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記事サマリー
この記事を読んでわかること
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- Google推奨の部分一致の利用方法と、スマート自動入札と検索クエリの追加と除外の関係性がわかる
こんな方へオススメの記事
-
- 検索広告のマッチタイプについて知りたい方
- スマート自動入札と部分一致の関連性を知りたい方
- 検索クエリの追加と除外のタイミングを知りたい方
この記事を実践するための準備
-
- Google検索広告・Yahoo!検索広告の管理画面
目次
- 1 記事サマリー
- 2 記事に出てくる言葉の共通化
- 3 本記事で伝えたい部分一致×スマート自動入札×検索クエリの追加と除外
- 4 検索広告のマッチタイプとは!?
- 5 検索広告のマッチタイプはどれだけあるの!?
- 6 検索リーチを広げる動的検索広告のアップグレード版であるP-MAXを利用する
- 7 なぜリーチを広げるためにP-MAXを利用するのか?
- 8 効果が出やすい効率的なマッチタイプ構成とは!?
- 9 なぜ部分一致が推奨されているのか!?
- 10 検索クエリの追加と除外は、マッチタイプを適切な拡張をさせるための助走
- 11 スマート自動入札はオークション時のさまざまなシグナルを考慮しクエリ単位で入札を実施
- 12 まとめ:部分一致を運用していくうえで大切なこと
- 13 本記事では触れていないが大切なこと
- 14 よくある質問①:検索広告のマッチタイプを変更しても品質スコアはリセットされない!?
- 15 よくある質問②:同じ文言のキーワードのマッチタイプを複数買うことは効果があるの?
- 16 よくある質問③:てれこワードでも同一ワード扱いになりますか?
- 17 よくある質問④:部分一致を数キーワードだけで効果が出ているのだが!?
- 18 よくある質問⑤:P-MAXと検索キャンペーンはオークションのカニバリがあるのか?
- 19 よくある質問⑥:特定の検索クエリが複数のキーワードをトリガーにして広告グループを行ったりきたりする
- 20 よくある質問⑦:すべての業種で部分一致×スマート自動入札を入れたほうがよいのか!?
- 21 よくある質問⑧:部分一致で検索クエリが広がるならキーワードってなんなの?
- 22 最後に
記事に出てくる言葉の共通化
本記事には難しい言葉が出てくるため、先に主語の共通言語化をします。
◇オークション
ユーザーの検索行動に対して、検索結果ページ上にどの広告をどの掲載順位で表示するか?あるいは広告を掲載するか否か?を決定するための広告プラットフォーム上のプロセスです。検索広告だと検索をする前に、ディスプレイ広告だと記事コンテンツ読む前に、動画広告だと動画を見る前に実行されます。オークションは都度行われますので、検索広告だと検索した分だけオークションに入ります。
◇検索キーワード
広告主や広告代理店が検索広告の管理画面にログインし入稿をしたキーワードのことを指します。検索キーワードは広告を配信するトリガーとなり、マッチタイプの設定により、検索キーワードとの一致範囲が決まります。
◇検索クエリ
検索語句とも言います。ユーザーが検索窓に打ち込んだ検索語のことを指します。広告を表示するかどうかの判断基準として、このユーザーの検索クエリとキーワードとの一致具合が重要になってきます。つまり、関連性のある広告配信を行うためには、ユーザーがどのような検索クエリを入力するのかを正しく捉え分析することが求められます。検索クエリの理解は、検索広告運用に欠かせない要素です。
◇トークン
