ホーム » コラム » SEM全般 » 広告屋が思うSEO順位変動|もしこれが本当なら、検索結果は「Google広告」と同じ仕組みになっていくのかもしれない

広告屋が思うSEO順位変動|もしこれが本当なら、検索結果は「Google広告」と同じ仕組みになっていくのかもしれない

この記事は9分で読むことができます。

注目のポイント

現在、検索順位という共通の概念が崩壊し、検索する人の位置情報や時間によって結果が変わるオーガニック検索のパーソナライズ化が進行しています。特定のキーワードで順位を追うツールは実態を表さなくなりました。もしこのパーソナライズ化が本格的に進んでいるのだとすれば、現在のSEOはGoogle広告の広告ランクを決めるリアルタイムオークションに近い仕組みへ変化しつつある可能性があります。広告費の代わりとなるブランドの信頼性や指名検索数が仮想の入札パワーとして機能します。弊社の実測データでも一般キーワードの流入が激減する一方、指名キーワードは安定しています。今後は小手先の対策を捨て、広告を固定コンバージョン、自然検索を変動コンバージョンと捉える戦略が必須です。

この記事はVoicy「MMMツールMeridianより速くて実用的?NotebookLMで広告チャンネル分析をやる方法【石黒堂】」で聴くことができます

検索順位が人によって違う?X(Twitter)で話題の異変とは

SEO界隈で話題になっているのは、これまで共通だった「検索順位」という概念が崩れ、検索する人によって結果がバラバラになっているのではないか、という現象です。実際に混乱が起きているのは事実ですが、これが本当に仕様変更なのか、大型アルゴリズムアップデートの一時的な影響なのかは、現時点ではまだ確定していません。 SEO業界隈のX(Twitter)でも、「シークレットモードでも順位が違う」「平均掲載順位のデータがおかしい(なくなった)」という悲鳴が次々と上がっている状態です。

多くのSEO専門家がこの現象を報告しています。ただし、これが恒久的な「パーソナライズ化」なのか、大型コアアップデートによる一時的な順位変動なのかについては、業界内でも意見が分かれています。とはいえ、ツールで計測する順位と実際のユーザーが見ている順位に乖離が生まれていること自体は事実であり、SEO実務者が混乱しているのは間違いありません。

なぜシークレットモードでも検索結果がバラバラになるのか?

シークレットモードは「過去の検索履歴」を消すだけで、現在地(IPアドレス)やデバイス情報などの「今の状況」はGoogleに丸見えだからです。

多くの人が「シークレットモード=完全に匿名のまっさらな状態」と誤解していますが、それは使っている端末(ブラウザ)に履歴が残らないだけです。検索エンジン側は、あなたが今どこで、何を使って検索しているかをしっかり把握して順位計算に利用しています。

シークレットモードが「隠せるもの」と「隠せないもの」

過去の履歴やCookieはリセットされて「隠せる」のに対し、IPアドレス(位置情報)や検索時間などのリアルタイムな接続情報は「隠せない」という明確な違いがあります。

プライベートな状態にしても、通信会社経由で伝わる大まかな現在地や、スマホかPCかといったデバイス情報はそのままアルゴリズムに送られます。Googleはあなたを「過去の履歴はないけれど、今東京からスマホで検索している新規ユーザー」として扱い、その瞬間の文脈(コンテキスト)に合わせて検索結果を構築し始めます。

オーガニック検索が「Discover化」している?一つの仮説として

もしこの変化が一時的なものではないとすれば、昔のSEOが「全ユーザー共通の固定ランキング」だったのに対し、今は「その瞬間のユーザー環境に合わせたおすすめフィード(Discover)」に近づきつつあるのかもしれません。ただし、これはあくまで一つの見方であり、単なる大型アップデートの影響だという指摘もあります。

Googleは、隠せなかった「位置情報」や「時間」などのリアルタイムな手掛かりをもとに、AI枠や動画枠の配置を瞬時に計算します。そのため、同じキーワードでも検索する場所やタイミングが違えば、検索意図の結果が変わって毎回バラバラの画面が生成されます。もしこの傾向が定着するのであれば、「シークレットモードにすれば純粋な順位が測れる」という考え方自体が通用しなくなる可能性があります。

現在のSEOは「広告(Google広告)」と同じ仕組みになった?(AIとの壁打ち仮説)

ここからは完全に広告屋の視点からの仮説です。もし前述のパーソナライズ化が本当に進んでいるのだとしたら、現在のオーガニック検索はGoogle広告の「広告ランク」を決めるリアルタイムオークションと似た構造になりつつあるのではないか、と私は考えています。

従来のSEOが「あらかじめ決まった順位表から結果を返す」システムだったのに対し、現在は検索された瞬間のユーザーの状況に合わせて結果を返す「動的な検索意図」へと変化しました。シークレットモードでも順位が荒れるように見えるのは、毎回この動的な算出が行われているからだと考えると、つじつまが合います。

広告ランクの計算式をSEOに当てはめるとどうなる?

