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デジタル業界の裏側 〜他業種問わずの関わりから見えた不思議な人々〜②

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記事サマリー

この記事を読んでわかること

    • 業界で見かける困った人物の特徴と対処法

こんな方へオススメの記事

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この記事を実践するための準備

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はじめに

前回の記事「デジタル業界や他業種との関わりから見えた不思議な人々〜①」では、表裏のギャップがある代理店社長、年次だけで語る音響監督、そして「くれくれ君」の実態についてお話ししました。今回は引き続き、私がデジタルマーケティング業界で20年以上働く中で出会った「不思議な人々」についてさらに掘り下げていきます。これらの体験談が、皆さんのビジネス活動における人間関係構築の参考になれば幸いです。

劇団時代の経験

学生時代、「殺陣師(たてし)」として日本の侍のチャンバラの振り付けをするお仕事をしていた関係で、劇団に所属していたことがあります。演劇の世界で出会った人々についての興味深い体験をお話しします。

演劇をやりたいと志す方々には、独特の傾向があると感じました。多くの場合、いじめられた経験がある人や、居場所を求めている人が集まる傾向がありました。もちろん、それ自体は問題ないのですが、人間関係の構築が独特だったのです。

例えば、お酒を飲んだ時に「お前、挨拶しない。なんでなんだよ」と急に激昂してきたり、外で歩いていた時に突然大声を出したり、さらには理由もなくローキックをしてくるような人もいました。これは今でもアウトですし、昔もアウトです。

そんな環境の中で感じたのは、彼らの多くが「俳優として売れたい」「いいお芝居をしたい」という目標よりも、「そのコミュニティの中で偉そうにしたい」という欲求が強いということでした。それでは成長できないと思いましたし、実際に彼らの多くは今でも小さな劇団のままで、大きく飛躍することはありませんでした。

この経験から得た教訓は、目的や目標の方向性が間違っていると、いくら情熱があっても成功は難しいということです。どんな業界でも同じことが言えるのではないでしょうか。

顧問先での奇妙な体験

去年まで、とある代理店の顧問を務めていた時の話です。私は代理店の顧問として、コンペの提案資料の作り方やメディア情報など、様々な知恵を貸すお仕事をしていました。媒体者からしか入手できない情報を資料化して共有することもありました。

その代理店の社長さんには、いくつか気になる行動がありました。例えば、定例会の時間を自分の都合でよく変更してくるのです。通常であれば、自分の都合で予定を変更する場合、申し訳なさそうに別の日程を提案するものですが、この方は「この日でお願いします」と言ってくるだけでした。

さらに驚いたのは、「顧問制度を一旦休止したい」と連絡があった時でした。理由を尋ねると「自分の運用案件の料金をディスカウトされたから」とのこと。これは私の顧問料とは全く関係ない話です。

しかもその後、「前にスキップしたテレカン(電話会議)がありますよね。それを使って今度あるコンペ資料の提案書を作るのを見て欲しい。過去に作ったものも共有して欲しい」と言ってきたのです。この要求に私は非常に怒りを覚えましたが、おそらく彼は何故怒られたのかわかっていないでしょう。

話を聞くと今は「売上が下がって大変」とのことでした。彼の「くれくれ君」「テイカー」としての姿勢の問題だと感じます。このような一方的な関係では、ビジネスが上手くいくはずがありません。

マンションの騒音問題

ある時、とても良いマンションに引っ越したのですが、そのマンションには1年半ほど空いていた物件がありました。不動産屋さんからは「音を立てないで入ってください」と言われており、少し不思議に思っていました。

引っ越した後に分かったのですが、下の階に住む方が「足音がしたら壁を叩きながら追いかけてくる」という驚くべき問題がありました。下から音がどんどん聞こえてくる状態で「音を立てないでください」と言われるという、理解しがたい状況でした。

この下の階に住んでいたのは、60代ぐらいのキャリア官僚だった方でした。コロナ禍の時期で仕事が減っていたこともあり、おそらく家にずっといて孤独だったのではないかと思います。