検索ワードを構成する最小単位で、スペースで区切られた単語1つ1つがトークンと数えられます。文章が長ければ長いほど、トークンの数も多くなっていきます。検索広告でキーワードを設定する際、トークン数は重要な指標になります。マッチタイプとトークン数によって広告の配信範囲が変わってきます。例として「子供」は1トークン、「子供 眼鏡」は2トークン、「子供 メガネ 東京」は3トークンです。
◇品質スコア
検索広告における広告の品質を1〜10の数値で示され、キーワード単位で確認出来る診断ツールです。品質スコアが高ければ、そのキーワードを検索しているユーザーにとって、お客様の広告とランディング ページが、他の広告主様のものと比べて的確で有用であることを意味します。
品質スコアは、「推定クリック率」「広告の関連性」「ランディングページの利便性」の3つの要素を統合して算出されます。各要素には、評価に応じて「平均より上」、「平均的」、「平均より下」のいずれかのステータスが付きます。この評価は、過去 90 日間にまったく同じキーワードに対して広告が表示された他の広告主様との比較に基づくものです。品質スコアは一度付いたら変化しないものではありません、運用によって変化するとうことも覚えておいてください。
注意点は、以下となります。
- 品質スコアはKPI(重要業績評価指標)ではないため、最適化の主目的としたり、他のデータと同様に集計するべきではありません。
- 品質スコアは、広告オークションにおける評価材料にはなっていません。あくまで診断ツールとして、あるキーワードに対して表示される広告がユーザー エクスペリエンスに及ぼす影響を示したものです。
参照:品質スコアについて
本記事で伝えたい部分一致×スマート自動入札×検索クエリの追加と除外
部分一致の拡張と、スマート自動入札と、検索クエリの追加と除外、は相関関係があります。本記事ではロジックについて記載していきますので長いですがお付き合いください。
検索広告のマッチタイプとは!?
キーワードと検索クエリがどのように一致するかを制御する機能です。マッチタイプを使い分けることで、キーワードと一致する検索クエリの範囲を調整できます。適切なマッチタイプを選ぶことで、無関係な検索クエリへの広告配信を避けたり、逆により多くの検索クエリに広告を表示させたりと、配信コントロールが可能になります。
キーワードとは、ユーザーが検索している語句と広告を一致させるために使用される単語やフレーズです。キーワードがユーザーの検索語句と一致すれば広告がオークションの候補に入りますが、その際にどの程度厳密な一致を求めるか指定するのが、キーワードのマッチタイプです。たとえば、多様な検索内容に対して広告を表示したい場合は部分一致を、特定の検索内容だけを対象にしたい場合は完全一致を使用します。
参照:キーワードのマッチタイプについて
検索広告のマッチタイプはどれだけあるの!?
◇部分一致
管理画面でキーワードにデフォルトで割り当てられるマッチタイプです。キーワードと同じ意味の検索語句に対して広告を表示され、キーワードそのものを含まない検索語句も含まれます。
参照:部分一致定義
◇絞り込み部分一致
このマッチタイプは既に廃止されています、「+子供の +自転車」など、絞り込み部分一致記号の₊が登録されているキーワードがあれば部分一致へ移行しましょう。
◇フレーズ一致
キーワードと同じ意味の検索語句に対しても広告を表示できるキーワードのマッチタイプです。文言に差があっても、同じ意味に解釈できる場合は一致と見なされます。また、キーワードよりも具体的な情報を追加した検索も一致します。このため、完全一致よりも広く、部分一致よりも狭い範囲で広告を掲載することができます。
参照:フレーズ一致定義
◇完全一致
キーワードと同じ意味または意図の検索語句に対して広告を表示できる、マッチタイプです。完全一致は広告の表示対象を最も絞り込むことができますが、広告表示対象となる検索の数はフレーズ一致と部分一致よりも少なくなります。このため、キーワードと同じ意味の検索を行うユーザーにターゲットを絞ってリーチできます。
