検索意図を読み解くインテントマッチが変える広告の未来

この記事は6分で読むことができます。

記事サマリー

この記事を読んでわかること

• • Google広告の「部分一致」が「インテントマッチ」に変更される背景と意義
  • インテントマッチによって実現される、AIを活用した高精度な広告配信の仕組み

こんな方へオススメの記事

• • Google広告を活用している、または活用を検討している事業主やマーケター

この記事を実践するための準備

• • 現在のGoogle広告キャンペーンの運用状況を確認し、部分一致キーワードの使用状況を把握する
  • Google広告の管理画面やGoogle Ads Editorの最新バージョンへのアップデート

2024年7月に部分一致（Broad match）の日本語名称が「インテントマッチ」に変更

2024年7月、Google広告に大きな変更が加わります。長年使用されてきた「部分一致（Broad match）」の日本語名称が「インテントマッチ」に変更されるのです。この変更は、AIテクノロジーの急速な発展に伴う機能の進化を反映したものです。

20年以上にわたって使用されてきた「部分一致」という名称は、もはや現在の機能を正確に表現していませんでした。かつての部分一致は、単に登録語句が含まれているクエリに広告を配信するものでした。しかし、現在のシステムははるかに洗練されており、指定キーワードに関連する内容のクエリに広告を配信します。つまり、単なる語句の部分的な一致から、ユーザーの検索意図の一致へと進化したのです。

参照：インテント マッチ（旧：部分一致）: 定義

インテントマッチへの名称変更の背景

Google広告の「部分一致」から「インテントマッチ」への名称変更は、AIテクノロジーの急速な発展による機能の進化を反映しています。この変更は、単なる部分的な一致から、ユーザーの検索意図（インテント）の一致へと機能が大きく進化したことを示しています。

従来の部分一致は、主に登録されたキーワードが検索クエリに含まれているかどうかを基準に広告を配信していました。しかし、AIと機械学習技術の発展により、Googleの検索システムは検索意図をより深いレベルで理解し、その精度を大幅に向上させることが可能になりました。

新しい「インテントマッチ」システムは、単に語句の一致を見るだけでなく、検索の背後にあるユーザーの意図を詳細に分析します。この分析には、以下のようなさまざまなシグナルが考慮されます。

1. キーワード（言語を含む）
2. ランディングページの内容
3. 広告グループに含まれる他のキーワード（テーマの学習）
4. ユーザーの過去の検索履歴
5. ユーザーの所在地
6. 予測されるパフォーマンス

これらのシグナルを総合的に分析することで、システムはユーザーの真の検索意図を理解し、最も関連性の高い広告を配信することができます。例えば、「夜行バス」というキーワードに対して、「夜行バス 予約」や「高速バス 東京大阪」といった関連性の高いクエリにも広告を表示できるようになりました。

さらに、Googleの大規模言語モデル（LLM）の進化により、システムは単語やフレーズのさまざまなバリエーションや意味、その並びによって生まれる意味合いなどを理解できるようになりました。これにより、例えば「USB を USB Type-C に変換するケーブル」といった一方向にしか機能しない語順や、「Paris Hilton」が人物名を指すのか、パリにあるヒルトンホテルを指すのかといった同形異義語の違いも理解できるようになっています。

この名称変更は、単なる言葉の変更以上の意味を持ちます。それは、Google広告が真にユーザーの意図を理解し、それに基づいて最適な広告配信を行うシステムへと進化したことを示すものです。広告主にとっては、より効果的なターゲティングと、潜在的な顧客へのリーチ拡大が期待できる大きな変革なのです。

弊社の実績でも、マッチタイプを完全一致→部分一致へ変更するだけでコンバージョン率が5%上がったという実績も出ています。

インテントマッチが変更される範囲

Google広告の「部分一致」から「インテントマッチ」への名称変更は、様々な箇所に影響を与えますが、一部の要素は変更されません。この変更範囲を理解することは、広告主やマーケターにとって重要です。以下に、変更される箇所と変更されない箇所を詳しく説明します。

インテントマッチへの名称変更は、主にGoogle広告の日本語インターフェースに反映されます。具体的には以下の箇所が変更されます

1. Google広告の管理画面：広告キャンペーンやキーワード設定画面で、「部分一致」が「インテントマッチ」と表示されるようになります。
2. ヘルプページ：Google広告のヘルプドキュメントやガイドラインが更新され、「インテントマッチ」の説明や使用方法が記載されます。
3. SA360（Search Ads 360）の管理画面：Google Ads関連の該当箇所が更新されます（反映準備中）。
4. Google Ads Editor：該当箇所が更新されます（2024年秋頃までに反映予定）。

変更されない箇所

一方で、いくつかの重要な要素は変更されません：

1. 英語名称：「Broad match」という英語名称は変更されません。
2. 除外キーワードのマッチタイプ：「部分一致」という名称が継続して使用されます。
3. Google Ads Editorでの一括操作：英語表記「Broad match」を引き続き使用します。

これらの変更範囲を比較表にまとめると、以下のようになります。

最後に

インテントマッチへの進化は、Google広告の大きな転換点です。AIによる検索意図の深い理解により、広告主は潜在顧客へのリーチを拡大し、より効果的なターゲティングが可能になります。この変更を活用し、広告戦略を最適化することで、より高いROIと顧客獲得が期待できるでしょう。新時代のデジタル広告にぜひご期待ください。

石黒康修

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しています。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。皆様に直接お会いし、お話しできる機会がありましたら、SEMの運用コンサルから無料相談まで、ぜひお気軽にお声がけください。