注目のポイント
Google Adsが2026年10月30日に、検索のユーザー行動の調査結果を公開しました。AIモードでは検索クエリの長さが平均で3倍になり、6件に1件が音声か画像を使った検索になっています。人は検索用の言い回しをやめ、話し言葉のまま、自分の事情を添えて聞くようになりました。検索の回数が増えているのは結果に不満だからではなく、聞き直す手間がなくなったからだとGoogleは説明しています。この変化に対して、手で作ったキーワードのリストでは拾いきれません。Googleが挙げている対応策は、AI MaxとP-MAXの3つの機能です。ただし筆者は、ダイレクト通販の案件では入れる順番を間違えると取りこぼしが増えると見ています。
検索クエリはどのくらい長くなったのですか?
AIモードでは、平均で3倍の長さになっています。米国でのGoogle社内データです。

これまでは「携帯 エスプレッソマシン」のように、単語を2つ3つつないだ入力が中心でした。いまは「おいしいコーヒーが淹れられるエスプレッソマシンを教えて。キャンプや旅行に持っていきたいので、かばんに入る大きさがいい」のように、話し言葉のまま、自分の事情を添えて聞く形に変わっています。
さらに、AIモードの検索の6件に1件は、音声か画像を使った検索です。キーボードで文字を打つ以外の入り口が増えています。
参照元:What 3x longer searches mean for your ads(Google Ads・2026年10月30日)
検索の回数が増えたのは、結果に満足していないからですか?
Googleはそうではないと説明しています。
この調査を担当したのは、検索のデータサイエンスとユーザー調査を見ているShivani Mohan氏です。広告部門ではなく、検索そのものの部門に所属しています。
同氏によると、Googleのシステムは「手動の言い換え」、つまり最初の検索で意図が満たされず、ユーザーが自分で言い直すケースを、マイナスの評価として扱っています。いま検索回数が増えているのは、満足していないからではなく、深掘りする手間がなくなったからだという整理です。
これまでは「検索で引っかかる言い方」を考えてから入力していました。その手間がなくなったので、これまで検索しようとも思わなかった質問が投げられるようになった、ということです。
検索はどの段階で使われるようになったのですか?
購入を決める前の、調べ始めの段階に移ってきています。
会話型と、音声や画像を使った入力で手間が減った結果、検索は調べ始め、アイデア出し、比較検討の場になりつつあるとGoogleは説明しています。
ここで注意が必要なのが、サイト側の中身です。商品ページと申し込みページしか持っていないサイトは、この段階の人を取りこぼします。Googleが例として挙げているのは、解説記事、実際に使っている人の一次情報、使い方を見せる動画です。
キーワードのリストでは何が足りないのですか?
長い会話調のクエリは、完全一致やフレーズ一致のキーワードでは引っかかりません。Googleが挙げている対応は、次の3つの機能です。

このうち検索語句のマッチングは、裏で部分一致を使い、Geminiによるキーワードを使わないターゲティングを組み合わせたものです。入稿したキーワードと一言一句合わなくても、意味が近ければ拾いにいきます。
残る2つのテキストのカスタマイズと最終ページURLの拡張は、拾ったクエリに対して、広告文とランディングページの組み合わせをその場で作る機能です。
参照元:What 3x longer searches mean for your ads(Google Ads・2026年10月30日)
最終ページURLの拡張は入れたほうがいいのですか?
送る先のページが用意できているかどうかで変わります。ここは順番の問題です。
最終ページURLの拡張は、サイト内の関連するページへその場で振り分ける機能です。Googleの説明にある通り、調べ始めの段階のクエリを、商品ページではなく読み物やカテゴリーのページへ送るための機能です。
つまり、送る先の読み物がないサイトでこれを入れても、効果は出ません。それどころか、申し込みフォームや会社概要のような、広告の受け皿になっていないページへ送られる可能性があります。
筆者の運用経験では、ダイレクト通販のアカウントはランディングページ1枚で回していることが多く、この機能とは相性が悪い構成です。先に読み物のページを用意して、そこにコンバージョンへの導線を引いてから入れる。順番としてはそちらが先だと考えています。
なお、同じように「AIがリンク先を選ぶ」という仕組みは、ChatGPT広告でも10月30日からデフォルトでオンになりました。媒体をまたいで同じ方向に動いています。
日本の運用者は何から手をつければいいですか?
Googleが挙げている準備は、計測の整備です。
AI Maxが長く複雑なクエリに対して適切に入札するには、質の高いシグナルが必要になります。Googleが名指ししているのは、タグの整備と拡張コンバージョンの2つです。
- タグの整備:消えにくい形でタグを入れ、自社で持っているデータをGoogle広告に取り込める状態にする
- 拡張コンバージョン:フォームで取得したメールアドレスなどをハッシュ化して送り、計測できるコンバージョンを増やす
この順番が大事です。計測が整っていない状態でAI Maxを入れると、広い範囲に配信が広がる一方で、どれが効いているのかを返せないため、入札の学習が進みません。広げる前に、まず返すものを揃える、ということです。
最後に
筆者の見方としては、今回の発表で押さえるべきは数字そのものではなく、Googleが広告の売り方を「キーワードを買う」から「意図を買う」へ切り替えにきている、という点です。
検索語句のマッチング、テキストのカスタマイズ、最終ページURLの拡張。この3つはどれも、広告主が指定した通りに出すのをやめて、Googleがその場で組み立てる方向の機能です。手綱を渡すかわりに、手で書いたキーワードでは届かないところまで拾う、という取引になっています。
渡す側として最低限やっておくことは2つだと考えています。1つは計測の整備、もう1つは送り先になるページを用意すること。この2つがないまま機能だけオンにすると、広がった配信が拾ってきた人を、受け止められずに落とすことになります。
まずは自社サイトに、調べ始めの段階の人が読むページがあるかどうかを見てください。なければ、そこが先です。

北海道旭川市出身。Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。最近では声優業でも精力的に活動中。