引っ越してから一週間後に夜中の一時半にチャイムを鳴らされて「足音がする」と言われて、事実無根であり私も気が強いので言い合いになり、最終的には警察を呼んで対応しました。しかし、家の騒音問題は非常に厳しいものです。その方の言い分は「証拠がある」というものでしたが、実際には何も提示できず、ただ文句を言うだけでした。

調査してみると、過去にも近隣の方々に迷惑をかけていたことがわかりました。例えば「布団を干していたらダニが上がってくるからやめてください」など、肉眼では見えないものを理由に苦情を言うなど、非常識な行動をとっていたのです。

最終的にはマンション全体から陳述書を集めて追い出すことができましたが、裁判にまでは至りませんでした。騒音問題は証明するのが非常に難しく、弁護士も嫌がる案件です。役所から音を測る機械を借りてきても、裁判所がそれを認めるとは限りません。

この経験から学んだのは、音に関するいざこざは人間関係を悪くするだけで、解決は非常に困難だということです。そのような物件に関しては、よほどの被害がない限り、引っ越しを検討した方が精神衛生上も良いかもしれません。

ライターとの本執筆プロジェクト

3〜4年前、「デジタルマーケティングの本」を書いて欲しいという依頼を受けました。その時に出会ったライターさんとの経験をお話しします。

このライターは「取材歴が1000件ある」と言っていましたが、第一声で話した時から違和感がありました。結論から話さず、取り留めのない話をするタイプだったのです。「結論から話してもらえますか」と伝えると怒り出しましたが、取材には必要なことでした。

どんな本を書きたいのかという話になり、私が3C(顧客・企業・競合)や4P(製品・価格・流通・プロモーション)などのマーケティングの基本フレームワークについて話すと「それじゃあ、他と同じなんですよ」と言われました。これから100%取材をすると言っている人の言葉とは思えませんでした。

二足歩行の生物を全て「人間」と呼ぶようなその抽象度では、深掘りして初めて個性が見えてくるものです。しかし、それを理解できない様子でした。

また、取材すると言いながら実際には取材をせず、私が作ったロジックツリーやマインドマップをもとに文章を書いてきたのですが、内容は的外れなものばかりでした。指摘すると「マインドマップから見て書いただけです」と反論するだけで、理解しようとしませんでした。

この人にとって「取材」とは単に文字を起こすことでしかなかったようです。AI時代になり、音声を入れてAIにかければすぐに文章ができる今、そのような作業だけのライターの価値はどこにあるのかと問いかけたところ、病欠で休まれるようになりました。

この経験から、「デジタルマーケティングできます」と言いながら実は入稿作業しかできない人が意外と多いことを学びました。肩書きや経歴だけでなく、実際の仕事の質や理解度をしっかり見極めることの重要性を再認識した出来事でした。ちなみにその方のXを見たのですが、誰からもリプもなく孤独に人の文句ばかりを書いている悲しいXでした。

まとめ 言って良いことと悪いこと

最後に、これまでの体験から得た教訓をまとめておきましょう。言っていいことと悪いことは基本的にあります。しかし、その中間地帯を勘違いしている人が多いのです。「言ってもいいけど、それはあなたの評価を落とす」という言葉があります。そういうことを平気で言える人が特に年上の方に多いというのが私の経験則です。

過去に胸倉を掴まれたこともありました。もちろん、胸倉を掴むほうがおかしいのであって、掴まれた側が悪いわけではありません。駅で言い合いをしているおじさんたちを見かけることがありますが、どちらか一方がおかしいのではなく、両方とも頭がおかしいのです。「すみません」と一言言えば解決することがほとんどなのに、それができないのは非常に残念なことです。

デジタル業界で生き残るためには、技術的なスキルだけでなく、人間関係を適切に構築する知恵も必要です。表裏のギャップがある人、年次だけで語る人、「くれくれ君」、コミュニティ内での立場に執着する人、一方的な関係を求める人など、様々なタイプの「不思議な人々」と出会うことでしょう。

こうした経験から学ぶ教訓は非常に価値があります。ネガティブな経験も、それを通して学べば次に活かせるのです。皆さんも似たような経験をしたことがあるかもしれませんが、それらをポジティブな学びに変換してビジネスに活かしていただければと思います。

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