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Spider Summit for AI 2025レポート|Spider Summit for AI参加者220名の質問へのご回答

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記事サマリー

この記事を読んでわかること

    • Spider Summit for AI 2025のセミナーの様子

こんな方へオススメの記事

    • アドフラウド対策や広告自動化ツールの導入を検討している広告運用者

この記事を実践するための準備

    • AIの基本的な運用知識

セミナーを振り返って

Spider Summit for AIにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。220名もの応募をいただき、当日は雨の影響で来場者数が心配されましたが、多くの方にご参加いただけて素晴らしいイベントとなりました。

参照元:AIとマーケティングの「いま」と「これから」を語る1日

会場のザ ストリングス表参道では、非常に美味しいお食事とともに参加者同士の親交を深めることができ、景品としてディズニーのペアチケットも当たるなど、盛り上がりのあるイベントとなりました

印象的だったセッション内容

Google Cloud Japanの基調講演では、Scenario Builder(シナリオビルダー)というベータ版機能が非常に印象的でした。絵コンテを簡単に作成でき、動画生成に大変役立つ優秀なツールだと感じました。

コンバージョンの質に関するセッションでは、海外での不正コンバージョンの多さに驚きました。AIの発達により、AIによるターゲティングがコンバージョンデータをもとに配信を拡大していく中で、フェイクのコンバージョンを増やすことで特定の配信先に誘導する手法が横行しているとのことでした。日本ではまだフェイクは少ないものの、増加傾向にあるため、Spider AFのようなアドフラウドツールの必要性を改めて感じました

私も登壇しましたTBCの釣井様のクリエイティブAI活用事例では、AIでクリエイティブを生成し、100種類以上を簡単に作成できるようになった一方で、最終的な選定と意味付けは人間が行い、各媒体の広告配信により効果を決定されているというお話は納得しました。また、AIへのインプット(プロンプト)が年々複雑になっているという話は、各社が自社に特化したインプット手法を洗練させる必要があることを示していました

Spider AFの大月社長の発表では、GTM用のAI監視ツール開発構想が印象的でした。子タグで不正なスクリプトが走っていないかの監視や、不要なタグの発見、個人情報を過度に取得するスクリプトの検知など、まさに現場で求められているツールの構想で、大きな需要があると感じました。なんとなく計測に必要なタグではなく、本当に導入して良いのかを選ぶのに必要だなと改めて思いました。

特に懇親会では、立食形式で参加者同士や登壇者との交流が活発に行われ、現場の課題や気づきをざっくばらんに話すことができる貴重な時間となりました。セッション中では聞けなかった詳細な質問や、各社の取り組み事例について直接情報交換できる機会として、多くの参加者に好評をいただきました。そして懇親会のハイライトとなったのが、豪華景品が当たるくじ引き大会でした!ディズニーのペアチケットをはじめ、高級肉や新鮮な魚といった魅力的な景品が用意され、当選者の発表では会場が大いに盛り上がりました。参加者の皆様の笑顔と歓声で、イベント全体が素晴らしい雰囲気で締めくくられました

弊社がセミナーお話をした内容

①代理店として、クライアントに提⽰している投資判断の基準や⼯夫は何ですか?

まず、投資の判断をしてもらうためには、配信している媒体のパワーを100%発揮できているかどうかが重要です。車で例えると非常にわかりやすいのですが、車の性能が全然発揮できなくて時速20キロしか出ていないのに「コンバージョンが取れていません」と判断するのは間違いです。つまり、まずは媒体の力を100%引き出すということが大事になってきます。

その上でやることは何かというと、媒体のアルゴリズムに徹底的に寄り添うことです。しかしAIが綺麗に学習をしてくれるとは限りません。これに対して手動でそれぞれ調整していくというアプローチを取っています。

②AIや⾃動化ツールを導⼊した際の成功・失敗の具体的な事例

AI MAXの話をさせていただきましたが、これは検索広告をプラスオンにしてシグナルを増やしてくれる機能になります。AI Maxでできることは以下の通りです。

  • 検索語句の拡張
  • 広告文の自動生成
  • 関連地域シグナルの強化
  • 最終URLの自動拡張

ここからさらに深掘りしてお話しさせていただきました。結論から言うと、まだ2025年9月現在の日本においてAIO(AI Overview)に検索広告が出ていないので、そこまでAI MAXというのを積極的に入れる必要はなく、従来通りのインテントマッチを実施していれば十分なところがあります。

