注目のポイント
Google タグ マネージャー(GTM)の管理画面に、「タグ マネージャー コンテナを最適化する」というバナーが順次表示されます。中身は、これまでGTMがサイトに読み込んでいたGoogle タグ(gtag.js)をやめて、GTMが直接GA4やGoogle広告へデータを送る形に作り替えるというものです。サイトに読み込むスクリプトが1本減るため、ページはわずかに軽くなります。ただしデータの送信先そのものは変わらないので、広告ブロッカーやブラウザの制限による計測の取りこぼしは、これでは改善しません。バナーが出ても、石黒堂やご担当者が公開ボタンを押すまでサイトの挙動は変わりません。慌てて移行する必要はない変更です。
GTMに出てきた「コンテナを最適化する」バナーは何ですか?
GTMとGoogle タグ(gtag.js)という、これまで別々だった2つの仕組みを1つにまとめるための移行案内です。バナーが表示されているコンテナは、管理画面の操作だけで移行できます。
いまのGTMは、サイトの中にプログラムが2段で入っています。GTMが計測データをまとめて、gtag.jsという別のプログラムをサイトに読み込み、そのgtag.jsがGA4やGoogle広告までデータを運んでいます。gtag.jsは運び屋の役です。
今回の変更は、この運び屋をやめて、GTM自身が直接GA4やGoogle広告へデータを送るようにするものです。
公式ヘルプには、今後gtag.js側にもGTMの機能が取り込まれる予定だと書かれています。両方から同じ統合を進めていく、その入口にあたる変更です。
参照元:Google タグ マネージャー コンテナを最適化する(Google タグ マネージャー ヘルプ)
具体的に何が変わるのですか?
変わるのは次の3点です。
- gtag.jsを読み込まなくなる:移行した送信先については、Google タグのライブラリをサイトに読み込まなくなります
- GA4やGoogle広告が「送信先」という扱いに変わる:これまでの「Google タグ」に代わり、GA4・Google広告・Floodlightがそれぞれ送信先(デスティネーション)のタグになります
- 共通設定が1か所にまとまる:クロスドメイン測定、自動イベント検出、ユーザー提供データといった設定が、コンテナの新しい[設定]タブに集約され、すべての送信先に一括で効くようになります
一方で、すでに作ってあるイベントタグ・トリガー・変数はそのまま残ります。Metaピクセルなど、Google以外のタグも影響を受けません。
移行の作業はワークスペースの中で進むので、プレビューで動作を確かめてから公開できます。公開後に前のバージョンへ戻すこともできます。
参照元:Major Google Tag Manager Update: Optimized Tagging Experience(Analytics Mania)
サーバーサイドGTMと同じような話ですか?
別の仕組みの話です。中間を減らすという方向性は似ていますが、狙っているものが違います。
| 方式 | データの通り道 | 狙い |
|---|---|---|
| いままで | ブラウザ → gtag.js → Google | - |
| 今回の最適化 | ブラウザ(GTM) → Google | ページを軽くする・管理をまとめる |
| サーバーサイドGTM | ブラウザ → 自社のサーバー → Google | 計測の取りこぼしを減らす |
サーバーサイドGTMの価値は、自社ドメインのサーバーを経由させることで、ブラウザの追跡制限(ITP)や広告ブロッカーに引っかかりにくくする点にあります。取れる・取れないの話です。
今回の最適化で減るのは、サイトに読み込むスクリプト1本だけです。送信先のドメインは変わらないため、ブロックされやすさは何も変わりません。計測の取りこぼしを直したいという目的でこれを入れても、効果は期待できません。
タグの検証作業は楽になりますか?
1つだけ楽になります。GTMのプレビューモード(タグ アシスタント)に、コンテナ単位で送信した通信を一覧できる「Hits Sent」というタブができます。
これまでGA4やGoogle広告への通信を確かめるには、タグ アシスタントの中で対象のIDに切り替えて、送信先ごとに見にいく必要がありました。これが、コンテナの画面1枚で「GA4へページビューが飛んだ」「Google広告へこれが飛んだ」と並んで見えるようになります。同意モードの値(gcs)も、ここから通信の中身を開いて読めます。
ただしこれはあくまでプレビューモードの中の話です。公開中のサイトで通信が見えるようになるわけではなく、ブラウザの開発者ツールが不要になるわけでもありません。検証の手間が少し減るだけだと考えておくのが安全です。
参照元:Major Google Tag Manager Update: Optimized Tagging Experience(Analytics Mania)
いつ変わりますか?勝手に切り替わりますか?
公開ボタンを押すまで、サイトの挙動は変わりません。出てくるのはバナーだけです。
公式ヘルプが示している手順は、バナーの[詳細を確認]または[始める]から移行をはじめ、変更内容をプレビューで確認し、[ワークスペースに追加]を実行して、最後に[送信]で公開する、という流れです。最後の公開操作を自分でおこなうまで、サイト側には何も反映されません。
開始時期について、公式ヘルプには「まもなく」とだけ書かれており、具体的な日付はありません。また、将来Googleが強制的に移行させるのかどうかについても、現時点で公式の記載を見つけられませんでした。期限が切られていない変更だと受け取っています。
参照元:Google タグ マネージャー コンテナを最適化する(Google タグ マネージャー ヘルプ)
移行する前に確認しておくことはありますか?
影響が小さい変更とはいえ、事故になりうる箇所が4つあります。バナーを押す前に確認しておきたい内容です。
- 設定の統合で、片方の設定に引っ張られる:GA4とGoogle広告で設定が違う場合、どのタグの設定を基準にするかを選ばされます。選んだ設定が、すべての送信先に適用されます
- 測定IDを変数で切り替えている構成は、移行ウィザードが止まる:ルックアップテーブル変数で測定IDを出し分けている場合、移行の画面が出ないという不具合が報告されています。回避策は、いったん測定IDを直接入力に戻して移行し、あとで変数に戻すという手順です
- 権限はバージョン管理の対象外:移行時に外部アカウントをリンクすると、その時点で相手にコンテナの読み取り権限が付きます。公開前でも付き、前のバージョンへ戻しても権限は戻りません。権限は管理画面の[外部アカウント リンク]から変更します
- サイトにgtag.jsが直接貼られていないか:最適化をオンにしたまま、サイトのソースにgtag.jsが残っていたところ、タグが「実行中」のまま通信が一切出なくなったという報告があります。これはAnalytics Maniaのコメント欄の投稿で、記事本文では検証されていないため事実かどうかは分かりません。ただ、サイトに直接タグが入っている案件では、先にその有無を確認しておくほうが安全だと考えています
参照元:Major Google Tag Manager Update: Optimized Tagging Experience(Analytics Mania)
最後に
筆者の受け取り方としては、急いで移行する理由のない変更です。得られるのはスクリプト1本分のページの軽さと、管理画面の見やすさです。Google自身が速度の改善幅を数字で出していないので、体感できるかどうかという程度だと見ています。
管理画面の見やすさについては、引き継いだアカウントで価値が出そうです。「このコンテナから、どのGoogleの送信先にデータが飛んでいるのか」が[設定]タブの1画面で分かるので、棚卸しは速くなります。
進め方としては、期限が切られていないうちに、構成が一番シンプルな1件でプレビューから公開まで試し、1週間ほどコンバージョン数の推移を見るのが無理のないところです。そこで問題が出なければ、他の案件へ広げていく。測定IDを変数で出し分けているような複雑なコンテナは、不具合の報告が落ち着くまで後回しにしてよいと考えています。

北海道旭川市出身。Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。最近では声優業でも精力的に活動中。





