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P-MAX最適化実験のA/Bテスト機能(Beta)とは?画像・動画・テキストの50:50比較が可能に

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この記事の要約

GoogleがP-MAXに新たなA/Bテスト機能(Beta)をリリース。画像・動画・テキストアセットを50:50のトラフィック分割で公平に比較できるようになりました。従来のアセット実績レポートではGoogleの最適化による偏りがありましたが、この機能で純粋なアセット効果を検証可能に。ただし対象はクリエイティブアセットのみで、ランディングページ(最終URL)は対象外です。推奨される使い方は同一訴求内のバリエーション比較(画像の角度違い、テキストの表現違いなど)。異なる訴求軸のテストは自動最適化を阻害し逆効果になるため避けるべき。実験期間は4〜6週間推奨。LPテストができない点は残念ですが、クリエイティブ最適化には有効な機能です。

P-MAX最適化実験(A/Bテスト)機能の概要:画像・動画・テキストの50:50比較が可能に

GoogleがP-MAXキャンペーンに新たな最適化実験機能(Beta)をリリースしました。この機能により、これまで公平な比較が難しかった画像・動画・テキストアセットのA/Bテストが可能になります。

従来、P-MAXではアセットタブ内の「パフォーマンス」から、画像・動画・テキストアセットそれぞれの個別実績を確認できました。しかし、これはGoogleの自動最適化に任せた結果であり、インプレッション量に偏りがある可能性がありました。例えば、画像Aが多く表示されたのは、その画像が優れているからなのか、それともたまたまマッチする検索クエリが多かっただけなのか、判断が難しかったのです。

今回の最適化実験機能では、アセットグループ単位でトラフィックを任意の割合(推奨は50:50)に分割し、異なるアセットセットを比較できます。これにより、Googleの最適化による偏りを排除し、純粋にアセットの効果を検証できるようになりました。

具体的には、Control(既存アセット)とTreatment(新規または別のアセット)の2グループに分け、それぞれに振り分けられたトラフィックでのパフォーマンスを比較します。実験期間は4〜6週間が推奨されており、実験中はアセットの編集がロックされるため、テスト結果の信頼性が担保されます。

なお、この機能の対象は画像・動画・テキストアセットであり、ランディングページ(最終URL)は対象外です。LPのテストを行いたい場合は、別の「最終URL拡張機能のテスト」を使用する必要がありますが、これはURLを拡張してランディングページにするテストであり、ランディングページのABテストを行うものではありません。

参照:About Performance Max optimization experiments: A/B testing assets (Beta)

正しい使い方:同一訴求内のバリエーション比較に特化

この最適化実験機能を効果的に活用するには、同一訴求軸内でのバリエーション比較に用途を絞ることが重要です。異なる訴求軸のテストを行うと、P-MAXの自動最適化を阻害し、逆効果になる可能性があります。

推奨されるテストパターン

画像のテスト(類似バリエーション)

  • 同じ商品の撮影角度違い(正面 vs 斜め45度)
  • 同じモデルのポーズ違い
  • 背景色のバリエーション(白背景 vs グレー背景)
  • 商品配置の違い(中央配置 vs 左寄せ配置)

動画のテスト(尺や構成の違い)

  • 同じ内容で尺の違い(15秒 vs 30秒)
  • オープニングの有無
  • テロップの入れ方の違い
  • BGMのテンポ違い

テキストのテスト(同一訴求内の表現違い)

  • 価格訴求内での比較:「激安」vs「格安」vs「最安値」
  • 信頼訴求内での比較:「口コミ多数」vs「高評価」vs「お客様満足度95%」
  • 実績訴求内での比較:「販売実績10万件」vs「選ばれて10年」

これらは同じ訴求軸なので、どのクエリに対しても同じようなマッチングが期待できます。そのため、トラフィックを50:50に分割しても、公平な比較が成立します

絶対に避けるべき使い方:異なる訴求軸のテスト

一方、以下のようなテストは絶対に避けてください!!

