この記事は10分で読むことができます。
この記事の要約
2026年度の予算獲得には、1月中に2025年度の振り返りと2026年度の年間提案をセットで経営陣に提示することが重要です。3C分析とアカウントマップを活用し、オークション時の品質を構成する「推定クリック率」「広告の関連性」「LPの利便性」の改善実績を数値で示しましょう。特にLPの利便性ではサイトスピード改善が最も即効性が高く効果測定しやすい施策です。予算は普段のやり取りと信頼関係から生まれるため、今から着実に準備を進めることが成功の鍵となります。
目次
2026年新年度予算を勝ち取るために「今」やるべきこと
新年度の予算獲得は、一朝一夕で実現するものではありません。経営陣を納得させ、予算を確保するためには、普段からのコミュニケーションと信頼関係の構築が何よりも重要です。
予算は「普段のやり取り」から生まれ、「急に予算が降ってくる」ということは、基本的にありません。例外として、3月の期末に埋蔵金が発生するケースはありますが、それも日頃からしっかりとしたやり取りができている代理店や担当者にしか回ってきません。「この代理店なら任せられる」という信頼がなければ、突発的な予算配分の対象にはならないのです。
また、ケアレスミスが多い担当者には仕事が回ってきません。細かい報告ミスや数字の誤り、納期の遅れなどが重なると、重要な予算を任せてもらえる可能性は限りなく低くなります。
1月にやるべきことは「2025年度の振り返りと年間提案」
具体的には、2025年度の振り返りと2026年度の年間提案の2つを実施してください。まず2025年度の振り返りでは、2024年と比較してどのような成果があったのか、どの施策が効果的だったのか、そして課題は何だったのかを明確にします。次に2026年度の年間提案では、2025年度の実績をもとに2026年はこう改善しますという方針を示し、そのために4月から○○万円の予算が必要ですと具体的な金額を提示します。
この2つをセットで提案することで、経営陣は「根拠のある投資判断」ができるようになります。
報告の切り口は多角的に
提案資料には、以下のような多角的な切り口でデータを示すことが効果的です。
- 月別実績
- 検索クエリ別
- 性別・年齢別
- 地域別
- 時間帯別
- デバイス別
そして、新しい切り口として大手代理店でも活用されている「アカウントマップ」を利用することで、運用の健全性を視覚的に示すことができます。次の章で詳しく解説します。
アカウントマップとは?Google広告の運用実績を一目で可視化
経営陣への報告には、月別実績、検索クエリ別、性別・年齢別、地域別、時間帯別、デバイス別など、様々な切り口でデータを示すことが一般的です。しかし、新しい切り口として「アカウントマップ」を活用することで、運用の健全性を視覚的に示すことができます。
アカウントマップとは
アカウントマップとは、推定クリック率、広告の関連性、LPの利便性という3つの要素を可視化したレポートです。
.bmp)
.bmp)
.bmp)
このレポートは、キーワードレポートから品質スコア関連の指標をダウンロードして集計するだけで作成できます。特別な分析ツールは不要で、AIで作ってもらうことも出来ますし、Excelやスプレッドシートで簡単に作成可能です。

なぜアカウントマップが有効なのか
アカウントマップを使うことで、「広告運用が適切に行われているか」を経営陣に一目で示すことができます。数字の羅列ではなく、視覚的に運用状況を把握できるため、経営陣とのコミュニケーションがスムーズになります。ぜひこの切り口で年間提案資料を作成してみてください。オススメは指名と一般ワードを分けて、見たい度で判断することです。注力ワードがある場合は切り分けて見るのも良いでしょう。
なぜ3C分析とオークション時の品質が予算承認に直結するのか
経営陣を納得させるためには、3C分析のフレームワークで現状を説明することが最も効果的です。3C分析とは、Company(自社)、Competitor(競合)、Customer(顧客・市場)の3つの視点から現状を分析するフレームワークです。
- Customer(顧客・市場):市場のトレンドや顧客ニーズはどう変化したのか
- Competitor(競合):競合他社の動向はどうだったのか
- Company(自社):自社の運用はどうだったのか
この3つの視点で説明することで、「外部要因」と「内部要因」を切り分けて報告できるため、経営陣は状況を正確に理解できます。3C分析の中でも、Company(自社)の運用実績を示す際に重要になるのが「オークション時の品質」で、以下の3つの要素から構成されます。
- 推定クリック率(推定CTR)
- 広告の関連性
- ランディングページの利便性
この3つの要素を改善することで、より少ない費用でより高い掲載順位を獲得できるようになります。つまり、広告予算の費用対効果を高めることができるのです。経営陣に「自社の運用は適切に行われており、改善の余地もある」ということを示すために、この3要素を可視化したアカウントマップが有効なのです。
推定クリック率(predict CTR):過去実績から見る広告の魅力度
推定クリック率とは、お客様の広告が表示された場合にクリックされる可能性の高さを示す指標です。この指標は、過去の掲載結果をもとに判定されます。
つまり、過去に広告がどれだけクリックされたかという実績データから、「この広告はユーザーにとって魅力的かどうか」を推定しているのです。
推定クリック率の改善方法
推定クリック率のステータスが「平均より下」または「平均的」の場合は、以下の点を意識して改善を図りましょう。
1. 広告文を編集して、ターゲット ユーザー層への訴求力を高める
2. 広告に含める情報を、そのキーワードで検索するユーザーの意図とマッチさせる
