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記事サマリー
この記事を読んでわかること
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- 上部の広告が自然検索結果の下に表示される場合、広告の視認性が低下しクリック率に影響を与える可能性がある
- インプレッションシェアのファネルを理解することが出来る
こんな方へオススメの記事
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- 検索広告の運用を行っている方
- 検索広告の上部掲載位置と自然検索結果の関係性を理解したい方
この記事を実践するための準備
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- 検索広告と自然検索の上部掲載位置を確認する
- 自社の検索広告と自然検索の関係性をGA4で分析する
目次
3Cの自社要因を可視化するためのインプレッションシェア
管理画面から広告指標の一つとして見られているインプレッション(表示回数)のデータですが、実はとても大切な指標です。今回は自社(Company)要因のインプレッションシェアについて解説をしていきます。
広告のインプレッションが発生する条件とは!?
Googleで検索をすると、いつも検索結果に広告が表示されているように感じるかもしれません。しかし、実際には必ずしもすべての検索結果に広告が表示されているわけではありません。
検索が行われるたびに、広告のオークションが行われます。このオークションでは、「日予算状況」や広告の品質を評価する「広告ランク」によって計算がされます。この広告ランクに基づいて、検索結果ページの広告枠に表示する順位が決定されます。
また、同一のウェブサイト(ドメイン)からの広告は、検索結果ページの1つの広告枠にのみ表示されます。つまり、同じウェブサイトからの広告が複数表示されることはありません。
実際に表示されたインプレッションは、品質スコアを付与するための条件の一つであり、キーワードと完全に同内容の検索に対するインプレッション実績に基づく評価です。品質スコアについては後ほど記述致します。
参照:品質スコアについて
補足ですが、同じ検索結果の自然検索枠では、クエリ毎の順位で表示されるため順位が高ければ常に表示されます。同じ検索面でも表示のロジックが違います。
検索広告のオークションとは!?
ユーザーが検索を行うたびに実施される広告の入札プロセスです。
まず、ユーザーが検索すると、その検索キーワードに関連する広告が抽出されます。次に、表示に不適切な広告(別の国向けの広告や、ポリシー違反で却下された広告など)が除外されます。残った広告の中から、「広告ランク」が十分に高い広告のみが選ばれ、検索結果ページに表示されます。この一連のことをオークションと呼びます。
オークションがあることにより、検索クエリに対して最も関連性が高く、広告主にとって費用対効果の高い広告が選ばれ掲載枠に表示されます。検索以外のメニューだと、ディスプレイ広告のオークションは記事を見る毎、動画広告は動画を視聴する毎に広告のオークションに入ります。
広告ランクとは!?
広告のオークション毎に広告の掲載可否や掲載順位を決定するために使用される数値の算出が、広告ランクです。
広告ランクは、以下の主要な6つの要素を考慮して算出されます。
- 入札単価:広告主が1クリックあたりに支払う上限額
- 広告の品質:推定クリック率、広告の関連性、ランディングページの利便性など
- 広告ランクの下限値:広告が満たすべき最低基準
- オークションの競争状況:他の広告主との競合関係
- ユーザーのコンテキスト:検索キーワード、デバイス、位置情報、時間など
- 広告アセットやフォーマットの予測パフォーマンス
参照:広告ランクについて
各広告主毎の広告の広告ランクに基づいて、広告の掲載可否が判定されます。次に、掲載可能と判断された競合を含めた広告の中で、広告ランクを比較して掲載順位が決定されます。
広告ランクで使用される「広告の品質」と「品質スコア」は別物です
よく間違えらえるのですが、広告ランク算出の「広告の品質」と「品質スコア」は別物です。品質スコアは、Google広告において、キーワードと完全に同内容の検索に対するインプレッション実績に基づく評価であり、広告診断のツールです。他の広告主との比較で、自社の広告とどの程度ユーザーにとって関連性が高く有用であるかを、1から10までの数値をインプレッションごとに評価したのものです。品質スコアが高いほど、そのキーワードを検索しているユーザーにとって、自社の広告が的確で有用であることを意味します。
品質スコアは、以下の3つの要素を総合的に判断して算出されます。
- 推定クリック率(CTR):広告がクリックされる可能性の高さ
- 広告の関連性:ユーザーの検索意図と広告の一致度合い
- ランディングページの利便性:広告をクリックした後のユーザー体験
各要素は「平均より上」「平均的」「平均より下」の3段階で評価され、この評価は過去90日間に同一キーワードで広告を出稿した他社との比較に基づきます。そして、品質スコアは広告ランク算出での直接的な評価指標ではなく、あくまで診断ツールとして位置づけられていますので、品質スコアはKPIにしてはいけません。
まとめると、結果的に付与された過去の配信結果である品質スコアと、今のオークション時の広告の品質は、性質が違う指標になります。
参照:品質スコアとは
実際のクリック単価を決めるセカンドプライスオークションとは!?
