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Google広告 検索・YouTubeのオーディエンスリスト要件を100ユニークユーザーに緩和|カスタマーマッチ自動化で中小企業も本格活用へ

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この記事の要約

2025年12月、Google広告が検索・YouTubeのオーディエンスリスト要件を1,000ユニークユーザーから100ユニークユーザーに緩和しました。Cookie規制で困難になった中小企業の検索リマーケティングが現実的になります。さらに重要なのが、未だに知らない人が多い「カスタマーマッチ自動生成機能」です。管理画面で1分設定するだけで、手動CSVアップロード不要になります。加えて、高市政権の個人情報保護法見直しにより、2026年以降は国保有データの民間活用も視野に入ります。運用者は目先の設定変更だけでなく、こうした大きな潮流を理解し、準備を進めることが求められています。

この記事はVoicy「Google広告のカスタマーマッチの自動生成と2026年のデジタルマーケティング予測【石黒堂】」で聴くことができます。

Google広告が検索・YouTubeのオーディエンスリストの最低要件を1,000人→100人に引き下げ

2025年12月下旬、Google広告は検索ネットワークとYouTubeにおけるデータセグメント(オーディエンスリスト)の最低サイズ要件を大幅に変更した。従来、検索とYouTubeでリマーケティングを実施するには過去30日間で1,000人のアクティブユーザーが必要だったが、この要件が100人に引き下げられました。

Google広告の公式ヘルプページの更新として確認された。これにより、ディスプレイ、検索、YouTubeの全ネットワークで要件が統一されます。

ネットワーク 変更前 変更後
検索ネットワーク RLSA(検索用リマーケティングリスト):1,000UU
カスタマーリスト:100UU
100UU(統一)
YouTube リマーケティングリスト:1,000UU
カスタマーリスト:100UU
100UU(統一)
ディスプレイネットワーク 100UU 100UU(変更なし)

※UU(ユニークユーザー):設定した期間のアクティブなユーザー数
参照:広告主様のデータ セグメントの対応状況について

特筆すべきは、従来「カスタマーリスト」のみに適用されていた100人要件が、ウェブサイト訪問者ベースの「リマーケティングリスト」にも拡大された点だ。これは中小規模の広告主にとって、検索広告でのリマーケティング活用が現実的な選択肢になることを意味します。

  • 月間PV数千程度のサイトでも検索リマーケティングが可能に
  • BtoB企業や地域密着型ビジネスでの活用ハードルが大幅に低下
  • ニッチ商材を扱う事業者でも検索広告の精度向上が現実的に

例えば、月間500UU程度のBtoB企業サイトの場合、従来は検索リマーケティングが使えなかったが、今回の緩和により過去30日で100UU集まれば活用可能になります。

なぜカスタマーマッチが重要なのか – Cookie規制時代の生存戦略

リスト要件が100人に緩和されたことは分かりました。しかし、そもそもなぜカスタマーマッチを使う必要があるのかを理解していない運用者が多いのが現状です

従来のリマーケティングリストは、ブラウザのCookieを使ってユーザーを追跡していました。しかし、iOSのITPにより、このCookieが7日間で消える環境になっています。

つまり!

  • サイト訪問から8日後に再訪したユーザー → 別人として認識される
  • リマーケティングリストから脱落
  • 再度広告を見せることができない

カスタマーマッチはCookieに依存しない

一方、カスタマーマッチはメールアドレスや電話番号で各媒体のユーザー情報を識別させます。これらの情報はCookieと異なり、7日間で消えることはありません。

  • Cookieが消えてもユーザーを追跡可能
  • Googleアカウントにログインしている限り、デバイスを跨いでも同一人物として認識
  • より長期的なリターゲティングが可能

つまり、Cookie規制が進む今、カスタマーマッチは必須の施策になっています。今回の100人緩和により、この強力な機能が中小企業でも使えるようになったのです。

カスタマーマッチリストの実践的活用方法

自動生成されたリストを、実際にどう活用するのでしょうか。具体的な設定方法と効果を解説します。

検索広告(RLSA)での活用

リストを検索キャンペーンに追加すると、サイト訪問済みユーザーに対して入札を+50%引き上げたり、購入完了ユーザーを除外して無駄な広告費を削減したりといった入札単価の調整が可能になります。

