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2025年開始のMeta AI広告サービスが示す業界の転換点

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記事サマリー

この記事を読んでわかること

    • MetaのAI広告自動化と代理店の生存戦略

こんな方へオススメの記事

    • 広告代理店や運用担当者の方

この記事を実践するための準備

    • AI時代に対応した新しいスキルの習得

Metaが2025年にAI完全自動広告作成サービスを開始

米Meta Platformsが2025年中に、人工知能を活用した広告の完全自動作成サービスの提供開始を目指していることが、ウォールストリート・ジャーナルの報道で明らかになりました。

このサービスでは、広告主が商品画像と予算額を提示するだけで、MetaのAIツールが画像・動画・文面を含む広告クリエイティブを自動生成する。さらに、Facebook・Instagram・Threadsといった同社のプラットフォーム上で、最適なターゲット層への配信まで一貫して処理する仕組みです。

また、広告を個人の嗜好に合わせてカスタマイズする機能も計画されており、従来の広告制作・配信プロセスを大幅に簡素化することになる。約34億3000万人のアクティブユーザーを抱え、広告収入が売上の大部分を占めるMetaにとって、この取り組みは競合他社との差別化を図る重要な戦略と位置づけられています。
参照:メタ、AI使った広告の完全作成事業を年内に開始へ=WSJ

なぜMetaがGoogle以上にAI最適化に適しているのか

Metaの広告プラットフォームは、構造的にAI最適化に適した特徴を持っている。最も重要なのは、配信面とメニューのシンプルさです。

配信先はFacebook、Instagram、Threadsといった自社プラットフォームに限定され、広告形式もディスプレイ広告が中心となる。一方、Googleは検索広告からディスプレイ、YouTube、ショッピング広告まで多岐にわたり、さらにGoogle広告ネットワークを通じて無数の外部サイトにも配信している。この複雑さが、最適化の判断を困難にしています。

特に注目すべきは、MetaとGoogleのアプリキャンペーン(AC)との比較だ。GoogleのACは、Google PlayとApp Storeという2つの主要ストアでのインストール数最適化に特化しており、比較的シンプルな構造を持つ。これと同様に、Metaも限定された配信面での最適化が可能なため、AIによる自動化との親和性が高いです。

また、Metaのアルゴリズムは予測アクション率を基軸としており、クリエイティブの摩耗パターンも比較的予測しやすい。リーチとフリークエンシーの関係、オークションプレッシャーの変化といった要因を、限定された環境内で学習・最適化できるのは大きなアドバンテージです。

Googleも現在、Performance Max(P-MAX)や検索のAI-MAXを通じて同様の方向性を目指しているが、Metaの方がプラットフォームの集約性により、より早期にAI完全自動化を実現できる環境が整っています。

10年後を見据えた広告代理店の生存戦略

AI化が進む広告業界において、代理店が生き残るためには従来の業務モデルからの脱却が必要です。単純なクリエイティブ制作や配信設定は、やがてAIが代替する領域となるでしょう。

代理店が持つべき価値は3つの柱に集約されます。

第一に、コミュニケーション力と知識量による差別化です。クライアントからの問い合わせに対する迅速なレスポンスと、業界動向を踏まえた提案力は、AIには代替できない人間特有の価値となります。技術の進歩が早い分野だからこそ、最新情報のキャッチアップと分かりやすい説明能力が重要になります。

第二に、クライアント理解と説明責任の代行です。AIの判断プロセスは複雑で、クライアント自身が理解するのは困難な場合が多いです。代理店は、AIの動きを読み解き、なぜその結果になったのかを分かりやすく説明する役割を担います。また、クライアントのビジネスを深く理解し、AI最適化の方向性が事業目標と合致しているかを判断することも重要です。

第三に、アルゴリズムの軌道修正スキルです。AIは学習と最適化を自動で行いますが、時として意図しない方向に進むことがあります。シーズナリティや競合の動向、市場環境の変化に応じて、適切にアルゴリズムの方向性を調整できる運用知識こそが、代理店の新たな専門性となります。

代理店ビジネスがなくなることはないでしょうが、かなり縮小されたり、インハウスが主流になる日も近くなると思います。

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