参照:完全一致定義
◇除外キーワード
効果が見合わなかったり、不適切な検索クエリに対して広告が表示されないようにするために使用されます。マッチタイプと組み合わせて使うことで、より効果的に不要な検索クエリを除外できます。
マッチタイプ | 特殊記号 | キーワードの例 | 広告が表示される状況 | ユーザーの検索語句 |
部分一致 | なし | 子供用 自転車 ※逆掛け合わせは同一キーワード |
検索語句の任意の部分に、キーワード自体、または誤字のあるキーワード、類義語、関連性のある検索語句などの変化形が含まれている | 子供用 自転車を購入する 子供のスクーター 自転車 子供用 |
フレーズ一致 | “キーワード” | “子供用 自転車” ※逆掛け合わせは同一キーワード |
引用符で囲まれたキーワード、またはその類似パターンが検索語句と一致する。検索語句の間に別の単語が入っていると広告は表示されません。 | 安全な子供用 自転車 子供用 自転車を買う 子供用 自転車の販売 自転車 子供用 |
完全一致 | [キーワード] | [子供用 自転車] ※逆掛け合わせは同一キーワード |
完全に一致するキーワード、または検索語句と同じ意味を持つ近いパターンのみ。検索語句の前後に別の単語が入っていると広告は表示されません。 | 子供用 自転車 キッズ 自転車 自転車 子供用 |
表の参照:Googleスキルショップ
検索リーチを広げる動的検索広告のアップグレード版であるP-MAXを利用する
検索キャンペーンのリーチを広げるために役立つのが動的検索広告です。
個別の広告やキーワードを作成する必要がありません。Google がウェブサイトの内容を自動的に認識し、ユーザーの検索内容と広告主のビジネスとの関連性を判断します。そして、ユーザーの検索語句に応じてカスタマイズされた広告が自動生成されます。
広告の説明文はあらかじめテンプレートで作成しておきますが、残りの広告見出しやリンク先URLなどは、ユーザーの検索語句に合わせて自動で生成されます。つまり、動的検索広告はウェブサイトの内容に基づいて、検索者の関心に自動的に合わせた広告を出稿することができる手法なので、広告運用の手間を大幅に省くことができます。
しかし、2024年に動的検索広告はP-MAXへアップデートされます。P-MAXの配信ネットワークは、検索・ショッピング・ディスプレイ・動画・Gmial・ディスカバー・マップに広告が掲載されますが、検索広告への配信比率が大きいため動的検索広告の代替として利用可能です。
なぜリーチを広げるためにP-MAXを利用するのか?
キーワードを作成するには膨大な時間が必要となり、まだキーワードを買っていないことによるユーザーとの接触機会の損失を防ぐことが出来るからです。
ビジネスに関連性がある検索語句を捉えるためにキーワードを設定する作業は、難しく、時間がかかります。昨今ではスマートフォンの使用が急拡大し、音声検索やデジタルアシスタントが導入されてユーザーの検索方法が変化したことによって、膨大な量の予測不能な検索が行われるようになりました。
新しい検索語句を使った検索は、日に日に増えていきます。実際、Google で日々検索される語句の 15% は、今まで検索されたことのなかった語句です。そのため、すべての検索語句を手作業で網羅する作業にはきりがなく、販売機会を逃してしまうことになります。さまざまな広告クリエイティブを制作し、それをランディング ページと対応づける作業も負荷が大きくなりがちです。ウェブサイト内のランディング ページになり得るページ数は数百、数千、あるいは百万に及ぶこともあり、またそうしたページは常に変化しているため、広告見出しや表示 URL も更新し続ける必要があります。
参照:検索に関する品質改善
効果が出やすい効率的なマッチタイプ構成とは!?
