務省統計局の「サービス産業動態統計調査」によると、2026年5月の広告業売上高は7,409億円(740,923百万円)で前年同月比+1.1%となりました。5ヶ月連続のプラス成長を維持しており、2026年1〜5月の累計売上高は約4兆2,793億円(前年同期比+2.1%)と堅調に推移しています。電通「2025年 日本の広告費」のインターネット広告構成比(50.2%)を適用すると、5月のインターネット広告費は約3,719億円と推計されます。
2025年からの総務省統計データ使用における注意点
2025年1月分から、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」に代わり、総務省統計局の「サービス産業動態統計調査」のデータを使用しています。この統計では「広告業」というカテゴリにテレビ・新聞・ラジオ・雑誌の4マス媒体とインターネット広告が一緒に含まれています。インターネット広告費の純粋な推移を追うことが難しくなっている点にご留意ください。
広告業の月間売上高(百万円)と前年同月比(2025年1月〜2026年5月)
| 2026年 | 2025年 | 前年同月比 | |
|---|---|---|---|
| 1月 | 791,077 | 780,461 | +1.4% |
| 2月 | 779,646 | 746,145 | +4.5% |
| 3月 | 1,158,831(p) | 1,145,831 | +1.1% |
| 4月 | 808,775(p) | 784,278 | +3.1% |
| 5月 | 740,923(p) | 732,882 | +1.1% |
| 6月 | – | 798,906 | – |
| 7月 | – | 796,407 | – |
| 8月 | – | 756,642 | – |
| 9月 | – | 885,573 | – |
| 10月 | – | 811,993 | – |
| 11月 | – | 845,394 | – |
| 12月 | – | 950,056 | – |
2026年5月の広告業売上高は740,923百万円(約7,409億円)で、前年同月比+1.1%となりました。
5月は年間で最も売上が低くなりやすい月です。4月の年度初め案件が一巡し、夏商戦に向けた広告投資が本格化する前の端境期にあたるためです。それでも前年を上回っており、広告市場の底堅さが確認できます。
2026年1〜5月の累計売上高は4,279,252百万円(約4兆2,793億円)で、前年同期の4,189,597百万円(約4兆1,896億円)から+2.1%の増加です。月別に見ると、2月の+4.5%と4月の+3.1%が成長を牽引している一方、1月・3月・5月は+1.1〜1.4%と小幅な伸びにとどまっています。
なお、3月・4月・5月のデータは速報値(p)であり、今後確報値に修正される可能性があります。今回の公表で2026年2月分が確報値に改定され、速報値の774,697百万円から779,646百万円へと上方修正されました。
参照元:サービス産業動態統計調査 結果の概要(総務省統計局、2026年7月24日公表)
2026年5月のインターネット広告費推計
電通「2025年 日本の広告費」によると、2025年のインターネット広告費は4兆459億円で、総広告費8兆623億円に占める構成比は50.2%です。この構成比を2026年5月の総務省データに適用すると、2026年5月のインターネット広告費は約3,719億円(371,943百万円)と推計されます。
| 2026年 | 2025年 | 前年同月比 | |
|---|---|---|---|
| 広告業売上高 | 7,409億円 | 7,329億円 | +1.1% |
| うちインターネット広告費(推計) | 3,719億円 | 3,679億円 | +1.1% |
ただし、この推計は年間の構成比を各月に一律で適用したものであり、月ごとの実際の構成比は季節要因や広告主の予算配分によって変動します。あくまで参考値としてご覧ください。
参照元:電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日発表)
下半期の注目材料——生成AI広告が起爆剤になるか
2026年前半の成長率は+1〜4%台で推移しており、2025年の+5〜12%と比べると明らかに踊り場に入っています。しかし、下半期にかけては広告市場を押し上げる新たな材料が揃いつつあります。
ChatGPT Adsの急速な広告プロダクト化
ChatGPT広告(ChatGPT Ads)は2026年に入って急速に機能拡充が進んでいます。oCPC入札、カルーセル広告、Conversions API、対象プラットフォーム選択など、広告運用に不可欠な機能が次々と実装されました。これまで「試験的に出稿する」段階だったChatGPT Adsが、本格的な広告予算を投下できるプラットフォームへと進化しつつあります。
広告主がChatGPT Adsへの予算配分を増やせば、それは従来の検索広告やディスプレイ広告の「リプレイス」ではなく、生成AIという新しい広告チャネルへの「純増」となる可能性が高いです。
Google AI モードへの広告表示
GoogleもAI Overviewに続き、AIモード(AI Mode)への広告表示を展開しています。検索クエリに対してAIが回答を生成するインターフェースに広告が表示されるようになれば、検索広告市場自体のパイが広がります。従来の検索結果ページでは広告枠に限りがありましたが、AIモードでは会話の文脈に応じた広告挿入が可能になるため、広告在庫の純増が期待されます。
下半期の広告費にどう効くか
筆者の見立てでは、これらの生成AI関連の広告在庫が本格的に売上高の数字に反映されてくるのは2026年下半期からです。ChatGPT AdsもGoogleのAIモード広告も、広告主の出稿テストが一巡し、効果検証を経て予算が本格配分されるまでには数ヶ月のタイムラグがあります。9月以降、前年比の伸び率が再加速するシナリオは十分にあり得るでしょう。
広告市場の成長ドライバーが「既存チャネルの最適化」から「生成AIという新規チャネルの創出」にシフトしつつあるというのが、2026年の最も重要なトレンドだと考えています。
最後に
2026年5月の+1.1%という結果は、成長率としては控えめですが、5月の季節性を考慮すれば堅調な数字と言えます。2026年は5ヶ月連続で前年同月を上回っており、累計ベースでも+2.1%と広告市場は安定した拡大基調にあります。
ただし、2025年の同時期(1〜5月累計+4.9%)と比較すると成長ペースは明らかに鈍化しています。2025年は前年(2024年)からの反動増やインターネット広告費の急拡大が追い風でしたが、2026年はその高い水準がベースとなるため、前年比で大きな伸びを出しにくい構造になっています。
一方で、ChatGPT AdsやGoogleのAIモード広告といった生成AI起点の新しい広告チャネルが下半期に本格化すれば、成長率の再加速が見込めます。今後は6月以降の数字で、生成AI広告の市場インパクトがどこまで数字に表れるかが注目ポイントです。次回の公表は2026年3月分の確報と6月分の速報が予定されています。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。





