注目のポイント
2026年8月17日、Google広告の自動入札が変わりました。予算による制限があるキャンペーンでも、設定した目標値に沿って入札するようになっています。この変更を受けた打ち手は「目標CPAを実績に合わせる」「目標CPAに見合うだけ予算を上げる」「予算を使いたいならコンバージョン数の最大化にする」の3つが定番です。ただし、この3つから抜け落ちる案件があります。日予算そのものを目標CPAより上げられない案件です。BtoBの検索キャンペーン2本で実際に何が起きたか、どう戻したかを実データで出します。
8月17日に何が変わったのか?
予算による制限があるキャンペーンでも、設定した目標値に沿って入札するようになりました。それまでは、予算が足りないキャンペーンが目標値を超えた成果を出すことがありましたが、そこが揃えられた形です。
Googleは「日予算・月間予算の上限は常に守られる」としています。費用が勝手に増えるわけではなく、変わったのは入札の振る舞いです。
つまり、目標CPAを低く設定すると、その低い目標に合わせて入札するようになった、ということです。
参照元:目標値ベースの入札戦略への変更に関するよくある質問(Google 広告 ヘルプ)
では、どうすればいいのか?打ち手は3つ
8月17日以降の対応として、媒体社に言われているのは次の3つです。
- ①目標CPAを実績に合わせる:実CPAとかけ離れた目標を置かず、現実的な値に直す
- ②目標CPAに見合うだけ予算を上げる:目標CPAを上げたぶん、日予算も一緒に上げる
- ③予算を使うことを優先するなら、目標CPAを外して「コンバージョン数の最大化」にする:目標がなければ、目標に合わせて入札を絞られることもない
ここまでは、どの解説でもだいたい同じことが書かれています。
問題は、この3つのどれも当てはまらない案件があることです。日予算そのものを目標CPAより上げられない案件です。
今回の2本は、日予算がキャンペーンA 10,500円、キャンペーンB 15,500円。それに対して目標CPAは3万円から10万円の水準です。日予算が目標CPAより小さい状態なので、②の「予算を上げる」は最初から選べません。では①のとおり実績に合わせて下げるとどうなるのか。次に実データを出します。
目標CPAを下げたら、コンバージョンがゼロになった
BtoBの検索キャンペーン2本の実データです。日予算は期間中ずっと固定で、一度も触っていません。キャンペーンごとに分けて載せます。
キャンペーンA(日予算 10,500円)
| 期間 | 目標CPA | 予算利用率 | IS損失率(ランク) | CV | 実CPA |
|---|---|---|---|---|---|
| 8/1〜8/5 | 60,000円 | 94% | 29% | 0件 | ― |
| 8/6〜8/19 | 設定なし | 65% | 58% | 0件 | ― |
| 8/20〜8/27 | 36,000円 | 20% | 84% | 0件 | ― |
| 8/28〜8/30 | 59,000円 | 30% | 71% | 0件 | ― |
| 8/31〜9/16 | 100,000円 | 124% | 35% | 3件 | 65,195円 |
キャンペーンB(日予算 15,500円)
| 期間 | 目標CPA | 予算利用率 | IS損失率(ランク) | CV | 実CPA |
|---|---|---|---|---|---|
| 8/1〜8/5 | 30,000円 | 55% | 77% | 3件 | 11,277円 |
| 8/6〜8/19 | 設定なし | 55% | 27% | 1件 | 76,511円 |
| 8/20〜8/27 | 43,000円 | 22% | 83% | 0件 | ― |
| 8/28〜8/30 | 59,000円 | 28% | 82% | 0件 | ― |
| 8/31〜9/16 | 59,000円 | 54% | 68% | 4件 | 31,386円 |
8月17日の変更は、表の「8/6〜8/19」の途中に入っています。
目標CPAを下げた8月20日から8月30日は、AもBもコンバージョンが1件もありません。予算利用率は2割から3割まで落ち、IS損失率(ランク)は8割台に上がっています。予算が余ったのではなく、入札で負けて出られなかったということです。
キャンペーンAは8月31日に目標CPAを100,000円まで上げました。そこから予算利用率は124%、IS損失率(ランク)は35%まで戻り、コンバージョンが3件立っています。実CPAは65,195円で、設定した目標より下に着地しました。
なお、この2本は46日間でコンバージョンが合計11件です。件数が少ないため、実CPAの数字そのものの精度は高くありません。
なぜ下げると取れなくなるのか?
実CPAが安いからといって目標CPAをその水準まで下げると、単価の高いオークションに入れなくなるからです。
BtoBのように1件あたりの単価が高い領域では、コンバージョンにつながるキーワードほどクリック単価が高くなります。目標CPAを低く設定すると、そこに入札できなくなります。
結果として、単価の安いオークションにしか入れなくなり、母数が減り、コンバージョンも減ります。CPAが下がるどころか、そもそも取れなくなります。
日予算を上げられない案件はどうするか
予算を上げられるなら、②が本筋です。目標CPAを上げて入札できる状態にしたうえで、日予算も一緒に上げるのが素直な形になります。
ただ、すべてのお客さまが予算を出せるわけではありません。予算を動かせない場合は、実績のCPAより高い目標CPAを設定して、単価の高いオークションに入れる状態を作る。今回はこれで動きました。日予算が目標CPAより小さいままでも、入札は戻っています。
この貼り方はGoogleの案内どおりではありません。媒体の仕様を無視したうえで、こうなりましたという話です。目標を高く貼りすぎると実CPAが目標に寄っていく可能性も残ります。案件ごとに試しながら決める必要がありそうです。
最後に
8月17日の変更は、目標CPAの設定がこれまで以上に効くようになった、という話だと受け止めています。定番の打ち手は3つありますが、日予算を目標CPAより上げられない案件は、そのどれにも乗りません。
実績に合わせて目標を下げると、単価の高いオークションから外れて、取れるものも取れなくなります。予算が余っているように見えたとき、それが本当に予算の問題なのか、入札で負けているだけなのか。IS損失率(ランク)を見て切り分けるところから始めるのがよさそうです。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。