◇理想的なマッチタイプ構成(すべて部分一致にする
トークン数(語句数) | キーワード例 | 完全一致 | フレーズ一致 | 部分一致 |
1トークン | 眼鏡 | 〇 | ||
2トークン | 眼鏡 子供 | 〇 | ||
3トークン | 眼鏡 子供 スポーツ | 〇 | ||
P-MAXによるテールワードの補完 |
Google公式が推奨するアカウント構成の方法です。Google社のアカウント担当からもこの手法を勧められるでしょう。予算に余裕があり、目標CPAを下回る見込みであれば、ぜひ検討に値する運用方法です。ただし、全キーワードの部分一致の切り替えは、急激なインプレッション数の増加を招く可能性がありますので注意が必要です。段階を踏んだ導入をお勧めします。
◇安全なマッチタイプ構成(段階的に部分一致にする
トークン数(語句数) | キーワード例 | 完全一致 | フレーズ一致 | 部分一致 |
1トークン | [眼鏡] | 〇 | ||
2トークン | “眼鏡 子供” | 〇 | ||
3トークン | 眼鏡 子供 スポーツ | 〇 | ||
P-MAXによるテールワードの補完 |
3トークンを部分一致にした場合、検索クエリの拡張範囲が小さくなるため急激にインプレッション数が増加することはありません。人材業種など3トークンでもクリック単価が高い場合は、3トークンまでフレーズ一致にし、4トークン以上を部分一致にするなど、予算に合わせてマッチタイプを使い分けてください。効果を見て徐々に、2トークンを部分一致、1トークンをフレーズ一致から部分一致に移行し、全キーワードを部分一致にしてください。
◇トークン別の分析から見るマッチタイプの変更
実際の分析例になります。トークン別の実績をSUMIF関数で集計してください。例えば今回の場合だと1トークンのCPAが良くコンバージョン率も高いことがわかります。もし1トークンが完全一致のマッチタイプであれば、フレーズ一致→部分一致と段階的に増やしても良いでしょう。このようにマッチタイプとトークン別のデータを出してみると分析がしやすくなります。
トークン数 | 表示回数 | クリック数 | クリック率 | クリック単価 | ご利用金額 | 獲得数 | 獲得率 | 獲得単価 |
1トークン | 8,001 | 7,98 | 9.97% | 87 | 69,254 | 56.33 | 7.06% | 1,229 |
2トークン | 37,247 | 4,766 | 12.80% | 88 | 417,361 | 202.81 | 4.26% | 2,058 |
3トークン | 10.346 | 1,324 | 12.80% | 134 | 177,566 | 56.91 | 4.30% | 3,120 |
◇完全一致のインプレッションシェア率も参考になる指標
参考にする指標は完全一致のインプレッションシェア率です。完全一致のインプレッションシェア率は、キーワードと完全に一致する検索語句において、実際に広告が表示された回数を、表示される可能性があった推定回数で割った割合です。
部分一致キーワードを使用していて、インプレッション シェアが低い場合は、完全一致のインプレッション シェアのデータを参照して、キーワードに完全に一致する検索に限定した掲載結果を確認できます。
インプレッション シェアを初めてご使用になる場合は、インプレッション シェアの詳細をご確認ください。完全一致のインプレッション シェアは、キーワードと完全に一致する検索語句で広告が実際に表示された回数を、完全一致で表示される可能性があった回数(推定値)で割った割合です。
参照:完全一致のインプレッション シェアについて
筆者の肌感で恐縮ですが、完全一致キーワードのインプレッションシェア率は70%を超えているようであれば、部分一致への移行を検討してもよいでしょう。ただし、エンターテインメント業種のように新規クエリが日々生み出され続ける業界においては不可能な数値です。その場合は、一度部分一致の導入を試してみて、慎重に経過を見守ってください。問題が生じれば迅速にマッチタイプを元に戻してください。
なぜ部分一致が推奨されているのか!?
