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注目のポイント
Googleは毎年、大手代理店に対して「今年導入してほしい施策」をオーダーしています。2026年に指定された3つの施策のうち、特に情報が少ないのがGoogleタグゲートウェイとリード拡張コンバージョンです。iOSのITPによるCookie7日削除と、プライベートモードでのgclid欠損という2つの課題は、Google広告に限らずMeta広告やMicrosoft広告など、あらゆるデジタル広告の計測精度を脅かしています。本記事では、この2つの課題に対して「媒体CV」と「オフラインCV」の軸で4つの施策を整理し、どの施策をどの順番で導入すべきかをわかりやすく解説します。
目次
Googleが2026年に推奨する3つの施策
Googleは毎年、大手広告代理店に対して「今年はこの機能を導入してください」というオーダーを出しています。これはMCCアカウント(複数の広告アカウントを一括管理する代理店向けアカウント)単位での導入率を競う形で運用されており、代理店各社はGoogleから指定された施策の導入率向上に取り組みます。
つまり、Googleが代理店に「今年入れてほしい」と言っている施策=Googleが本気で推しているものだということです。
2026年にGoogleが指定している施策は、大きく以下の3つです。
1つ目は、AI Maxの導入です。検索キャンペーンにおけるAIを活用した入札・ターゲティングの最適化機能です。
2つ目は、Googleタグゲートウェイとリード拡張コンバージョンの導入です。 Cookie規制やgclid欠損による計測精度の低下を補うための施策です。
3つ目は、デマンドジェネレーション広告の活用です。 YouTube・Gmail・DiscoverなどへのAI最適配信キャンペーンです。
この3つの中で、まだ業界内でも情報が少なく難易度も高いのが2つ目です。本記事では、Googleタグゲートウェイとリード拡張コンバージョンについて、詳細な実装方法には踏み込まず、「何のために使うのか」「どんな課題を解決するのか」を直感的に理解できるレベルで解説していきます。

なぜ今、計測が壊れているのか?ITPとgclidの2つの課題
Google広告に限らず、Meta広告のfbclid、Microsoft広告のmsclkidなど、あらゆるデジタル広告はクリックIDと呼ばれる識別子を使ってコンバージョンを計測しています。つまり、ここで紹介する課題はGoogle広告だけの話ではなく、デジタル広告全体に共通する問題です。
現在、この計測の仕組みを揺るがしている課題が2つあります。
課題①:iOSによるCookieの7日削除(ITP)
AppleはiOSのSafariに「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」という個人情報保護の仕組みを導入しています。これにより、広告計測に使われるCookieが最大7日で削除されてしまいます。
検討期間が長い商材、たとえば不動産・BtoB・高額商品などでは、広告をクリックしてから実際にコンバージョンするまで7日以上かかるケースが珍しくありません。その場合、本来カウントされるべきコンバージョンが計測できなくなります。
課題②:iOSのプライベートモードでクリックIDが消える
Safariのプライベートモードではgclidをはじめ、fbclid・msclkidなどのクリックIDがURLから自動的に削除されます。現状、全トラフィックの5〜10%でこの欠損が発生していると言われており、今後さらに拡大する可能性があります。

クリックIDが消えると、どの広告経由でユーザーが来たのかが特定できなくなるため、コンバージョンの紐付けができなくなります。この2つの課題に対して、Googleが2026年に推奨している解決策が、次章で紹介する4つの施策です。
【早見表】4つの施策を課題別に整理する
| Cookie7日問題 | gclid落ち問題 | |
| 媒体コンバージョン (CPA) |
Googleタグゲートウェイ (広告配信:7日→90日 / 計測:7日→400日) |
拡張コンバージョン (CV計測:欠損CVを補完・弊社実績で約1%のCV伸長) |
| オフラインコンバージョン (CPO) |
カスタマーマッチ (広告配信:類似リスト / 除外:Cookieの保有期間に制御されない) |
リード拡張コンバージョン (CV計測:gclidに加えメール・電話番号でオフラインCVを補完) |
縦軸は「何を計測したいか」で分かれます。資料請求や購入などサイト上で完結するコンバージョンが媒体CV(CPA)、その後の商談や契約などオフラインで発生するコンバージョンがオフラインCV(CPO)です。
横軸は「どの課題に対応するか」です。Cookie7日問題はアシストコンバージョンの取りこぼしに、gclid落ち問題はコンバージョンの紐付け精度に影響します。
自社がどのセルに当てはまるかを確認した上で、次章以降の各施策の解説をお読みください。
媒体CV(CPA)×Cookie7日問題|Googleタグゲートウェイとは?
Googleタグゲートウェイとは何ですか?
