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この記事の要約
キャンペーンの合計予算額は、期間と総額を設定して予算を自動最適化する新機能です。従来の「1日の平均予算」「共有予算」が日別管理なのに対し、期間ベースで管理できます。運用時は「予算による制限」を解消するため、最大化系の入札戦略や目標値の緩和が効果的です。ただし、前半・後半で傾斜配分をかける運用は機械学習を阻害するため推奨されません。期間途中での予算変更は極力避け、システムの自動最適化に任せることが重要です。傾斜配分が必要なら1日の平均予算、シンプルに期間管理したいならキャンペーンの合計予算額を選択しましょう。
目次
「キャンペーンの合計予算額」とは!?期間限定施策に最適化された新しい予算管理
Google広告の「キャンペーンの合計予算額」は、期間限定のプロモーションやイベントに特化した予算管理方法です。従来の「1日の平均予算」や「共有予算」に加えて選択できる機能で、開始日から終了日までの期間と総額を設定し、期間全体で予算を最適配分する機能です。
従来の予算管理との違い
これまでのGoogle広告では、予算管理は主に「日別(デイリー)」の概念で設計されていました。
- 1日の平均予算:キャンペーンごとに1日あたりの予算を設定(最大2倍まで消化される可能性あり)
- 共有予算:複数キャンペーンで日別予算を共有し、自動配分する
一方、「キャンペーンの合計予算額」は期間ベースの予算管理です。例えば「2026年1月13日〜2月28日で416,000円」といった設定が可能になります。
Google広告の予算設定:3つの管理方法
1日の平均予算
| 項目 | 内容 |
| 設定単位 | キャンペーンごと |
| 期間の考え方 | 日別(デイリー) |
| 1日の費用上限 | 最大2倍まで消化される可能性あり |
| 月間費用上限 | 1日の平均予算 × 30.4日 |
| 予算配分 | キャンペーン単位で個別管理 |
| 利用状況 | デフォルト設定 |
| 適しているケース | キャンペーンごとに予算を明確に分けたい |
| 予算変更 | いつでも変更可能 |
| 設定後の変更 | 予算タイプの変更可能 |
| Google広告ヘルプ | https://support.google.com/google-ads/answer/2375423?hl=ja |
共有予算(シェアバジェット)
| 項目 | 内容 |
| 設定単位 | 複数キャンペーンをまたぐ |
| 期間の考え方 | 日別(デイリー) |
| 1日の費用上限 | 最大2倍まで消化される可能性あり |
| 月間費用上限 | 1日の平均予算 × 30.4日 |
| 予算配分 | 複数キャンペーン間で自動配分 |
| 利用状況 | オプション機能 |
| 適しているケース | 複数キャンペーンの予算を柔軟に運用したい |
| 予算変更 | いつでも変更可能 |
| 設定後の変更 | 予算タイプの変更可能 |
| Google広告ヘルプ | https://support.google.com/google-ads/answer/10487241?hl=ja |
キャンペーンの合計予算額
| 項目 | 内容 |
| 設定単位 | キャンペーンごと |
| 期間の考え方 | 期間指定(開始日〜終了日) |
| 1日の費用上限 | なし(合計予算を超えない範囲で最適化) |
| 月間費用上限 | 合計予算額が上限 |
| 予算配分 | 期間全体で最適配分 |
| 利用状況 | 新機能 |
| 適しているケース | 期間限定イベントや明確な総額予算がある |
| 予算変更 | 終了日延長や予算増額は可能 |
| 設定後の変更 | 予算タイプの変更不可 |
| Google広告ヘルプ | https://support.google.com/google-ads/answer/10486938?hl=ja |
運用の実践:入札戦略の調整で「予算による制限」を解消する
キャンペーンの合計予算額を設定したものの、管理画面に「予算による制限」というアラートが表示されることがあります。これは、設定した予算に対して広告配信の機会が十分に活用できていない状態を示しています。この問題を解決するには、入札戦略の調整が最も効果的です。
「予算による制限」が発生する仕組み
キャンペーンの合計予算額では、期間全体で予算を使い切るようにシステムが自動調整します。しかし、入札単価が高すぎる、または目標値(目標CPA、目標ROAS)が厳しすぎる場合、システムは「予算を使い切る前に配信機会が枯渇する」と判断し、配信を抑制します。
- インプレッション機会の損失:本来表示できる検索に対して広告が表示されない
- 獲得機会の逸失:コンバージョンを獲得できたはずの機会を失う
推奨される入札戦略の調整方法
Google広告ヘルプでは、「予算による制限」を解消するために、入札戦略の見直しが推奨されています。特に効果的なのが、目標値による制限を緩和するか、最大化系の入札戦略に変更することです。
最大化系の入札戦略には、クリック数の最大化、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化の3つがあります。クリック数の最大化は、とにかく多くのクリックを獲得したい場合に適しており、サイトへの流入を増やすことを優先します。コンバージョン数の最大化は、問い合わせや購入といったコンバージョン獲得を優先する場合に使用し、予算内でできるだけ多くのコンバージョンを獲得することを目指します。コンバージョン値の最大化は、ECサイトなど売上や利益を最大化したい場合に有効で、単なる件数ではなく金額ベースでの最適化を行います。