◇部分一致は取得のシグナルが多いため
部分一致が最も多くのシグナルを取り込むことができます。ランディングページの情報、広告グループの他のキーワード、ユーザーの過去の検索履歴、ユーザーの所在地などの情報を入札時に考慮します。多くの関連情報を活用できる点で優れているものの、一方でインプレッション数が過度に増えるリスクもありますので、段階的な導入や、適切な除外キーワードの設定など注意が必要不可欠です。
パフォーマンス向上のために 考慮されるシグナル |
キーワード | ランディングページの内容 | 広告グループに含まれる 他のキーワード |
過去の検索 | 見込まれる パフォーマンス |
ユーザーの所在地 |
完全一致 フレーズ一致 |
✔ | × | × | × | ✔ | × |
部分一致 | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ |
参照:Google広告の部分一致のご利用ガイド
参照:Yahoo!広告のマッチタイプ「部分一致」の判断要素追加について
◇弊社の部分一致の実績
同じ広告グループに、完全一致と部分一致の同一キーワードを入れて同一期間でコンバージョン率のテストをした実績となります。何度か実施したのですが部分一致の方がコンバージョン率が5%ほど高い実績となっています。つまりマッチタイプを部分一致にするだけでもコンバージョン率が上がるということです。
検索クエリの追加と除外は、マッチタイプを適切な拡張をさせるための助走
部分一致キーワードを入稿し放置しただけでは、適切な検索クエリの拡張が自動的に行われるわけではありません。検索クエリの拡張は、まるでChatGPTにコンテンツを書かせるときと同様に、具体的な指示がなければ間違った拡張をします。
例えば「何かを食べたい」といった曖昧な入力では、どのように拡張すべきか分かりません。しかし「フルーツが好きだが桃にはアレルギーがある」と明確に指示すれば、桃を除外した上でフルーツ関連の検索クエリを拡張することになります。つまり、検索クエリの追加と除外は、GoogleのAIに対して拡張の内容を明示的に伝える手段となるのです。
そのため、部分一致キーワードへの変更に先立ち、検索クエリの追加と除外を十分に行うことが重要です。すでに検索クエリの追加・除外が完了し、新たな検索クエリの出現が少ない場合はキーワードを部分一致に変更しても問題ありません。適切な準備が整っていれば、部分一致キーワードを安全に導入できます。
◇検索クエリの追加と除外で品質スコアが高まる
品質スコアは、キーワードと完全に同内容の検索に対するインプレッション実績に基づく評価のため、キーワードのマッチタイプを変更しても品質スコアには影響しません。
参照:品質スコアとは
品質スコアは、ユーザーが実際に検索した語句(検索クエリ)と、広告主が入稿した(トリガー)キーワードのテキストが完全に一致した場合のインプレッション実績に基づいて評価されます。つまり、検索クエリとキーワードの文字列が全く同じである必要があります。マッチタイプによる検索クエリの範囲の広狭は関係ありません。重要なのは、検索クエリとキーワードのテキストが完全に一致しているかどうかだけです。文字配列が同一であれば、マッチタイプの種類に関わらず、そのキーワードに品質スコアが付与されます。
◇検索クエリの追加と除外の頻度(どれくらいの期間で、何回・何の指標で・何個の検索クエリ)はどれくらでするか?
検索クエリの追加と除外の実施頻度は、業種による特性の違いから一概には言えません。例えば漫画アプリなどのエンターテインメント系では、新たな検索クエリが日々多数生み出されます。声優やキャラクターの名前、必殺技などを追加・除外するのが困難になることがあります。このように新規クエリの発生頻度が高い業種では、理想を言えば毎日の実施が望ましいですが、運用工数とのトレードオフになります。一方、金融業種や保険業種などでは、対象となるキーワードがほぼ決まっており、新規クエリの発生は比較的少ないと考えられます。そういった業種であれば、検索クエリの追加・除外作業の頻度を下げても問題ないでしょう。以下例として記載致します。
- 新しく出現した検索クエリのクリック数の多かった10個を毎日新規追加する
- 一週間に一回3クリック以上でた検索クエリの追加と除外をする
- 一週間に一回10インプ以上でた検索クエリの追加と除外をする
◇検索クエリの追加と除外のオススメのフィルタ設定
管理画面の分析情報とレポート > 検索語句