広告をクリックして、実際のクリック単価を算出するために用いられる方式です。
実際のクリック単価は、自分の広告の下の順位に位置する広告の「広告ランク」を、自分の広告の品質で割った値に、+1円を加えた金額となります。つまり、広告主は自分の入札価格ではなく、次点(セカンド)の広告主の入札価格に基づいた金額を支払うことになります。
このセカンドプライスオークションには、以下のようなメリットがあります。
- 広告主は、自分の広告の価値に基づいて入札できる。
- 品質の高い広告が上位に表示されるため、ユーザーにとって関連性の高い広告が表示される。
- 広告主間の競争が促進され、適正な市場価格が形成される。
実際に表示された検索広告のインプレッションの確認方法は!?
前述の通り、検索をするたびに表示される広告文や順位は変化します。これは、検索が行われるたびに広告ランクが計算されるためです。広告ランクは、広告主の入札額、広告の品質、検索キーワードとの関連性など、さまざまな要因を考慮して決定されます。この計算は、検索のたびに行われるため、たとえ隣同士で同じキーワードを検索しても、表示される広告の順番や内容は異なる可能性があります。
では、どれだけインプレションが出たのか?どれだけ損失したのか?を測る指標があります。それがインプレッションシェアです。検索広告では、キャンペーン単位、広告グループ単位、キーワード単位で確認が出来ますので、確認方法はこちらを参照してください。
インプレッションシェアとは!?
広告が表示可能だったインプレッション数のうち、広告が実際に表示されたインプレッション数の割合です。100%が一番良い状態ですが、CPAの兼ね合いもあり100%になるのは難しい指標です。
また、このインプレッションシェアは、インプレッションが損失した内訳も見ることが出来ます。それがインプレッションシェア損失率(予算)とインプレッションシェア損失率(広告ランク)です。
インプレッションシェアは、100%-(インプレッションシェア損失率(予算)+インプレッションシェア損失率(広告ランク))と計算することも出来ます。
インプレッションのシェアの損失率(予算)
予算不足が原因で広告が表示されなかった割合を示す指標で、0%に近いほど損失が無いことを示します。
計算式は、インプレッションシェア損失率(予算)= 実際に掲載されたインプレッション数 / キャンペーンの日予算が潤沢なら広告が掲載されたインプレッション数 × 100
インプレッションのシェアの損失率(広告ランク)
広告ランクが低いために広告が表示されなかった割合を示す指標で、0%に近いほど損失が無いことを示します。
計算式は、インプレッションシェア損失率(広告ランク)= 実際に掲載されたインプレッション数 / 広告ランクが高ければ広告が掲載されたインプレッション数 × 100
完全一致のインプレッションシェア率
この指標は補足なのですが、品質スコアと大きな関連性があるのが完全一致のインプレッションシェア率です。部分一致キーワードを使用している際に、キーワードと完全に一致する検索語句に限定した広告の掲載状況を把握するための指標で、100%に近いほど文字配列が一致しているので品質スコアが付与されやすいです。完全に一致する検索語句とはマッチタイプ問わず文字配列が一致したということです。逆掛け合わせキーワードは同一ワードとして判定されます。
計算式は、完全一致のインプレッションシェア率= キーワードと完全に一致する検索語句で広告が表示されたインプレッション数 / 広告が完全一致で掲載される可能性があったインプレッション数 × 100
つまり、完全一致のインプレッションシェア率が高いほど、クリック単価が安くなる傾向があります。
インプレッションが表示された順位はどうやって確認が出来るの?