Googleタグゲートウェイとは、広告主自身のサーバーを経由してGoogleタグを配信する仕組みです。従来はGoogleのサーバーからタグが配信されていましたが、自社ドメイン経由に切り替えることでCookieの保持期間を大幅に延長できます。
通常、iOSのSafariではCookieが最大7日で削除されてしまいます。しかしGoogleタグゲートウェイを導入することで、広告配信用のCookieは最大90日、計測用のCookieは最大400日まで延長することができます。
導入するとどんな効果がありますか?
Googleタグゲートウェイを導入した広告主では、シグナルが平均11%向上したことがGoogleの公式データ(2025年4月、グローバル中央値)で確認されています。
具体的には以下の2つの効果が期待できます。
アシストコンバージョンの取りこぼしが減ります。 Cookie保持期間が延びることで、広告クリックから7日以上経過してコンバージョンしたユーザーも計測できるようになります。検討期間が長いBtoB案件や高額商材では特に効果が出やすいです。
YouTube・Gmail・検索などのオーディエンスシグナルの質が上がります。 より長期間のユーザー行動データが蓄積されるため、Googleの自動入札や配信最適化の精度が向上します。
どんな人に向いていますか?どんな人には向きませんか?
検討期間が7日を超えるような商材を扱っている広告主に特に有効です。 BtoB、不動産、保険、ブライダルなど、ユーザーが広告を見てからコンバージョンするまでに時間がかかるビジネスほど恩恵が大きくなります。
一方で、導入には自社サーバーの設定が必要で、月額のサーバー費用が発生します。 また広告主のシステム部門を動かす必要があるため、社内調整コストがかかります。すぐに成果が欲しい場合や、社内リソースが限られている場合は優先度を下げても良いかもしれません。
参照:Google広告ヘルプ「広告主向けGoogleタグゲートウェイでコンバージョンの測定と広告のパフォーマンスを向上」
媒体CV(CPA)×gclid落ち問題|拡張コンバージョンとは?
拡張コンバージョンとは何ですか?
拡張コンバージョンとは、従来のgclidベースのコンバージョン計測を補完する機能です。ユーザーがサイト上でコンバージョンした際に入力したメールアドレスや電話番号などのファーストパーティデータをハッシュ化(暗号化)してGoogleに送信し、Googleアカウントのデータと照合することでコンバージョンを計測します。
つまり、iOSのプライベートモードでgclidが落ちてしまった場合でも、メールアドレスや電話番号という別の識別子でコンバージョンを補完できる仕組みです。
導入するとどんな効果がありますか?
gclidが取得できなかった場合でも、Googleアカウントとの照合によってコンバージョンが補完されるため、CV計測の精度が上がり、自動入札のシグナルが強化されます。 弊社の実績では、導入後に約1%のコンバージョン伸長が確認されています。
また、デバイスをまたいだコンバージョンもシグナルとして計測できるようになるため、スマートフォンで広告をクリックしてPCでコンバージョンしたユーザーなども捕捉できます。
どんな人に向いていますか?どんな人には向きませんか?
コンバージョン時にメールアドレスや電話番号などのユーザー情報を取得できる広告主に有効です。 資料請求フォームや会員登録、購入フォームなど、ユーザーが情報を入力するタイプのコンバージョンポイントがある場合に機能します。
一方で、導入にはCSSの知識とGoogleタグマネージャー(GTM)の設定が必要です。 またユーザーのファーストパーティデータを扱うため、プライバシーポリシーの整備と法務部門との確認が必要になる点には注意が必要です。
オフラインCV(CPO)×Cookie7日問題|カスタマーマッチとは?
カスタマーマッチとは何ですか?
カスタマーマッチとは、広告主が保有する顧客のメールアドレスや電話番号などのファーストパーティデータをGoogleにアップロードし、Googleアカウントと照合することで広告配信や除外に活用できる機能です。
従来のリターゲティングはCookieをベースにしているため、iOSのITPによって7日でCookieが削除されると、リストからユーザーが消えてしまいます。しかしカスタマーマッチはCookieではなくメールアドレスや電話番号でリストを作成するため、Cookieが削除されてもリストが維持されます。
導入するとどんな効果がありますか?
カスタマーマッチで作成したリストは、主に以下の2つの用途で活用できます。
既存顧客への広告配信・除外リストとして使えます。 すでにコンバージョンしたユーザーを除外することで広告費の無駄を省いたり、定期購入や電話予約などの既存顧客に絞って広告を配信したりすることができます。Cookieの保有期間に左右されないため、長期間にわたって安定したリスト運用が可能です。
P-MAXやデマンドジェネレーションの新規ユーザー配信(NCA)に活用できます。 アップロードしたリストをもとにGoogleが類似ユーザーを見つけて配信するため、質の高い新規顧客へのアプローチが可能になります。
どんな人に向いていますか?どんな人には向きませんか?