検索語句を見るときはマッチタイプをフィルタで絞ることが出来るので、「部分一致」「フレーズ一致」「完全一致(類似パターン)」「フレーズ一致(類似パターン)」に絞り、追加済み/除外済みを「なし」に絞ると、まだ追加と除外されていない検索クエリに絞れるので、追加と除外がやりやすくなります。
対象の検索語句に✔を入れて上部に出てくる「キーワードとして追加」「除外キーワードとして追加」を選べば、検索クエリの追加と除外が出来ます。除外する際はキャンペーンや広告グループ、アカウント単位で除外が出来ますので、検索語句の意味を考えて除外してください。
上級者になるとエディターを利用できますが、最初のうちは管理画面の操作から慣れておいてください。
スマート自動入札はオークション時のさまざまなシグナルを考慮しクエリ単位で入札を実施
キーワードを部分一致に設定をした場合は、除外キーワードしか対応方法が無いのかというとそういうわけではありません。スマート自動入札を利用することによって検索クエリの最適化を行ってくれます。
Google 広告の入札アルゴリズムは、アカウント構造内のキーワードの位置付けに制約されません。広告グループやキャンペーンを横断して、検索クエリレベルのコンバージョン データを活用します。この特性は、フレーズ一致キーワードや部分一致キーワードにおいて特に効果を発揮します。こ
参照:クエリレベルの学習が入札の改善に役立つ理由
部分一致キーワードは、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化、目標コンバージョン単価、目標広告費用対効果など、スマート自動入札戦略と組み合わせて使用すると効果的です。スマート自動入札は、機械学習を使用してオークションごとにコンバージョン数やコンバージョン値を重視した最適化を行います。この機能は「オークションごとの自動入札機能」と呼ばれます。
スマート自動入札と部分一致を組み合わせた場合は、最適化を促進するためにマッチタイプで分割する必要はありません。検索語句ごとにオークションの入札単価が設定され、検索語句の有効性に合わせて入札単価が調整されます。部分一致キーワードにより、アルゴリズムの学習速度が高まるため、成長目標達成につながるさらに多くのオークションを特定できるようになります。
参照:部分一致でスマート自動入札キャンペーンを促進する
自動入札の種類 | スマート自動入札 | オークション単位の入札 | 目的 | 説明 |
クリック数の最大化 | × | × | サイトアクセスを増やす | 予算内でできるだけ多くのクリック数を獲得できるように入札単価が設定されます |
目標インプレッションシェア | × | × | 視認性を高める | 検索結果ページの最上部、上部、または任意の場所に広告が表示されるように、入札単価が設定されます。 |
目標コンバージョン単価(tCPA) | 〇 | 〇 | 目標コンバージョン単価でコンバージョンを増やす | 指定した目標コンバージョン単価でコンバージョンを最大限に獲得できるように入札単価が設定されます。実際の入札単価は、コンバージョンによって目標より上下する場合があります。 |
目標広告費用対効果(tROAS) | 〇 | 〇 | 各コンバージョンの価値が異なる場合に、目標広告費用対効果(ROAS)を達成する | 指定した目標広告費用対効果でコンバージョン値を最大化できるように、入札単価が設定されます。一部のコンバージョンでは、実際の広告費用対効果が目標より高くなる、または低くなる場合があります。 |
コンバージョン数の最大化 | 〇 | 〇 | 予算全体を使いながらコンバージョンを増やす | コンバージョン数を重視して最適化することができます。できるだけ多くのコンバージョン数を獲得するためにご予算を利用できるようになります。 |
コンバージョン値の最大化 | 〇 | 〇 | 予算全体を使いながらコンバージョン値を増やす | ご予算を過不足なく消化しつつ最大限のコンバージョン値を得られるように、入札単価が設定されます。キャンペーンのコンバージョン値を最大化するためにご予算が利用されるようになります。 |
部分一致とスマート自動入札はとても相性が良いです。部分一致で広げたクエリのオークションに対して自動入札は適正な入札価格を設定してくれます。つまり拡張して広げたとしてもコンバージョンに至らなければそのクエリをオークションに参加しない、もしくは入札単価を引き下げてくれます。逆もしかりで獲得見込みが高ければ自動入札はオークションに参加する入札単価を引き上げてくれます。しかしオークション単位の入札をしてくれるのはスマート自動入札のみとなります。