広告ランクを決定する「入札価格 × オークション時の品質(推定クリック率・広告の関連性・LPの利便性) + 広告表示オプション + コンテキスト(文脈)」の計算式を、今のSEOの順位決定に当てはめてみると、驚くほどきれいに対応するのです。もちろんGoogleが公式に認めているわけではありませんが、広告屋の目から見ると、この類似性は偶然とは思えません。 従来のSEOが「キーワードの関連性」など単一の要素に偏っていたのに対し、現在は広告と同じように複数のシグナルが掛け合わされています。

広告屋の仮説としてこの構造を比較してみたのが以下の表です。あくまで「もしSEOが広告と同じ仕組みだったら」という思考実験です。

Google広告要素 現在のSEOにおける
シグナル
具体的な意味合い・評価基準
入札価格 ブランドの信頼度(エンティティ) 指名検索の多さや、分野における圧倒的な権威性
推定クリック率 ユーザー行動シグナル 過去にそのページがクリックされ、長く読まれたか
広告の関連性 セマンティックな関連性 単なるキーワード一致ではなく、検索意図と合っているか
LPの利便性 ページエクスペリエンス ページの表示速度や、スマホでの操作性(UX)
広告表示オプション リッチ表示・サイトの網羅性 FAQなどの拡張枠や、関連テーマ群の専門性の厚み
コンテキスト・様々なシグナル パーソナライズ・リアルタイム環境 ユーザーの位置情報(IP)、検索時間、デバイス

オークションの勝敗を分ける「コンテキスト」と「品質」

広告と同じく、ユーザーの「コンテキスト(文脈)」と、検索された瞬間の「品質」が掛け合わさることで、同じキーワードでも人によって全く違う検索結果(面)が作られます。

昔のSEOが「全ユーザー共通の順位」を競っていたのに対し、今のSEOは「今、東京からスマホで検索したこの人」というコンテキストに対して、最も関連性と利便性(品質)が高いページを瞬時に計算して表示しています。ここに「様々なシグナル」が加わるため、シークレットモードでも順位が荒れるのです。

広告費(入札価格)の代わりになるものは何か?

もしこのオークション的な構造が正しいとすれば、お金で解決できる広告の「入札価格」の代わりになるのが、SEOにおける「ブランドの指名検索数や信頼性」ではないか、と考えています。これが仮想の入札パワーとして機能している可能性があります。

もしそうであれば、どれだけ「品質(関連性や利便性)」が高くても、「入札パワー(ブランドの権威性)」が低ければオークションに勝ちにくくなります。最近、小手先のテクニックに頼るサイトが落ちているように見えるのは、この仮想入札パワーの差が出ている可能性があります。

弊社案件で検索順位・表示はどう変わったのか?(1月 vs 2月)

1月まで安定していた特定キーワードの順位が2月に入って激しく乱高下しており、従来の「順位」という指標だけでは実態を捉えにくくなっている印象です。 弊社が支援している複数プロジェクトの推移を見ると、何らかの大きな変化が起きていることは確かです。これがパーソナライズ化によるものなのか、コアアップデートの影響なのかは断定できませんが、いずれにせよ対策の考え方は変わってきます。

指名キーワードと一般キーワードで傾向はどう違う?

今回の変動では、「指名キーワード」は順位も流入も比較的安定しているのに対し、「一般キーワード」は壊滅的な影響を受けているという明確な二極化が見られました。

  • 指名キーワード(例:キーワードAなど)の傾向

    • すでにブランド認知があるため、検索結果が多少変わってもユーザーが迷わずクリックしてくれます。その結果、クリック率(CTR)や表示回数の落ち幅は最小限に留まっており、依然として強力な集客の柱として機能しています。

  • 一般キーワード(例:キーワードB〜Tなど)の傾向

    • 一般ワードは、AIの回答枠や動画枠、パーソナライズされた競合サイトの表示によって「面」を奪われ、表示回数とクリック数が激減しました。平均掲載順位が上がっている(ように見える)ものもありますが、実態としての流入は減っているケースが大半です。

【石黒堂の考察】今後のSEOで勝てる企業、負ける企業の違い

今回のデータから見えてくるのは、原因がパーソナライズ化であれアップデートであれ、小手先のキーワード対策に依存する企業よりも、テーマ全体で「ブランドの信頼(エンティティ)」を構築している企業の方が影響を受けにくい、という傾向です。

指名検索を増やせる企業は、今回の変動が何であれ影響を受けにくい構造を持っています。一方で、誰でも書けるような記事で一般キーワードの上位を狙っていたサイトは、仮にこのパーソナライズ化が本格化した場合、さらに厳しい状況になることが予想されます。

また、広告屋としての提案ですが、今後のWebマーケティング戦略では、コントロール可能な「広告」を【固定のコンバージョン】として計算し、不確実性が増した「自然検索」を【変動コンバージョン】として捉えるリスクヘッジの考え方が、ますます重要になってくるのではないかと考えています。

上部へスクロール