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記事サマリー
この記事を読んでわかること
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- P-MAXのご予算を曜日別でアロケーションする方法
こんな方へオススメの記事
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- P-MAXでの新しい運用事例を知りたい方
- P-MAXのインプレッションシェアの改善を知りたい方
この記事を実践するための準備
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- Google広告の運用知識
目次
- 1 記事サマリー
- 2 P-MAXはインプレッションシェアという競合指標は無くクリックシェアで判断
- 3 検索キャンペーンのインプレッションシェアが十分な場合
- 4 検索キャンペーンのインプレッションシェアの損失率(予算)が出ている場合
- 5 検索キャンペーンのインプレッションシェアの損失率(広告ランク)が出ている場合
- 6 インプレッションシェアの損失率は互いに凹凸な状態
- 7 ダイナミックプライシングとは?
- 8 Googleの日予算を2倍にするロジック
- 9 P-MAXキャンペーンを「均等のご予算」VS「曜日別に日予算を設定」にした実績比較(※期間比
- 10 手順①:曜日別にご予算をアロケーションする
- 11 手順②:Google広告管理画面の自動化ルールを利用する
- 12 手順③:新しくルールを作成する
- 13 補足①:予算変更のルールが実行される時間
- 14 補足②:曜日×時間の日予算変更は可能か!?
- 15 補足③:曜日別に予算を変更しても、日予算は2倍になるか!?
- 16 補足④:コンバージョンが獲れない時間があれば、広告のスケジュール機能で除外
- 17 最後に
P-MAXはインプレッションシェアという競合指標は無くクリックシェアで判断
P-MAXの競合指標の中にインプレッションシェアは存在しておらず、クリックシェアしかありません。
「クリックシェア」は、検索ネットワークで発生したクリック数を、獲得可能だったと推定される最大クリック数で割ったものです。商品のクリック数は、広告のターゲット設定、予算、承認状況、入札単価、商品データの品質によって変わります。
次に、クリックシェアのヘルプページを見ます。
クリックシェアとは、獲得可能なすべてのクリックに対して、実際に獲得したクリックのシェアの推定値であり、P-MAX キャンペーン、検索キャンペーン、ショッピング キャンペーン、およびホテル キャンペーンのみで使用できます。
クリックシェア指標を使用して、さらに多くのクリック数を獲得できる可能性がある場所を把握できます。
たとえば、クリック数が 60 回で、クリックシェアが 60% の場合、アセット、入札単価、予算を増やしたり、さらにショッピングキャンペーンの場合は検索語句の商品をより多く表示したりすれば、クリック数を 40 回増やすことができたと推定されます。
クリックシェアの対象に含まれるのは、広告が表示されたすべてのオークションと、広告が有力な表示候補になったと推定されるすべてのオークションです。
参照:クリックシェアについて
マウスオンしたポップアップには「検索ネットワーク」と書いてあるが、ヘルプには「すべてのオークション」と書かれています。クリックの損失率の意味合いで書かれているのだと思いますので、その対策方法です。
- クリックを得るには、まずインプレッションを獲得してください。インプレッション シェアと実際のトップ インプレッション シェアを上げるための方法はどれも、クリックシェアを上げるために役立ちます。
- インプレッション シェアが高くても、クリックシェアは低い場合もあります。入札単価を引き上げたり、広告の品質と関連性を上げたり、アセットを追加したりすると、クリック数を増やせる可能性があります。
- ショッピング広告を管理している場合は、同じ広告主様のショッピング広告を同時に複数掲載できることを念頭に置いてください。複数の広告を同時に表示すると、広告がクリックされる可能性が高くなります。したがって、複数の商品を表示することでショッピング広告の全体的なクリックシェアを上げることができます。
インプレッションシェアを上げるという方法が、クリックシェアを上げるために役立つということなので、一旦インプレッションシェアについておさらいをしてみます。
検索キャンペーンのインプレッションシェアが十分な場合
わかりやすいような極端な例ですが、あるユーザーの1日の検索行動とします。すべての検索広告のオークションに対して広告が掲載されており、1日中広告が出ている状態です。この場合特に問題が無いので、KPIにあわせて入札単価を上げたり、日予算を増やすなど調整してください。
検索キャンペーンのインプレッションシェアの損失率(予算)が出ている場合
一日に掲載が出来る日予算が少なく、一日の早い段階でご予算を利用してしまい後半に広告が掲載されなくなります。一般的にコンバージョン率が高くなる0時前には既に広告が掲載されていない状態となりますので対策が必要です。
- 日予算を増やす
- クリック単価が高いキーワードを別キャンペーンにしてご予算を制限する
- 入札単価を低くして一日中広告を掲載出来るようにする
検索キャンペーンのインプレッションシェアの損失率(広告ランク)が出ている場合
入札価格やオークション時の品質が低く、広告表示オプションの設定が不十分な可能性があります。BIGワード偏重の業種についてはオークションに負けてBIGワードの広告が掲載されない状態なのでコンバージョン数が減ってしまうため、その対策が必要です。
- 入札単価を上げる
- CPCの高いキーワードだけを別キャンペーンにして入札単価を上げる
- オークション時の品質(推定クリック率・広告の関連性・LPの利便性)改善する
インプレッションシェアの損失率は互いに凹凸な状態
入札単価を上げれば日予算の損失が出て、入札価格を下げれば日予算の損失は出ないがBIGワードのオークションには参加が出来なくなります。改善方法はアカウント構成を分ける、オークション時の品質を上げるなどありますので検索キャンペーンにおいては実行すると良いでしょう。
しかし、P-MAXキャンペーンは、「インプレッションシェアが見れない」「品質スコアが見れない」「キーワードでアカウントを分けられない」ので対策が難しいです。前置きが長くなりましたが、これを改善するために方法が曜日別のご予算アロケーションをしたP-MAXの広告配信です。これはご予算を増やせない案件向けの事例なので、ご予算を増やせるのであれば増やしてください。
ダイナミックプライシングとは?
ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing)とは、需要の変動に応じて価格を自動的に調整する「変動料金制」のことで、適正な価格設定を通して、収益最大化を図る価格戦略になります。例えば、年末年始など飛行機の料金が高い、鴨川のお祭りの時期の京都のホテル代が高い、など需要期に金額を上げるという施策になります。これを応用して需要のある曜日にご予算をアロケーションするという施策を実施しました。
Googleの日予算を2倍にするロジック
おそらくダイナミックプライシング的なことで、需要があるときにはご予算を多く使うという自動設定です。ですがなぜその日?みたいなことが多く、日予算を2倍にする日付や曜日を選ぶことが出来ません。
Google では、クリックやコンバージョンを獲得しやすい日にチャンスを逃さないよう予算の消費が最適化されます。そのため、日によっては費用が 1 日の平均予算額を下回ることや、逆に上回ることがあります。ただし、1 日または 1 か月の費用の上限を超える額をお支払いいただくことはありません。
参照:予算の概要
これを自動化ルールで、日予算の設定を曜日別にマニュアルで制御をしたものです。
P-MAXキャンペーンを「均等のご予算」VS「曜日別に日予算を設定」にした実績比較(※期間比
P-MAXキャンペーンでは「下書きとテスト」のABテスト機能を利用出来ないため期間比での検証となります。期間比なのでトレンド要因や競合要因を含んでしまう実績となります。なるべく影響が少ない期間を選んで実験した1週間のデータです。
同額のご予算でテストしていますが、コンバージョン数も増えてコンバージョン率も高くなった実績です。その後もP-MAXの獲得が順調に獲れているので施策として成功しています。まだ曜日別に明確なコンバージョン率の差がある数社しかテストしておらず、確実に再現性がある施策ではありません。
手順①:曜日別にご予算をアロケーションする
まずは、過去90日以上の曜日別のコンバージョン数とコンバージョン率のレポートを出します。次にコンバージョン率に合わせてご予算をアロケーションします。1クリック1コンバージョンなどの場合はコンバージョン数でご予算をアロケーションをしてください。祝前日の傾向がある場合も対応したほうが良いです。
手順②:Google広告管理画面の自動化ルールを利用する
手順③:新しくルールを作成する
項目 | 設定内容 |
ルールの名前 | 任意の名前 例)土曜日予算変更 |
アクションの名前 | 任意の名前 例)0時~1時に予算変更 |
適用 | 「選択済みアカウントキャンペーン」「選択したビューのキャンペーン」「選択したキャンペーン」 |
キャンペーンのステータス | 「すべて」「有効」「有効、一時停止」 |
アクション① | 「予算を変更」 「キャンペーンを有効にする」「キャンペーンを一時停止する」「ラベルを変更する」「メールを送信する」 |
フィルタ方法 | 1日の平均 |
アクション② | 「新しい予算設定」「予算を引き上げ」「予算を引き下げ」 |
1日の平均予算 | 値:〇〇円 |
頻度① | 「週別」「一回」「一時間ごと」「毎日」「月別」 |
頻度② | 曜日を指定 |
頻度③ | 変更時間を「0:00~1:00」に指定 ※日本時間になっているのを確認 |
使用するデータの期間 | ルールの要件に合うかどうかを確認するデータの範囲を設定。今回だとどれを指定しても良い。 |
結果をメールで通知 | 「このルールが実行されるたび」「変更やエラーがある場合のみ」「エラーがある場合のみ」「メール返信しない」 |
補足①:予算変更のルールが実行される時間
実行されるたびにメールを送る設定にすると、0時~1時に設定をした場合には0時15分くらいに実行メールが届きますので、すぐに反映されるわけではありません。
補足②:曜日×時間の日予算変更は可能か!?
結論、設定は可能です。しかし補足①のように設定される時間がわからないので細かい時間ごとの設定は難しいです。エディターにも自動化ルールは対応しておらず、とにかく設定が面倒なのでオススメはしません。
ざっくり、朝、昼、夜でご予算に傾斜をするのであれば、有効だと思いますので活用してみてください。
補足③:曜日別に予算を変更しても、日予算は2倍になるか!?
2倍になります。一週間に一回ほど残予算を確認しながら日予算を再設定してください。
補足④:コンバージョンが獲れない時間があれば、広告のスケジュール機能で除外
最後に
すべての業種のP-MAXで同様の結果が出てくるかはわかりませんが、P-MAXの運用で困っていれば是非テストをしてみてください。検証方法が対象期間でしか出来ないので、時期を見て検証が必要です。本来は、時間や曜日のシグナルは媒体のアルゴリズムでも利用されています。しかし、媒体には「季節性の調整」があるようにwebサイトの個別の状況やリアルタイムの曜日の傾向を把握が出来るわけではありません。マニュアルで実行する部分と、自動で実行する部分を使い分けてください。
Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しています。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。皆様に直接お会いし、お話しできる機会がありましたら、SEMの運用コンサルから無料相談まで、ぜひお気軽にお声がけください。