  • 「激安」(価格訴求) vs 「口コミ多数」(信頼訴求)
  • 商品クローズアップ画像 vs 笑顔のモデル画像
  • 価格強調動画 vs お客様の声動画

なぜこれらがNGなのか?P-MAXは本来、検索クエリやコンテンツとの関連性に基づいて、最適なアセットを自動選択します。「激安 商品名」と検索したユーザーには価格訴求を、「口コミ 商品名」と検索したユーザーには信頼訴求を自動的に出し分けているのです。

ところが、トラフィックを50:50に強制分割すると、この最適化が無効化されます。「激安」と検索したユーザーの50%には「口コミ多数」が表示され、「口コミ」と検索したユーザーの50%には「激安」が表示されることになります。結果として、両方の検索クエリでインプレッション機会を損失し、全体のパフォーマンスが低下します。

さらに危険なのが、テスト結果を見て「口コミ訴求が負けたから削除しよう」と判断してしまうケースです。これは検索ボリュームの影響で「激安」関連のクエリが多かっただけかもしれません。口コミ訴求を削除すると、今度は「口コミ」「評判」「レビュー」といったクエリでのインプレッションが激減し、全体のリーチが縮小してしまいます。

マルチモーダルAIの影響

この問題はテキストだけでなく、画像や動画でも同様です。現在のGoogleはマルチモーダルAIにより、画像や動画の内容を理解しています。

例えば、「笑顔の女性が商品を持っている画像」と「商品のクローズアップ画像」では、配信されるコンテキストやターゲティングが変わります。高級感のある動画とカジュアルな動画でも、配信先が異なってきます。異なる訴求の画像・動画をA/Bテストすると、テキストと同じくインプレッション機会の損失を生み出すことになります。

【大前提】1アセットグループ = 1訴求軸

この機能を正しく使うには、1アセットグループには1つの訴求軸のみを入れるという設計が前提です。価格訴求と信頼訴求を同じアセットグループに混在させている時点で、P-MAXの運用設計として誤っています。

訴求軸が複数ある場合は、訴求ごとに別のアセットグループ、または別のキャンペーンを作成しましょう。そうすることで、この最適化実験機能を「訴求内のバリエーション比較」という本来の目的で活用できます。

運用上の留意点

最後に、この最適化実験機能を使う上での留意点をまとめます。

アセットグループ単位での実験

この機能は1実験につき1アセットグループが対象です。キャンペーン単位ではありません。

1つのキャンペーン内に複数のアセットグループがある場合、それぞれのアセットグループで個別に実験を作成する必要があります。例えば、5つのアセットグループがあるキャンペーンで全てをテストしたい場合は、5つの実験を別々に設定することになります。一方で、テストしないアセットグループは通常運用を継続できるため、訴求別に段階的にテストを進めることが可能です。

チャネル別パフォーマンスレポートの限界

P-MAXには「チャネル別パフォーマンス」というレポートがありますが、これはアセットグループごとのチャネル別実績を確認することはできません

そのため、「画像を差し替えたことでYouTubeの配信比率が変わった」といった検証は困難です。あくまで実験前後での比較として、全体のパフォーマンス指標(コンバージョン数、コンバージョン単価など)で判断することになります。

ただし、アセットタブでは個別アセットのパフォーマンスは確認できますので、実験全体の傾向とアセット別の実績を組み合わせて分析することが重要です。

短期検証向き、長期運用には不向き

実験中はアセットグループの最適化ロジックが制約されます。トラフィックを強制分割することで、本来の自動最適化が十分に機能しない状態になるためです。

そのため、推奨される実験期間である4〜6週間で検証を完了させ、勝ちパターンが確定したら速やかに通常運用に戻すべきです。実験を長期間継続すると、機会損失が蓄積する可能性があります。

実験結果の適用方法

実験終了後は、結果を確認して以下のいずれかを選択できます。

  • 「実験を適用」:トリートメントアームのアセットをアセットグループに追加(またはコントロールアームのアセットを削除)
  • 「実験を終了」:テストを停止し、アセットグループを元の状態に戻す

ただし、異なる訴求軸のテストを行っていた場合は、「負けた方を削除」という判断は避けてください。前述の通り、これはインプレッション機会の損失につながります。

多訴求運用の場合の対応

3つ以上の訴求(価格・信頼・品質など)を展開したい場合は、訴求ごとに別のアセットグループ or キャンペーンを作成することを推奨します。それぞれの訴求が独立して最適化され、この実験機能も訴求内バリエーション比較という本来の目的で活用できます。

最後に

この最適化実験機能は、P-MAXで長らく課題だった「アセットの公平な比較」を実現する画期的な機能です。トラフィックを50:50に分割することで、Googleの最適化による偏りを排除し、純粋にアセットの効果を検証できるようになりました。

ただし、対象は画像・動画・テキストのみで、ランディングページ(最終URL)は対象外です。多くの広告運用者が期待していたLPのA/Bテストができない点は非常に残念です。LPはコンバージョンに最も直結する要素であり、その効果測定ができないのはP-MAXの大きな制約として残り続けます。

正しく使えば、同一訴求内のクリエイティブ最適化には有効です。ただし、異なる訴求軸のテストは避け、短期検証に留めることが重要です。今後のアップデートでLPテストにも対応することを強く期待します。

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