注目のポイント
Google広告のキャンペーン設定に「プロモーション モード」(ベータ版)が出てきました。セール期間だけ目標広告費用対効果(ROAS)をわざと引き下げ、1日の予算に上乗せし、期間が終わったら自動で元に戻す機能です。これまで手作業でやっていた「セール前に目標を緩めて予算を上げ、終わったら戻す」を、期間指定で自動化できます。ただし条件があります。入札戦略が目標広告費用対効果でなければ使えず、目標コンバージョン単価(tCPA)のキャンペーンでは有効にできません。対象キャンペーンも限られており、筆者のアカウントで確認したところ、検索とP-MAXには表示され、ショッピング単体とデマンドジェネレーションには表示されませんでした。
何ができる機能なのか?
キャンペーンの設定画面に「プロモーション モード」という項目が追加され、「プロモーション期間中に費用の消費ペースを速める」というチェックが入ります。
説明文にはこう書かれています。「指定された期間中は、目標広告費用対効果を達成することよりも、販売を促進することが優先されます」。
設定するのは3つです。
| 設定項目 | 何が起きるか |
|---|---|
| プロモーションの日付 | 開始日と終了日を指定する。キャンペーンの開始日〜終了日の範囲内である必要がある |
| 目標広告費用対効果の許容範囲(%) | 設定した値に基づき、期間中の目標ROASが引き下げられる |
| 1日の追加予算(省略可) | 設定した金額が、期間中の1日の平均予算に加算される |
どちらも、プロモーション期間が終了すると元の値に自動で戻ります。
実務で何が変わるのか?
やっていること自体は、これまで手でやってきた操作と同じです。
- セール前に目標ROASを下げる
- 予算を上げる
- セールが終わったら、両方とも元に戻す
この最後の「元に戻す」を忘れるのが事故になります。セールが終わっても目標が緩いまま、予算が上がったまま回り続けて、月末に費用を見て気づく。運用の現場でよくある話です。
プロモーションモードは、この一連を期間指定で自動化します。筆者の運用経験では、機能の中身よりも「戻し忘れがなくなる」ことのほうが実務的な価値が大きいと考えています。
使える条件
2つあります。
条件1:入札戦略が目標広告費用対効果であること
目標コンバージョン単価(tCPA)のキャンペーンで有効にしようとすると、次のメッセージが出ます。
プロモーション モードを有効にするには、入札戦略を目標広告費用対効果に変更してください
つまり、tCPAで運用している案件は、そもそも土俵に乗りません。
条件2:対象のキャンペーンタイプであること
筆者のアカウントで確認した結果です。
| キャンペーンタイプ | プロモーションモードの表示 |
|---|---|
| 検索 | あり |
| P-MAX | あり |
| ショッピング(単体) | なし |
| デマンド ジェネレーション | なし |
海外の記事では対象キャンペーンの記述が食い違っていたため、実際の管理画面で1つずつ確認しました。P-MAXでショッピングを配信していても、ショッピングキャンペーン単体には出てきません。
季節性の調整とは目的が逆
似た機能に「季節性の調整」がありますが、伝えている内容が違います。
| 季節性の調整 | プロモーションモード | |
|---|---|---|
| 伝えること | この期間はコンバージョン率が上がる見込み | この期間は効率より量を優先する |
| 目標への影響 | 目標は変えない | 目標ROASを引き下げる |
| 予算 | 変えない | 上乗せできる |
季節性の調整は「見込みを伝える」機能、プロモーションモードは「効率を落として量を取りにいく」機能です。混同すると設定の意図がずれます。
向いている使い方、向いていない使い方
向いている「指名キャンペーンだけ緩める」
他のキャンペーンで需要を作っている裏で、指名側の目標だけを緩めて取りこぼしを減らす、という使い方は理屈が通ります。キャンペーン単位の設定なので、指名だけに適用できます。
向いていない「メンテナンスなどで成果が落ちる期間」
「この期間はサイトが止まるが、集客は続けたい。CPAが割れるのは承知している」という場面には向きません。
この機能は費用の消費ペースを速める設定なので、成果が出ない期間に使うと逆方向に効きます。目標を緩めるという見た目は似ていますが、目的が違います。
注意点
- プロモーション期間が始まると、元の目標ROAS自体は変更できず、許容範囲しか動かせないという指摘が海外記事に出ています。二次情報ですが、事実なら期間が始まる前に数字を決めておく必要があります
- 画面の説明には「引き下げられます」としか書かれておらず、引き上げについての記載はありません
- ベータ版のため、表示されないアカウントもあると思われます
tCPAで回している案件はどうするか
入札戦略を目標広告費用対効果に変えない限り使えません。ここが実務上の分かれ目です。
筆者の運用経験では、この機能のためだけにtROASへ切り替えるのは現実的ではないと考えています。値で最適化するには、コンバージョン値がアカウントに正しく入っていることが前提になります。単品リピートのようにCPA基準で回しているダイレクト通販の案件では、切り替え自体が別のプロジェクトになります。
最後に
プロモーションモードでやれることは、目標ROASの一時的な引き下げと予算の上乗せ、そして期間終了後の自動復帰です。新しいことができるようになったというより、手作業を自動化して事故を防ぐ機能だと捉えています。
使えるのは、検索とP-MAXで、入札戦略が目標広告費用対効果のキャンペーンだけです。年末商戦に向けて試すなら、まず自社のキャンペーンに項目が出るかを確認するところからになります。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。