「目標インプレッション シェア」と「クリック数の最大化」も自動入札戦略ですが、オークションごとの自動入札機能は含まれていません。
参照:スマート自動入札ガイド
◇検索広告のスマート自動入札の詳細
機械学習に基づいてコンバージョン数を重視するか、コンバージョンの値を設定している場合はコンバージョン値を重視するかを選べます。機械学習は変化する状況に応じて常に学習を続け、順応することで運用の質を改善していきます。
検索広告の場合 | コンバージョン数(量の最大化) | コンバージョン値(質の最大化) |
効率で最大化 | 目標コンバージョン単価(tCPA)
予算による制限がないことが重要 |
目標広告費用対効果(tROAS)
予算による制限がないことが重要 |
予算内で最大化 | コンバージョン数の最大化
コンバージョン 0 件でも利用可能 |
コンバージョン値の最大化
コンバージョン 0 件でも利用可能 |
参照:目標広告費用対効果に基づく入札について
参照:「コンバージョン値の最大化」入札戦略について
参照:「目標コンバージョン単価制」入札戦略について
参照「コンバージョン数の最大化」による入札について
コンバージョン値の設定について知りたい方はこちらを参照してください。
まとめ:部分一致を運用していくうえで大切なこと
ここまでのおさらいになりますが、部分一致をうまく利用するためには、「部分一致の拡張」「スマート自動入札」「検索クエリの追加と除外」が大切になります。それぞれを実施することにより歯車が噛みあい効果の最大化が出来るので、相関関係があることを覚えておいてください。
本記事では触れていないが大切なこと
本記事では、アカウント構成や広告文については触れておりません。また、自動入札をうまく活用するためには、コンバージョンポイントの適切な設定や、コンバージョンモデル、コンバージョンの数も大切になります。これも歯車の一部になりますので改めて別の記事で紹介します。
自動入札の単価設定も重要ですが、その前に計算指標についてもおさらいが必要です。特にtCPAを利用する場合は以下記事を参考にしてください。
また、指名検索においては、どのマッチタイプが良いのか?についてブランド制限を利用した方法を記載していますので、こちらも参考にしてください。
◇トークン単位の分析も有効な手段
特定のトークン単位の分析も効果改善の有効な手段となります。検索クエリ単位で見ると効果が悪くないように見えますが、特定のトークンを含んでいる場合にCPAが悪いなど除外キーワード設定や、広告アセットへの追加テキストの参考になります。これはYahoo!で作成してくれる検索TD最適化レポートです。Yahoo!の営業担当が付いている場合は是非活用してください。
参照:推奨運用「六連」のアドバンスト版が登場!「六連プラス」とは?のPDF資料85ページ
よくある質問①:検索広告のマッチタイプを変更しても品質スコアはリセットされない!?
結論、リセットされません。
品質スコアは、キーワードと完全に同内容の検索に対するインプレッション実績に基づく評価のため、キーワードのマッチタイプを変更しても品質スコアには影響しません。
参照:品質スコアとは
よくある質問②:同じ文言のキーワードのマッチタイプを複数買うことは効果があるの?
結論、買っても問題ないですが品質スコア観点では良くありません。”キーワードと完全に同内容の検索に対するインプレッション実績に基づく評価”なので、複数のトリガーとなるキーワードがあると実績が分散してしまうからです。ではどれから消すのか?インプレッションが出ているキーワードは品質スコアが高い可能性がありますのでインプレッションが出ていないキーワードから削除します。しかしコンバージョンが獲れている、CPAが良いなどあれば優先順位を変えても良いでしょう。
キーワード | マッチタイプ | 表示回数 | コンバージョン実績 | 状態 |
品質スコアが分散されているため同じ文字配列は一つに絞ったほうが良い | ||||
“合宿免許” | フレーズ一致 | 1,000 | 1件 | |
よくある質問③:てれこワードでも同一ワード扱いになりますか?
てれこキーワードとは、「合宿 免許」「免許 合宿」のことです。すべてのマッチタイプにおいて同一キーワード扱いとなりますので、どちらかを削除してください。
よくある質問④:部分一致を数キーワードだけで効果が出ているのだが!?
運用すればもっと良い実績になりますので、更に高い効果を出してください。
よくある質問⑤:P-MAXと検索キャンペーンはオークションのカニバリがあるのか?
