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Googleの検索広告の伸びが12%に減速|原因はAIモードの収益化の低さ、逆転はあるのか!?

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注目のポイント

Alphabet(Google)の2026年第3四半期決算が、日本時間10月29日に発表されました。全社の売上は1,275億ドルで25%増、Google Cloudは103%増と伸びた一方、検索広告の伸びは19%、17%、12%と2四半期連続で減速しました。Googleはその理由の1つとして、AIモードのクエリは増えたものの収益化が低いことを挙げています。同じ日、GoogleはAIモードへの広告掲載を10ヶ国へ広げると発表しました。日本はこの10ヶ国に含まれていません。筆者は、これは検索が弱ったのではなく、収益化が追いついていないだけだと見ています。

Googleの検索広告はどのくらい減速したのですか?

伸び率が12%まで落ちました。金額は前四半期とほぼ横ばいです。

項目 2026年7〜9月 2025年7〜9月 前年同期比
全社売上 1,275.8億ドル 1,023.5億ドル +25%
検索広告(Search & other) 633.5億ドル 565.7億ドル +12%
Google Cloud 307.1億ドル 151.6億ドル +103%
営業利益 405.8億ドル 312.3億ドル +30%
純利益 264.7億ドル 349.8億ドル −24%
設備投資 513.6億ドル 239.5億ドル +114%

検索広告の伸び率は、2026年に入ってから19%(Q1)、17%(Q2)、12%(Q3)と落ちています。金額で見ると前四半期の633億ドルからほぼ横ばいです。

純利益が減っているのは、出資先の株式評価損86.6億ドルによるもので、本業の数字ではありません。

参照元:Alphabet Announces Third Quarter 2026 Results(Alphabet IR・2026年10月28日)

なぜ伸びが鈍ったのですか?

Googleは4つの理由を挙げています。そのうち1つが、今回はじめて出てきたものです。

  • 為替の影響(最大の要因と説明)
  • EUの少額輸入免税の廃止
  • 前年のワールドカップの反動
  • AIモードのクエリは増えたが、収益化が低いこと

前の3つは一時的な要因です。問題は4つ目で、AIモードの収益化の低さが検索の売上に影響したと、Googleが説明の場で認めたのは今回が初めてです。

10-Qの数字では、有料クリック数が前年同期比8%増(前回は13%増)、クリック単価が4%増でした。単価は上がっているので、売上の伸びが鈍った主因はクリック数の伸びの鈍化です。

Googleは「検索クエリの伸びは過去5年で最速」とも説明しています。クエリが増えているのに売上の伸びが12%なら、1クエリあたりの収益化は下がっていることになります。

参照元:Alphabet(Google)2026年Q3決算 考察レポート(金谷武明氏・2026年10月29日)

AIモードに広告は出るのですか?

出ます。決算発表と同じ10月28日に、Googleは米国以外の10ヶ国へ広げると発表しました。

対象はオーストラリア、カナダ、インド、ケニア、マレーシア、ニュージーランド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、シンガポールです。日本はこの10ヶ国に含まれていません。2026年第4四半期には、ブラジル、メキシコ、イギリスが追加される予定です。

米国では、追加の質問に対しても広告を出す「マルチターン広告」の提供が始まりました。AIモードは対話で掘り下げていく作りなので、1回目の質問だけでなく2回目、3回目にも広告を出す形です。

対象国での出し方は次のとおりです。

  • 既存の検索・ショッピング・P-MAXキャンペーンが自動的に対象になる
  • オプトインは不要で、オプトアウトもできない
  • AIモードだけを狙うことも、AIモードだけ除外することもできない
  • 使える制御は、除外キーワード、ブランドの除外、アセットの固定
  • 成果はAIオーバービューと合算で、通常のレポートに入る。AIモード単独の数字は見られない

参照元:Google Expands Ads in AI Mode to Ten Markets Outside the US(The Keyword・2026年10月29日)

日本の運用者に影響はありますか?