ただし、AIOとAIモードに検索広告が出るようになれば、AI MAXを導入するとAIOに広告が出やすくなるため、これはもう必須の機能になってきます

日本AIモード対応!AI Overviews広告を表示させる設定と最適化戦略

③最適化の取り組みや工夫に加えて、実践しているTipsや不正対策のポイントを教えてください。

やることは媒体のアルゴリズムを徹底的に活用することと、ツールのPoC(概念実証)も行っております。

 

不正対策のアドフラウドツール「 Spider AF」を入れないと、やはり不正な配信面への掲載が発生します。2025年6月にもGoogle広告で大きな返金騒動があったので、アドフラウドツールを入れて対策しておかないと、検索ネットワークやディスプレイ広告の海外配信などで広告費を無駄にしてしまいます。

広告自動運用ツールの「Shirofune」も導入しており、これは現在日本ナンバー1の広告自動化ツールです。何ができるかというと、一言で言うと予算のアロケーションができます。媒体やメディアをまたいだ予算アロケーションや自動入札の単価調整、LTVを加味したレポートや入札をしてくれます。

そして、P-MAXのβ版除外とブランド関連検索はこちらを参照していただければ幸いです。

P-MAX除外機能の最新アップデート|キーワードリスト除外と1stパーティデータ除外

Google広告の新機能「ブランド検索とは」!?サーチリフトとの違いを解説!

セミナーでいただいた質問について

セミナー中に多くの素晴らしい質問をいただき、ブログで公開するとお約束していましたので、こちらで回答させていただきます。限定公開も検討しましたが、幅広く共有できる内容をピックアップして回答いたします。

質問:AIMAXの地域設定は、キャンペーンの設定とシグナルや影響範囲は異なりますか?キャンペーンと広告グループで双方設定すると、どちらが優先されるとかありますか?

鋭い質問をありがとうございます。AI MAXの地域設定は、キャンペーンのターゲティングが優先されます。しかし広告グループの設定とは異なる役割を持ちます。キャンペーン単位の地域ターゲティングに加えて、広告グループに複数の関心対象地域を指定することもできます。キャンペーン単位のターゲット地域と、関心対象地域は異なっても構いません。

  • キャンペーンレベル:基本的な地域ターゲティング(ユーザーの所在地ベース)
  • 広告グループレベル:「AI Max の広告グループ設定」で関心対象地域を設定可能

両者が組み合わせて動作する仕組みになっています。例えば、「日本の缶詰をアメリカで売りたい」というプロモーション目的があるとします。キャンペーン単位で「アメリカ」へ地域配信設定し、広告グループで関心対象地域を「日本」に設定すると、キャンペーン単位の地域ターゲティングを守りつつ、日本の缶詰に興味があるユーザーへ広告を配信してくれます。

広告グループの関心地域を入れないと、キーワードで「日本 缶詰」というワードで引っかけなくてはなりません。地域のシグナルを増やすことによって、日本に興味があるユーザーへ向けて「缶詰」だけでも広告が出るようになります。

質問:広告クリエイティブの自動生成について、AI導入以前のパターンと比較して広告効果はどのように変化したと感じていますか?

Meta広告のアルゴリズムは予測アクション率を基軸にしているので、クリエイティブの差し替えが非常に重要になってきます。つまり、ユーザーに対して何かしらのエンゲージメント(クリック、いいねなど)が少なくなると、この広告はもうユーザーに興味がないと判断され、インプレッションが縮小してしまいます。インプレッションが出ないということは、コンバージョンも出ないことになります。

そのため、少なくとも摩耗してきた広告バナーを1週間に1回は差し替えることをMeta社も推奨しており、クリエイティブの差し替えは非常に重要です。Meta広告などクリエイティブが重要な媒体では、広告が摩耗してもすぐに新しいクリエイティブで摩耗を解消し、予測アクション率を復活させることができるようになり、運用サイクルが非常に早くなりました

AI導入前の課題は、クリエイティブ制作にはコストがかかっていました。代理店や制作会社に依頼すると多額の費用が必要でした。AI導入後は、簡単なインプットプロンプトで多岐にわたる訴求文、デザイン、色合いを大量作成できるようになり、人間が取捨選択して選ぶことで、非常に高速なOODAループを回せるようになりました。

つまり、クリエイティブは人間が事前にペルソナを考えて作り込むのではなく、まず大量に生成し、人間のチェックを経て掲載可能なものを大量に広告掲載していく。そして成果の良いものがあれば、その数値をもとに意味づけをしていくアプローチが重要になります。

TBCの釣井様もお話しされていましたが、そのクリエイティブがなぜOKなのかという意味づけは人間が行う必要があります。「なぜオレンジなのか」「なぜ緑が良かったのか」といった分析は、とても納得できる内容でした。ただし、多様なパターンを作成するためにはインプットプロンプトが非常に重要になり、以前と比べて複雑になったというお話もいただきました。