これは、キーワードの追加と除外が重要になってきます。インテントマッチで拡張しすぎると、意図しない検索クエリにも広告が表示されてしまい、推定クリック率が低下します。そのため、除外キーワード設定が必須です。
3. 商品やサービスの独自の強み(例:送料無料)を強調する
4. ランディング ページの内容に直結する「行動を促すフレーズ」を何種類か用意し、効果を比較する
「購入」「販売」「注文」「閲覧」「見つける」「申し込む」「試す」「見積もり」などの表現を使います。
5. 広告文の具体性を高める
これらの改善施策を実施することで、推定クリック率を向上させ、広告の魅力度を高めることができます。
広告の関連性:1広告グループ=1訴求が成功の鍵
広告の関連性とは、お客様の広告がユーザーの検索の意図と一致する度合いを示す指標です。
一般的に広告、キーワード リスト、リンク先ページの関連性が高いと、より少ない費用でより高い掲載順位を獲得できるようになっています。
参照:品質スコアを使って広告のパフォーマンスを高める 5 つの方法 – Google 広告 ヘルプ
広告の関連性の改善方法
広告の関連性のステータスが「平均より下」または「平均的」の場合は、以下の点を意識して改善を図りましょう。
1. 1広告グループ=1訴求にする(最重要)
同じ広告では対応できないキーワードが多数詰め込まれている広告グループは、複数の広告グループに分割することで、ユーザーの検索内容とマッチさせやすくなります。
逆に、細かく分けすぎていても同じテーマ群だったら1つの広告グループにまとめることも重要です。キーワードをテーマ別にグループ化し、1つの広告グループで1つの訴求に絞りましょう。
例えば、指輪を販売している場合には、「婚約指輪」のグループや「結婚指輪」のグループを設けてキーワードをまとめます。
参照:品質スコアを使って広告のパフォーマンスを高める 5 つの方法 – Google 広告 ヘルプ
2. 広告文の表現を、より直接的にユーザーの検索語句の表現と合致させる
3. キーワードを広告テキスト(特に広告タイトル)に含める
検索内容に直接関連性のある広告であることをユーザーにアピールできます。広告テキスト内に検索クエリが含まれていれば、ユーザーはその広告が目的に関連するものであると考えます。
この中でも、1広告グループ=1訴求という原則が最も重要です。適切な粒度で広告グループを設計することが、広告の関連性を高める鍵となります。
LPの利便性:実務で最も効くのはサイトスピード改善
ランディングページの利便性のステータスが「平均より下」または「平均的」の場合は、以下の点を意識して改善を図りましょう。
1. サイトスピード(ページ読み込み速度)を改善する(最重要)
理論的にはすべての要素が重要ですが、実務で最も即効性があり、効果測定しやすいのがサイトスピードの改善です。Googleの調査によると、ページの読み込み時間が1秒から3秒に増えると、直帰率は32%上昇します。さらに、読み込み時間が1秒から5秒になると、直帰率は90%も上昇するというデータがあります。
-
- PageSpeed Insightsで現状を測定する
- 画像ファイルを圧縮する(TinyPNGなどのツールを活用)
- 次世代フォーマット(WebP)を使用する
- 不要なJavaScriptやCSSを削減する
- CDN(コンテンツ配信ネットワーク)を導入する
- モバイル環境での表示速度を優先的に改善する
2. 広告との関連性を高める
広告文で訴求した内容がLPのファーストビューに明確に表示されているか確認し、キーワードに対応したコンテンツがLPに含まれているか確認します。
3. ナビゲーションを改善する
ユーザーが求める情報にすぐにアクセスできるよう、CTAボタンを分かりやすい位置に配置し、フォームの入力項目を最小限にします。
4. 信頼性を示す要素を追加する
会社情報、連絡先を明記し、プライバシーポリシーを掲載します。お客様の声や実績を掲載することも効果的です。
5. モバイル対応を徹底する
現在、Google広告の多くのトラフィックはモバイルからです。モバイルでタップしやすいボタンサイズにし、スマートフォンでも快適に閲覧できるデザインにします。
参照:ランディング ページの利便性を改善する – Google 広告 ヘルプ
この中でも、サイトスピードの改善が最も効果が高く、測定しやすい施策です。2026年度の予算獲得に向けた年間提案では、「2025年にサイトスピードを○○%改善し、品質スコアが向上した結果、CPAが○○%削減できた」といった具体的な実績を示すことで、経営陣の信頼性を得やすくなります。
最後に
2026年度の予算を獲得するためには、2025年度の振り返りと2026年度の年間提案をセットで経営陣に提示することが不可欠です。そして、その提案の説得力を高めるために、3C分析のフレームワークとアカウントマップを活用しましょう。
特に、オークション時の品質を構成する「推定クリック率」「広告の関連性」「LPの利便性」の3要素を改善することで、より少ない費用でより高い掲載順位を獲得できるようになります。
推定クリック率は、広告文の訴求力とキーワードの精度がカギです。広告の関連性は、1広告グループ=1訴求という原則を徹底することで改善できます。そして、LPの利便性については、サイトスピードの改善が最も即効性が高く、効果測定もしやすい施策です。
これらの施策を2025年のうちに実施し、実績を数値で示すことができれば、経営陣は「この担当者なら予算を任せられる」と判断してくれます。予算は普段のやり取りと信頼関係から生まれるものです。今から着実に準備を進め、2026年度の予算獲得を実現しましょう。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。








