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2025年12月の広告業売上高9,470億円、前年同月比+6.4%。電通「2025年 日本の広告費」反映特別版|インターネット広告費が初の4兆円超え、構成比50.2%に

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注目のポイント

総務省統計局の「サービス産業動態統計調査」によると、2025年12月の広告業売上高は9,470億円で前年同月比+6.4%と堅調な成長を記録しました。11月の+7.2%に続き2ヶ月連続の大幅プラスで、年末商戦期の広告投資が数字に表れた結果です。2025年通年の累計売上高は約10兆2,862億円となり、前年比+8.1%増と力強い成長を達成しました。また、電通が2026年3月5日に発表した「2025年 日本の広告費」では、2025年の総広告費が8兆623億円(前年比105.1%)、うちインターネット広告費が4兆459億円(前年比110.8%)と初めて4兆円を超え、総広告費に占める構成比は50.2%と初の過半数に達しました。この最新構成比(50.2%)を総務省データに適用すると、12月のインターネット広告費は約4,754億円、通年では約5兆1,637億円と推計されます。

経済産業省の特定サービス産業動態統計調査終了に伴う統計データの変更について

経済産業省の特定サービス産業動態統計調査は2024年12月調査をもって終了しました。それに伴い、2025年1月分からは総務省統計局が実施する「サービス産業動態統計調査」のデータを使用してインターネット広告費の月別推移を報告していきます。この変更は、特定サービス産業動態統計調査(経済産業省実施)とサービス産業動向調査(総務省実施)が統合されたことによるものです。

参照:経済産業省の特定サービス産業動態統計調査は、2024年12月調査をもって終了致しました。

2025年からの総務省統計データ使用における注意点

2025年からは総務省統計局が実施する「サービス産業動態統計調査」のデータを使用しますが、この新しい統計調査では「広告業」というカテゴリにテレビ、新聞、ラジオ、雑誌の4マス媒体とインターネット広告が一緒に含まれています。そのため、これまで経済産業省の特定サービス産業動態統計調査で独立して集計されていた「インターネット広告費」の純粋な推移を追うことが難しくなりました。この点にご留意いただきながら、今後の広告業全体のトレンドをご覧ください。

参照:サービス産業動態統計調査

広告業の月間売上高(百万円)と前年同月比(2024年1月~2025年12月)

 

 

2025年 2024年 前年同月比
1月 780,461 704,981 +10.7%
2月 746,145 706,931 +5.5%
3月 1,145,831 1,129,602 +1.4%
4月 784,278 772,571 +1.5%
5月 732,882 678,498 +8.0%
6月 798,906 748,357 +6.8%
7月 796,407 744,524 +7.0%
8月 756,642 755,144 +0.2%
9月 885,573 786,268 +12.6%
10月 814,000(p) 815,280 -0.2%
11月 844,153(p) 787,757 +7.2%
12月 946,959(p) 889,904 +6.4%

総務省統計局の「サービス産業動態統計調査」によると、2025年12月の広告業の月間売上高は946,959百万円(約9,470億円)で、前年同月比+6.4%と堅調な成長となりました。

12月の特徴的な動向として、11月(8,442億円)から約1,028億円増加し、前年同月(8,899億円)を約571億円上回る水準となった点が注目されます。11月の+7.2%に続き2ヶ月連続で大幅プラスとなり、年末商戦に向けた広告投資のピークが数字に明確に表れました。9月(+12.6%)、11月(+7.2%)、12月(+6.4%)と下半期の主要月で高い前年同月比が続いており、広告市場の力強さを裏付けています。

2025年12月の売上規模9,470億円は、2025年では3月(1兆1,458億円)に次ぐ年間2位の水準となりました。2025年通年の累計売上高は約10兆2,862億円に達し、前年の約9兆5,198億円から+8.1%増という力強い成長を記録しました。月平均では約8,572億円と高水準を達成しており、広告市場が年間を通じて拡大基調にあったことが確認できます。