これらの戦略では、目標値による制約がないため、予算内で成果を最大化することを優先します。そのため、「予算による制限」が発生しにくくなり、配信機会を最大限に活用できます。
一方、目標CPA(コンバージョン単価)や目標ROAS(広告費用対効果)を設定している場合は、目標値を緩和することで配信機会を増やすことができます。例えば、目標CPAを5,000円から7,000円に引き上げることで、システムはより高い単価での入札が可能になり、配信されるインプレッション数が増加します。同様に、目標ROASを500%から300%に引き下げることで、より幅広い検索クエリに対して入札できるようになります。
目標値を緩和することで、システムがより多くの配信機会に入札できるようになり、予算の使用率とパフォーマンスが向上します。ただし、緩和しすぎると獲得効率が悪化する可能性があるため、段階的に調整しながらデータを観察することが重要です。
実務での調整プロセス
実際の運用では、まず「予算による制限」が発生しているキャンペーンを特定し、現在の入札戦略と目標値を確認します。次に、過去のCPA、ROAS、インプレッションシェアを分析し、どの程度の調整が必要かを判断します。その上で、目標値を10〜20%程度緩和するか、最大化系戦略に変更し、3〜7日間データを観察して予算使用率とパフォーマンスを確認します。
注意点:頻繁な変更は避ける
キャンペーンの合計予算額の設計思想は「期間全体で自動最適化する」ことです。Googleのヘルプでも、「頻繁に編集すると、システムによる最適化が妨げられる可能性があるため、編集は最小限に抑えます」と明記されています。
入札戦略を変更した後は、少なくとも1週間程度はデータを蓄積し、機械学習が最適化されるのを待つことが重要です。
予算変更と傾斜配分の考え方|機械学習を阻害しない運用設計
キャンペーンの合計予算額では、期間途中での予算変更が技術的には可能です。しかし、この機能は「一度設定したら基本的に変更しない」ことを前提に設計されています。
予算変更の制限
キャンペーンの合計予算額では、以下の変更のみ可能です。
- 予算の増額:合計予算を引き上げることができる
- 終了日の延長:キャンペーン期間を延ばすことができる
ただし、予算タイプ自体の変更はできません。「1日の平均予算」や「共有予算」への切り替えは不可能です。
傾斜配分は推奨されない
「前半に8万円、後半に2万円」といった傾斜配分は、技術的には予算を途中で減額することで実現できます。しかし、Googleはこのような運用を明確に推奨していません。
Google広告ヘルプには以下のように記載されています。
「頻繁に編集すると、システムによる最適化が妨げられる可能性があるため、編集は最小限に抑えます。新しいキャンペーンでは、終了日の変更や予算の増額などの急な変更を行うと、システムが新しい目標に合わせて最適化されるため、費用が均等に配分されず、パフォーマンスが変動する可能性があります。」
なぜ傾斜配分が向いていないのか!?
キャンペーンの合計予算額は、期間全体で自動最適化する設計です。システムは前日までの費用と残り日数を考慮して、毎日最適な配分を決定します。
- 配信ペースが乱れる
- 最適化が遅延する
- CPAやROASが一時的に悪化する
前半重視・後半重視といった配分が必要な場合は、キャンペーンの合計予算額ではなく、従来の1日の平均予算を使うべきです。1日の平均予算なら、期間途中で日別予算を変更することで柔軟に調整できます。機械学習への影響も、キャンペーンの合計予算額で無理に変更するよりは少なくなります。

最後に
キャンペーンの合計予算額は、期間限定施策に特化した予算管理方法として、2026年1月現在でも比較的新しい機能です。従来の「日別管理」から「期間管理」への転換は、運用者にとって大きな選択肢の追加となります。
個人的には、この機能には「傾斜配分」の仕組みが欲しいと感じています(笑)。例えば、新商品ローンチなら「発売前1週間は予算の60%、発売後は40%」といった設定ができれば、さらに使い勝手が良くなるはずです。現状では期間途中での予算変更が機械学習を阻害するため、前半重視・後半重視の配分を実現するには1日の平均予算を使うしかありません。
とはいえ、キャンペーン単位で考えれば、この機能で十分実用的です。「2月のバレンタインキャンペーンで50万円」「年末セールで100万円」といった明確な期間と総額が決まっている施策なら、日々の予算調整から解放されるメリットは大きい。設定したら放置、システムに最適化を任せる。このシンプルさこそが、この機能の最大の価値だと言えます。
傾斜配分が必要なら1日の平均予算、シンプルに期間管理したいならキャンペーンの合計予算額。この使い分けを理解しておけば、より効率的な運用が可能になります。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しており、年間100名以上を教育。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。また、世界的権威のある One Voice Awards USA 2025 にも日本人としてノミネートされ、世界的なナレーターとしても活躍中です。