検索結果ページにおける広告の実際の掲載位置は、「上部インプレッション率」と「検索広告の最上部インプレッション率」という2つの指標で確認することができます。
「上部インプレッション率」は、広告の表示回数(インプレッション数)のうち、検索結果ページの上部に表示された割合を示しています。一方、「検索広告の最上部インプレッション率」は、インプレッション数のうち、検索結果ページの最上部に表示された割合を表しています。
検索広告の最上部インプレッション シェア
検索結果ページの最上部に表示された広告のインプレッション数を、最上部に表示可能だったと推定されるインプレッション数で割った割合を表す指標です。
つまり、この指標は、検索結果ページの最上部に自社の広告が表示された回数が、最上部に表示可能だったと推定される回数のうちどのくらいの割合になるのかを示しています。
例えば、「検索広告の最上部インプレッション シェア」が50%だった場合、最上部に表示可能だったと推定されるインプレッションのうち、実際に自社の広告が最上部に表示されたのは半分だったことになります。
この指標を把握することで、検索結果ページの最上部に自社の広告がどのくらいの頻度で表示されているのかを知ることができます。「検索広告の最上部インプレッション シェア」が高いほど、検索結果ページの最上部に自社の広告が表示される機会が多いことを意味します。
広告主は、この指標を参考にして入札単価を調整することで、検索結果ページの最上部に自社の広告を表示する機会を増やすことができます。ただし、入札単価を上げすぎると、かえって広告の効率が下がってしまう可能性があるため、注意が必要です。
検索広告の上部インプレッション シェア
検索結果ページの上部に表示された自社の広告のインプレッション数を、上部に表示可能だったと推定されるインプレッション数で割った割合を表す指標です。
検索結果ページの上部とは、通常、検索結果の最上部から3〜4件の広告枠を指します。「検索広告の上部インプレッション シェア」は、自社の広告がこの上部の広告枠にどのくらいの頻度で表示されているのかを示しています。
例えば、「検索広告の上部インプレッション シェア」が70%だった場合、上部に表示可能だったと推定されるインプレッションのうち、実際に自社の広告が上部に表示されたのは70%だったことになります。
上部の広告が自然検索の下に出ることもある
Google で検索を行うと、通常、上部の広告は自然検索結果(オーガニック検索結果)の上に表示されます。しかし、場合によっては、上部の広告が自然検索結果の下に表示されることもあります。
特定の検索キーワードや検索内容によって、Google の検索アルゴリズムが自然検索結果の方が広告よりも関連性が高いと判断した場合に起こります。つまり、ユーザーにとってより有益な情報を提供するために、自然検索結果を上部の広告よりも上位に表示するのです。
このような状況では、ユーザーは検索結果ページをスクロールしないと上部の広告を目にすることができません。そのため、広告主にとっては、上部の広告が自然検索結果の下に表示されることで、広告の視認性が低下し、クリック率に影響を与える可能性があります。
ただし、上部の広告が自然検索結果の下に表示されるかどうかは、検索キーワードやユーザーの検索内容によって異なります。また、Google の検索アルゴリズムは常に進化しているため、今後、上部の広告の表示位置がどのように変化するかは断言できません。
広告主は、上部の広告が自然検索結果の下に表示される可能性があることを理解し、適切な入札戦略を立てることが重要です。
最後に
インプレッションシェア率は、検索広告運用における重要な指標の1つです。インプレッションシェア率を正しく理解し、効果的に活用することで、検索広告の運用成果を上げることが出来ます。しかし、検索広告の運用は常に変化を続けており、自然検索の下に広告が出るなど常にアップデートされていますので、インプレッションシェアのファネルや掲載結果など、複合的に判断をすることが大切です。
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