既存顧客データをある程度保有しており、リピート促進や既存顧客除外を行いたい広告主に有効です。 特に定期購入型のビジネスや、商談・契約などオフラインで成約するBtoB系の広告主との相性が良い機能です。
一方で、アップロードできるのはコンバージョンしたユーザーのデータのみで、サイト訪問者などのオーディエンスデータは入稿できません。 またユーザーのファーストパーティデータを扱うため、プライバシーポリシーの整備と広告主からのデータ提供に関する合意が必要になります。日本市場では法務部門の壁が高く、データ提供を受けられないケースも少なくないのが現実です。
オフラインCV(CPO)×gclid落ち問題|リード拡張コンバージョンとは?
リード拡張コンバージョンとは何ですか?
リード拡張コンバージョンとは、従来のオフラインコンバージョンのインポートをアップグレードした機能です。これまでのオフラインコンバージョンはgclidのみをベースに計測していましたが、gclidにメールアドレスや電話番号などのユーザー提供データを加えてインポートすることで、より強固にオフラインコンバージョンを計測できる仕組みです。
つまり、iOSのプライベートモードでgclidが落ちてしまった場合でも、メールアドレスや電話番号という別の識別子でオフラインコンバージョンを補完できます。 gclidを不要にするのではなく、gclidと一緒にメールアドレス・電話番号も送ることで、計測の網を二重三重に張るイメージです。
導入するとどんな効果がありますか?
gclidが取得できなかった場合でも、メールアドレスや電話番号との照合によってオフラインコンバージョンが補完されるため、商談・契約・来店など、サイト外で発生するコンバージョンの計測精度が上がります。
またデバイスをまたいだオフラインコンバージョンもシグナルとして計測できるようになるため、スマートフォンで広告をクリックしてその後PCで資料請求し、最終的に電話で契約したようなケースも捕捉できます。 検討期間が長いBtoB案件や高額商材で特に効果が出やすい機能です。
どんな人に向いていますか?どんな人には向きませんか?
オフラインコンバージョンをすでに計測しており、さらに精度を高めたい広告主に有効です。 特にリードから成約までに時間がかかるBtoB、不動産、保険、ブライダルなど、検討期間の長い商材との相性が良い機能です。
一方で、営業部門やCRM担当など複数の部署をまたいだ調整が必要になります。 メールアドレスや電話番号などのデータを広告主から提供してもらう必要があるため、プライバシーポリシーの整備と社内合意の形成がハードルになるケースが多いのが実情です。
参照:Google広告ヘルプ「リードの拡張コンバージョンについて」
まとめ:どの施策から優先して入れるべきか?
ここまで4つの施策を解説してきました。「結局どれから入れればいいの?」という方のために、優先順位の考え方を整理します。
まず自社のコンバージョンがどちらのタイプかを確認してください
資料請求や購入などサイト上で完結する媒体CV(CPA)が中心であれば、GoogleタグゲートウェイとExtensionの2つが優先です。 オフラインでの商談・契約が主な成果指標であるオフラインCV(CPO)が中心であれば、カスタマーマッチとリード拡張コンバージョンの2つを優先して検討してください。
導入のしやすさで言うと拡張コンバージョンが最初の一手です
4つの施策の中で、最も導入ハードルが低く、かつ即効性があるのが拡張コンバージョンです。 GTMの設定とプライバシーポリシーの整備さえできれば比較的スムーズに導入できます。まだ何も手をつけていないという方は、ここから始めることをおすすめします。
検討期間が長い商材はGoogleタグゲートウェイを早めに入れてください
BtoB・不動産・保険・ブライダルなど、広告クリックからコンバージョンまで7日以上かかる商材は、Cookie7日問題の影響を最も大きく受けています。 Googleタグゲートウェイの導入によってシグナルが11%向上するというGoogleの公式データを踏まえると、サーバーコストをかけてでも導入する価値は十分にあります。
プライバシーポリシーと部署調整が鍵を握ります
拡張コンバージョン、カスタマーマッチ、リード拡張コンバージョンは、広告主からファーストパーティデータを提供してもらう必要があるため、法務部門や営業部門との社内調整が必須です。 日本市場では特にこのハードルが高く、導入まで時間がかかるケースが多いのが現実です。
計測が壊れたまま広告を運用し続けることは、地図なしで航海するようなものです。 2026年、Googleが本気で推奨しているこの4つの施策を正しく理解して、一つずつ導入を進めていきましょう。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。




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