結論、カニバリゼーションが発生します。アカウント内オークションの競合でお互いにCPCを上げあうこともありませんが、どう見せたいか次第です。
- P-MAXと検索キャンペーンのどちらでキャンペーンに数値を付けたいかによって異なります
- 狙ったランディングページや広告文を出したいなら検索キャンペーンで掲載する
私のお客様は獲れれば良いという方が多いので、あまり困ったことはありません。どうしても検索キャンペーンでハンドリングしたい場合はtCPAを利用し単価で傾斜をかけて検索キャンペーンの単価を高くしてください。もしくはマッチタイプによるオークションの優先順位もあるため以下参考にしてください。
ユーザーの検索語句と完全に同じキーワード、または誤字が修正されたキーワードを含む検索キャンペーンが、P-MAX よりも優先されます。たとえば、検索語句が「配菅高」で、完全一致キーワード [配管工] と部分一致キーワード「配管高」の両方をアカウントで使用している場合は、完全一致キーワードが優先されます。ユーザーの検索語句と完全に一致するキーワードがどのキーワード マッチタイプにもない場合は、広告ランクの高いキャンペーンの広告が配信されます。
参照:アカウントの他のキャンペーンと P-MAX の連携の仕組み
詳細のP-MAXの優先順位付けが記載されています。
優先度 | 一致特性 | 解説 |
1 | 検索語句と同一の完全一致キーワード | 「スカイダイビング ライセンス」という検索語句に対して、検索キャンペーンと同一* の完全一致キーワード [スカイダイビング ライセンス] が、他の部分一致キーワードやフレーズ一致キーワード、または P-MAX キャンペーンよりも優先されます。 |
2 | 検索語句と同一のフレーズ一致および部分一致のキーワードまたはP-MAXの検索テーマ | 「スカイダイビング ライセンス」という検索語句に対して、同一* の P-MAX 検索テーマ「スカイダイビング ライセンス」が、フレーズ一致キーワード「スカイダイビング」よりも優先されます。この場合、フレーズ一致キーワードは検索クエリと同一にはなりません。 |
3 | 関連性: AI(人工知能)に基づくキーワードの優先順位付け |
「近くのスカイダイビングの認定資格」という検索語句は、いくつかの広告グループ内のキーワードと一致する可能性があります。この中には、「スカイダイビング ライセンス」などの関連性が高いキーワードもあれば、「初心者向けのスカイダイビング コース」などの関連性が低いキーワードもあります。 この場合、最も関連性の高い広告グループのキーワードのみが考慮されます。 |
4 | 広告ランク | 複数の検索広告キーワードまたは P-MAX 検索テーマが上記の条件に基づいて優先度が同じである場合は、広告ランクが最も高い広告を生成する広告グループまたはアセット グループが優先されます。 |
参照:Google 広告アカウントでのキーワードと検索テーマの優先順位付けについて
また、P-MAXの改善方法については、こちらの記事も参考にしてください。
よくある質問⑥:特定の検索クエリが複数のキーワードをトリガーにして広告グループを行ったりきたりする
マッチタイプを問わず文字配列と一致したキーワードをトリガーにしたほう良いので、出したいキーワード意外の広告グループでは除外キーワード設定が必要です。しかし質問のようなキーワードが多く限度がありますので、運用工数と折り合いをつけて設定してください。
よくある質問⑦:すべての業種で部分一致×スマート自動入札を入れたほうがよいのか!?
筆者はNoだと思います。コンバージョン量が少ない、ご予算を十分に入れられない場合は、完全一致×手動入札でも良いと思っています。また業種によっては拡張する必要がなく特定のキーワードの上位掲載をすれば獲得が獲れるものもあります。
よくある質問⑧:部分一致で検索クエリが広がるならキーワードってなんなの?
キーワードは大まかな掲載したい方針だと思ってください。またキーワード単位に品質スコアが付与されるので、キーワードは品質スコアの貯蔵庫とも言えます。
最後に
弊社で研修を実施した時に、「部分一致の拡張」「スマート自動入札」「検索クエリの追加と除外」をそれぞれ別の研修として実施をすることに違和感を覚えていました。一つ一つが難しい内容であることはわかっているのですが、まとめて記事にしたいと思っていました。是非本記事を参考にしてみてください。
Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しています。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。皆様に直接お会いし、お話しできる機会がありましたら、SEMの運用コンサルから無料相談まで、ぜひお気軽にお声がけください。