また、広告文の出し分けも効果的です。初訪問者には「初回限定キャンペーン実施中」、サイト訪問済みユーザーには「前回ご覧いただいた商品が20%OFF」、カート放棄者には「カートに商品が残っています」といったように、ユーザーの行動段階に応じたメッセージを配信できます。

さらに、競合比較キーワードでの積極配信も有効です。自社サイト訪問済みユーザーが「競合社名」で検索した際に広告を表示することで、通常は入札を控えるキーワードでも、訪問済みユーザーに限定して積極的に入札できます。

P-MAX新規顧客獲得目標(NCA)での活用

最も効果的な使い方がP-MAXキャンペーンでの活用です。「新規顧客獲得目標」に購入済み顧客リストを除外設定することで、既存顧客への無駄な広告費を削減し、新規顧客のみに配信できます。他にも休眠ユーザー向けなど新しいP-MAXも増えています。

YouTube広告とディスプレイ広告での活用

YouTube広告では、ユーザーの行動段階に応じて動画を出し分けることができます。すでに購入した顧客には関連商品のアップセル動画を、カートに商品を残したまま離脱した人には特別オファーの動画を、まだ購入していないサイト訪問者には商品の使い方や魅力を伝える動画を配信できます。。

【重要】Googleが推奨する「カスタマーマッチ自動生成機能」とは

今回のリスト要件緩和と合わせて注目すべきが、Googleが積極的に推奨している「コンバージョンベースの顧客リスト(Conversion-based customer lists)」機能です。この機能を知らない運用者が非常に多く、未だにカスタマーマッチリスト作成を手動でCSVをアップロードしている事例が散見されます

実際にGoogle広告の営業担当から送られてくる推奨メールには、以下のような文面が記載されています。

カスタマーマッチの自動生成機能をご提案させて頂きたく、メール致しました。
機能と致しましては、コンバージョンをベースとしたオーディエンスリスト(顧客リスト)の作成となり、
拡張コンバージョンの機能を使って都度メールアドレスを照合させながらのリスト作成になるため、
常に最新のオーディエンスリストを作ることが可能になります。

設定箇所:管理者>アカウント設定>カスタマーマッチ>コンバージョンタグの
「コンバージョンベースの顧客リストを有効にする」にチェックを入れて保存

※チェックを入れ次第リストが蓄積されるため、リストが使えるようになるまではラグがあることご了承下さい
※設定は1分程度で完了します。

項目 従来の手動CSV方式 自動生成方式
データ準備 CRM/MAツールからエクスポート 不要(自動収集)
ハッシュ化 手動で実施が必要 自動で実施
アップロード 媒体の規格に整形して手動アップロード 設定ONのみ(1回)
更新頻度 定期的な手動更新が必要 リアルタイム自動更新
運用工数 高い(定期作業発生) ほぼゼロ
設定時間 初回30分〜数時間 1分

従来の手動CSVアップロードはもう古い – 1分で完了するGoogle管理画面の設定方法

「カスタマーマッチ」と聞くと、多くの運用者が「顧客リストをCSVで用意してアップロードする機能」と認識していますが、以下の方法でGoogle管理画面から設定が可能です。

⚠️ 設定前の重要な注意事項①

必ず広告主の法務部門に確認を取ってください。

この設定により、ユーザーのメールアドレスや電話番号などの個人情報がGoogleに送信されます。プライバシーポリシーでの明記や、適切な同意取得が必要です。法務確認なしでの設定は、後々大きな問題に発展する可能性があります

⚠️ 設定前の重要な注意事項②

拡張コンバージョンを既に設定している必要があります。

ただし、実際には拡張コンバージョン未設定でも一部データが自動取得されているケースが確認されています。確実にデータを取得したい場合は、事前に拡張コンバージョンを設定しておくことをお勧めします。

1分で完了するGoogle管理画面の設定方法

Google広告へログイン > 管理者 > アカウント設定 > カスタマーマッチへ遷移して、チェックをすべて入れてから保存します。具体的には以下の項目にチェックを入れます。

  • 「スマート自動入札と最適化されたターゲティングで、すべてのカスタマー マッチ リストを使用する」
  • 「コンバージョン ベースの顧客リストを有効にする」

以上で設定完了です。

設定後に自動生成されるリスト

設定をONにすると、Google広告で設定されている各コンバージョンアクションごとに、自動的にリストが生成されます。

オーディエンスマネージャーで確認できるリストの例

  • Purchase (Conversion-based)
  • Subscribe paid (Conversion-based)
  • Contact (Conversion-based)
  • Download (Conversion-based)
  • Lead (Conversion-based)