なお、10月・11月・12月のデータには速報値(p)が含まれており、今後確報値に修正される可能性があります。

この新しい統計データは経済産業省の特定サービス産業動態統計調査とは集計方法が異なり、テレビ・新聞・ラジオ・雑誌などの従来型メディアとインターネット広告を含めた広告業全体の動向を示すものです。

広告業における4マス媒体とインターネット広告の構成比

総務省統計局の「サービス産業動態統計調査」で集計される「広告業」には、マスコミ四媒体広告費とインターネット広告費が含まれています。電通が2026年3月5日に発表した「2025年 日本の広告費」によると、2025年の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)で、4年連続で過去最高を更新しました。その内訳は以下の通りです。

2025年 2024年 前年比 構成比
マスコミ四媒体広告費 2兆2,980億円 2兆3,363億円 98.4% 28.5%
インターネット広告費 4兆459億円 3兆6,517億円 110.8% 50.2%
プロモーションメディア広告費 1兆7,184億円 1兆6,850億円 102.0% 21.3%
総広告費 8兆623億円 7兆6,730億円 105.1% 100.0%

インターネット広告費は2021年にマスコミ四媒体広告費を初めて上回り、2025年には初めて4兆円を突破するとともに、総広告費の過半数(50.2%)に達しました。特にSNS上の縦型動画広告やコネクテッドTV(インターネットに接続されたテレビ受像機)などの動画広告需要の高まりが市場全体の拡大を牽引しています。一方、マスコミ四媒体広告費は2兆2,980億円(前年比98.4%)とほぼ横ばいで、長期的にはインターネット広告へのシフトが加速しています。

参照:電通「2025年 日本の広告費」

2025年12月のインターネット広告費推計

電通の構成比(50.2%)を2025年12月の総務省データに適用すると、2025年12月のインターネット広告費は約4,754億円と推計されます。 また、2025年通年の総務省広告業売上高(約10兆2,862億円)に同構成比を適用すると、通年のインターネット広告費は約5兆1,637億円と推計されます。電通が発表した2025年通年のインターネット広告費4兆459億円と比較すると約1兆1,178億円の差がありますが、これは総務省の「広告業」売上高と電通の「総広告費」では統計の集計範囲・手法が異なるためです。

なお、前回記事まで使用していた構成比47.6%(2024年版)から50.2%(2025年版)へと3年連続で上昇しており、インターネット広告が広告市場全体の成長エンジンであることが改めて確認されました。

最後に

2025年12月の+6.4%という結果は、11月の+7.2%に続く力強い成長であり、年末商戦期の広告投資がピークを迎えたことを裏付けるものです。通年では前年比+8.1%増の約10兆2,862億円を達成し、広告市場全体が拡大基調にあることは間違いありません。

しかし、この成長の恩恵を受けているのは業界全体ではありません。電通が発表した「2025年 日本の広告費」を見ても、成長を牽引しているのはインターネット広告費(前年比110.8%)であり、特に動画広告やSNS広告といった高度な運用・クリエイティブ力が求められる領域です。電通や博報堂グループといった大手代理店は、こうしたデジタル投資の加速やブランディング広告の大型案件を取り込み、非常に順調な業績を維持しています。

一方、中堅代理店にとっては厳しい局面が続いています。広告主のインハウス化が着実に進み、これまで代理店に委託していた運用型広告の業務が社内に移行するケースが増えています。広告市場全体の数字は伸びていても、中堅代理店の売上には直結しないという構造的な課題が深刻化しているのが実態です。

つまり、広告業界の「二極化」がより鮮明になっています。 ブランディング広告や高度なデジタル戦略を武器にする大手グループが成長する一方で、運用型広告の数値報告を中心としてきた代理店は、差別化が難しくなっています。今まで通りの「運用広告だけ」「数字を読み上げるだけ」のスタイルでは、市場が伸びていても自社の成長にはつながらない時代に入ったと言えるでしょう。

デジタル広告への投資は引き続き拡大基調にありますが、その恩恵をどう取り込むかは、各社の戦略次第です。このような業界構造の変化についても、今後の記事で詳しく取り上げていく予定です。

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