いま時点で、設定を変える必要はありません。日本が対象に入っていないためです。

ただし、対象国に入ったときの出方だけは知っておく必要があります。既存のキャンペーンが自動的に対象になり、オプトアウトはできません。気づかないうちにAIモードへ配信が始まる形です。

もう1つ気になるのが、レポートの作りです。AIモードとAIオーバービューの成果は通常のキャンペーンに合算され、AIモード単独の数字は見られません。つまり、AIモードでいくら使っていくら返ってきたのかを、広告主側で切り出して評価する手段がありません。

筆者の感覚では、ここが一番やっかいです。コンバージョン単価が動いたときに、AIモードのせいなのか、それ以外なのかを分けられません。日本が対象になる前に、いまのうちに検索広告のコンバージョン単価の水準を記録しておくことをおすすめします。

検索のトラフィックは生成AIに取られるのですか?

筆者は、そうはならないと見ています。理由は、生成AIの各社が広告を出さない限りマネタイズできない構造にあるからです。

OpenAIは、2026年だけで140億ドルの赤字を見込むという報道があります。2029年までの累積赤字は1,150億ドルで、黒字化は2030年代とされています。手元を支えているのは出資と融資で、ソフトバンクグループなどが資金を入れています。

Anthropicは10月26日に上場申請書(S-1)を公開しました。2026年上半期の売上は163億ドル、GAAPの純損失は807億ドルです。ただしこの損失の大半は転換社債の評価替えなどの非現金項目で、現金が出ていっているわけではありません。調整後の営業利益はプラス16.2億ドル、営業キャッシュフローもプラス39.3億ドルです。

一方で、Anthropicは計算資源に6,570億ドルのコミットメントを抱えており、そのうち76%にあたる4,980億ドルは解約できない契約です。支払いはこれからです。

参照元:Anthropic S-1 IPO: Why investors will likely ignore the $81 billion hole(Fortune・2026年10月27日)

Googleの財務はどうなっているのですか?

Googleも設備投資で財務の姿が変わっています。ただし、生成AIの専業各社とは立っている場所が違います。

項目 2026年9月30日時点 2025年12月31日時点
総資産 1兆33億ドル 5,952.8億ドル
現金+有価証券 2,651.0億ドル 1,268.4億ドル
長期債務 1,251.0億ドル 465.5億ドル

第3四半期の設備投資は513.6億ドルで、前年同期の239.5億ドルから倍以上に増えました。フリーキャッシュフローは2四半期連続のマイナスで、今期はマイナス91億ドルです。長期債務は2.7倍になりました。

それでも総資産は増えています。設備投資は資産として積み上がるためです。投資の裏付けとして、Cloudの受注残は5,610億ドルまで積み上がっています。

借金をして設備を作っている点は同じでも、Googleには毎四半期1,275億ドルを稼ぐ本業があり、生成AIの専業各社にはそれがありません。ここが決定的な差だと考えています。

最後に

筆者の見方としては、検索のパワーが落ちたのではなく、収益化が追いついていないだけです。クエリは過去5年で最速で増えているとGoogle自身が説明しています。人は検索をやめていません。入口がAIモードに移っただけで、そこにまだ広告が十分に乗っていない、というのが今回の数字です。

であれば、AIモードに広告が乗り切った時点で、この数字は戻る可能性があります。今回10ヶ国に広げ、米国でマルチターン広告を始めたのは、その作業そのものです。日本が対象に入れば、同じことが日本でも起きます。

生成AIにトラフィックを取られるかという問いについては、筆者はそうはならないと見ています。広告を出さない限りマネタイズできない以上、各社が向かう先は結局広告です。そして広告の売り方と、それを支える現金を持っているのはGoogleです。

今回の決算で株価は時間外で約10%下がりました。ただ筆者は、これは収益化の作業が終わるまでの一時的なものだと考えています。日本の運用者としては、日本がAIモード広告の対象に入る日に備えて、いまの検索広告のコンバージョン単価を記録しておく。やることはそれくらいです。

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