リスト名の末尾に「(Conversion-based)」と表示されているものが、自動生成されたリストです。

リスト蓄積の開始タイミング

設定をONにした瞬間から、新規コンバージョンがリストに蓄積され始めます。ただし、過去のコンバージョンは遡って追加されません。そのため、法務確認が取れ次第、早めに設定しておくことが重要です。

最低100UUのリストサイズに達するまでの期間は、サイトのコンバージョン数によって異なりますが、月間100CV以上発生しているサイトであれば、約1ヶ月程度でリストが利用可能になります。

「コンバージョンベースの顧客リスト」の仕組み解説

カスタマーマッチの自動生成機能は、一体どのようにしてユーザーのメールアドレスや電話番号を取得しているのでしょうか。この仕組みを理解することで、より効果的な活用が可能になります。

データ取得の仕組み

Google広告のコンバージョンタグは、フォーム送信時に以下の情報を自動的に検出します。

参照:Set up conversion-based customer lists – Google Ads Help

パターンマッチングによる自動検出

  • @マークを含む文字列 → メールアドレスと判定
  • 090080070で始まる数字 → 電話番号と判定
  • 自動的にSHA-256形式でハッシュ化してGoogleへ送信

つまり、お問い合わせフォームや会員登録フォームで入力されたメールアドレスや電話番号を、Googleが自動的に抽出してリスト化しています。

実際の運用アカウントで確認できた自動生成リストの例を紹介します。

サイト内コンバージョン由来

  • 媒体コンバージョンタグ (Conversion-based) – 3,600UU
  • Purchase (Conversion-based) – 3,600UU
  • Subscribe paid (Conversion-based) – 490UU
  • Contact (Conversion-based) – 登録中
  • Lead (Conversion-based) – 登録中
  • Download (Conversion-based) – 登録中

Google Maps(ビジネスプロフィール)由来

  • Get directions (Conversion-based) – 登録中
  • Store visit (Conversion-based) – 登録中
  • Phone call lead (Conversion-based) – 登録中
  • Page view (Conversion-based) – 登録中

YouTube由来

  • YouTube follow on views (Conversion-based) – 登録中

「登録中…」と表示されているリストは、まだ100UUに達していないため、配信には使用できない状態です。

リスト名 検索 YouTube ディスプレイ Gmail
Purchase 3,600 3,400 3,000 3,100
Subscribe paid 490 470 410 350

なぜネットワークごとにサイズが異なるのか

これは、各ネットワークでマッチング可能なユーザー数が異なるためです。主な理由は3つあります。

まず、Googleアカウントへのログイン状態の違いです。YouTubeやGmailはほぼ全ユーザーがログイン状態で利用しますが、検索はログインせずに使うユーザーが一定数存在し、ディスプレイ広告はログアウト状態での閲覧が多くなります。

次に、利用デバイス・ブラウザの違いも影響します。同じ人でもPC、スマホ、タブレットで異なるGoogleアカウントを使用していたり、仕事用とプライベート用でアカウントを使い分けているケースがあります。

最後に、マッチング精度の差です。YouTubeやGmailはGoogle直接サービスのためマッチング率が高い一方、ディスプレイは外部サイトへの配信のため、マッチング率が相対的に低くなります。

このため、同じ「Purchase」リストでも、検索では3,600人、ディスプレイでは3,000人という差が生じます。運用時はネットワークごとの実際のリーチ数を確認しながら、配信設計を行う必要があります

自動生成されるリストの全種類とデータソース詳細

カスタマーマッチをONにすると、複数のデータソースから自動的にリストが生成されます。ここでは、実際にどのようなリストが作られるのか、データソース別に詳しく解説します。

サイト内コンバージョン

Google広告タグ経由で取得されるリストでサイト上で設定したコンバージョンアクションごとにリストが自動生成されます。

  • Purchase(購入) – ECサイトの購入完了
  • Subscribe paid(有料登録) – サブスクリプション契約
  • Contact(問い合わせ) – 問い合わせフォーム送信
  • Lead(リード獲得) – 資料請求、見積依頼等
  • Download(ダウンロード) – ホワイトペーパー、アプリ等
  • Engagement(エンゲージメント) – 特定ページ閲覧、動画視聴等
  • Phone call lead(電話問い合わせ) – 電話発信ボタンクリック