質問:AI MAXを運用していく中でよくある質問

AI MAXを運用していく中でよくある質問で、一番多いのが「AI MAXを利用してから効果が悪くなった」というものです。

ほとんどが、完全一致やフレーズ一致のキーワード群があるキャンペーンをAI MAXオンにすると起こることです。例えば、指名キーワードだけを完全一致・フレーズ一致で配信していたのに、急にインテント以上の拡張で広がってしまうということになります。この場合は除外作業を行ったり、ブランド設定を活用して絞り込む必要が出てきます。

もう一つが、P-MAXの成果が落ちたという相談もあります。AI MAXはP-MAXから検索の部分を引っこ抜いたような機能になるので、P-MAXの検索部分が出にくくなります

ただし、これは悪いことではありません。Googleが2024年から提唱している「Max Magic」という方針に当たるもので、P-MAXから配信された検索広告はどんどん検索キャンペーンに移行していくという考え方です。P-MAXで検索広告を出すよりも、検索キャンペーンで出した検索面に関してはコントロールが効きやすく、運用しやすいので効果も出しやすくなります。結果として、P-MAXの配信量が減って検索キャンペーンの配信量が増えることになります。

近い将来、特にAI Overview(AIO)に広告を出すためには、やはりAI MAXをオンにする必要が出てきます。AIOに広告が掲載されやすくなりますので、AI MAXを攻略するに越したことはありません。以上が、よくいただく質問の代表的な例でした。

P-MAXと検索広告を駆使したMAX MAGICのキーワード戦略

質問:テーマから外れた質問で申し訳ありませんが、広告運用者の優秀さはどのポイントで判断しますか?

とんでもないです。素晴らしい質問をありがとうございます。

広告運用者の優秀さをどのようなポイントで判断するかということですが、一つだけ挙げるとするならば「わからないから聞く人」なのか「わからないところを聞く人」なのかになります。

新卒を教えて伸びる子たちは、「わからないところ」を聞いてきます。「わからないから」は聞きません。これは大きな違いです。つまり、わからないことを聞くということは、自分の中で調べて咀嚼をして勉強してから聞きに行くということです。しかし、伸びない子たちは勉強しないで質問してくるんです。

  • 伸びない子:「カレーって何ですか?」と質問します
  • できる子:「カレーのスパイスを作ってみたんだけど、ナツメグの分量がわからないので教えてください」という聞き方をします

これができる人は、私の中で1割いるかいないかだと思っています。なので、勉強ができることと仕事の優秀さはまた別のスキルになってくると思うのですが、これができる人は本当に少ないです。学生時代は復習していればテストの点数が取れました。しかし、社会人になったらテストがいつ出てくるかわかりません。予習をしっかりできる人なのかもしれません

質問:媒体からの返金について

通常は自動で返金されます。Googleも不正クリック分については自動で返金されるのが基本となります

参照元:無効なクリック: 定義

しかし、今年の6月頃にGoogle広告で起きた事例についてお話しします。検索ネットワークで、あるドメインが日本をターゲットにしているにもかかわらず海外に配信し、そこで不正なコンバージョンを大量につけていました。

AIがそこでコンバージョンが取れると判断して、その配信先にどんどん寄っていきました。結果的に、ある広告主は7割8割が海外配信(検索ネットワーク系の海外配信)になったという例があり、返金問題になりました。

この件については、Googleから具体的な説明はせず抽象的なメールを送付するにとどまっています。Googleの担当者もしくはGoogleのヘルプサポートに聞かないと返金対象にはなりませんでした。Google担当者に「いくら返金対象ですか?」「お金を返してください」と言わないと返金してくれません。金額が大きくなってくると、申請してくるまでやらないという対応も当然出てくるのだと思いました。

対策として、アドフラウドのツールを必ず入れる必要性が出てきます。不正を事前に検知し、証拠を揃えて申請することが重要になってきています。

Google広告の検索ネットワークで海外誤配信が発覚!?返金対象の詳細確認方法

最後に

Spider AF社様には素晴らしいセミナーを開催していただき感謝をしつつ、来年はもっと多くの方を集めて登壇できたら嬉しく思っております。この時期に220名の応募をいただけるということは本当に素晴らしいことで、業界の皆様の関心の高さを感じました。

特に、イベントを担当していただいたSpider AFの森田様には心から感謝申し上げます。イベントの調整から登壇者との連絡まで、すべてを丁寧に対応していただきました。彼女の素晴らしい働きに、改めて拍手を送りたいと思います。森田様、ありがとうございました

そして、ご来場してくださった皆様、本当にありがとうございました。来年もぜひよろしくお願いいたします

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