Google Analytics 4でeコマーストラッキングを設定している場合、GA4側のコンバージョンイベントからもリストが生成されます。

  • GA4の「purchase」イベント
  • GA4のカスタムコンバージョン

これらはGoogle広告にインポートしたコンバージョンとして表示され、カスタマーマッチON後はリスト化の対象になります。

Google Maps(ビジネスプロフィール)

Google ビジネスプロフィールと連携している場合、ロケーションアセット(旧:住所表示オプション)を設定していると、Google Maps上でのユーザー行動が自動的にコンバージョンとして記録され、リスト化されます。

  • Get directions(ルート検索) – 「ルート」ボタンのクリック
  • Store visit(来店) – 実店舗への訪問(位置情報ベース)
  • Phone call lead(電話発信) – 「電話」ボタンのタップ
  • Page view(プロフィール閲覧) – ビジネスプロフィールページの表示
  • Contact(問い合わせ) – メッセージ送信
  • Lead(リード) – 上記アクション全般を含むリード獲得
  • Engagement(エンゲージメント) – 写真閲覧、ストリートビュー、クチコミ閲覧等(推測)

これらは「Google Hosted Conversions(Googleホスト型コンバージョン)」と呼ばれ、広告主が特別な設定をしなくても、ロケーションアセットを有効にするだけで自動的に記録されます

YouTube・その他Googleサービス系

  • YouTube follow on views – チャンネル登録、動画視聴等のエンゲージメント
  • Download – アプリダウンロード(Google Play経由)

これらのリストは、各Googleサービスでユーザーがログイン状態で行った行動を基に生成されます。

ソースとなるデータ配信先の選択オプション

個別選択する場合、以下のサービスから配信先を選べます。すべてのGoogleサービス(推奨)ですが、それ以外だとソース(配信先)を選ぶことが可能です。

  • 広告サービス – Google広告全般(ディスプレイ、検索、YouTube広告等)
  • 地図 – Google Maps関連サービス
  • Play – Google Playストア
  • 検索ネットワーク – Google検索、検索パートナーサイト
  • ショッピング – Googleショッピング
  • YouTube – YouTube

【展望】高市政権の個人情報保護法見直しとマイナンバー連携の可能性

今回のカスタマーマッチ自動化は、広告主が保有するファーストパーティデータの活用を前提としていますが、今後はさらに大きな変化が起こる可能性があります。それが、国が保有する個人情報の民間活用です。

  • 国が保有する個人情報を民間事業者が利用できるよう法改正
  • デジタル庁が窓口となり、民間事業者の利用計画を審査する新制度
  • 来年の通常国会への法案提出を予定

現時点では構想段階ですが、「ファーストパーティデータ → サードパーティデータ規制 → 再びファーストパーティデータ重視 → 国保有データの民間活用」という流れは、デジタルマーケティング業界にとって大きな転換点になる可能性があります。

参照:高市総理 個人情報保護法の見直しを指示 来年の通常国会提出へ – TBS NEWS DIG

最後に

今回のGoogle広告におけるリスト要件100人への緩和は、表面的には小さな変更に見えますが、実は非常に大きな意味を持つアップデートです。Cookie規制が進む中、中小企業やニッチ事業者にとって検索リマーケティングという強力な武器が現実的な選択肢になったことは、デジタルマーケティングの民主化とも言えるでしょう。

さらに重要なのは、カスタマーマッチの自動生成機能です。この機能を知らずに、未だに手動でCSVをアップロードしている運用者が多いという現実には驚かされます。Googleは2022年から段階的にこの機能を推進してきましたが、情報格差によって恩恵を受けられていない広告主が多数存在しています。

そして、高市政権による個人情報保護法の見直しは、今後のデータ活用環境を大きく変える可能性を秘めています。ファーストパーティデータの重要性が高まる今、官民データ連携という新たな選択肢が加わることで、2026年以降のデジタルマーケティングは全く異なる景色になるかもしれません。運用者は目先の設定変更だけでなく、こうした大きな潮流を理解し、準備を進めることが求められています。

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