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Googleの「Persona Platform」で変わる広告クリエイティブ制作の未来

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この記事の要約

GoogleのPersona Platformは、Geminiを活用してペルソナ作成から評価まで一貫して行える新ツールです。従来のペルソナ分析は限られた変数しか扱えず、実運用とのギャップが課題でした。このツールはGoogleのコンバージョンデータと検索データから具体的なペルソナを生成し、AIとの対話でクリエイティブの評価が可能。外部データも取り込める独立プラットフォームとして提供される点が画期的です。Google担当者経由で利用できます。

従来のペルソナ分析が抱えていた「空中戦」問題

マーケティングにおいてペルソナ分析は重要な手法として知られていますが、実は実務レベルでは大きな課題を抱えていました。

従来のペルソナ分析では、性別・年齢・職業・家族構成・世帯収入といった限られた変数しか扱えず、実際の広告運用とマッチしないケースが頻発していたのです。

例えば、こんな状況を考えてみてください。100人の30代女性と1人の60代男性がコンバージョンした場合、どちらを「正しいペルソナ」とすべきでしょうか? Googleの広告システムは各ユーザーに最適な広告を当てにいく仕組みなので、母数の少ない60代男性にも広告は配信されます。しかし、母数が違う以上、この1人のデータで再現性のあるテストを行うことは困難です。

結果として「クリエイティブが悪いのか」「コンバージョンデータが悪いのか」といった議論が空中戦になりがちでした。データに基づかない主観的な判断で、本来は30代女性向けに最適化すべきところを見誤ってしまうリスクが常にあったのです。

私たちの広告運用は基本的にマクロ分析、つまり大きなクリック数を獲得してから徐々に絞り込み、不要な部分をカットしながらCPAを揃えていく手法を取ります。一方、ペルソナ分析はミクロ分析に該当し、運用の方向性とは真逆のアプローチとなるため、両者の整合性を取るのが難しかったのです。

 

Googleの実データで作る、信頼できるペルソナ像

そこに登場したのが、GoogleのPersona Platformです。Google広告の担当者がいる方は「利用したい!」と伝えてください、今後のデジタルマーケティングにおいて非常に期待できるツールです。

このツールは、Geminiを活用してペルソナ作成から評価まで一貫して行える画期的なプラットフォームです。最大の特徴は、Googleの実際のコンバージョンデータや検索データを基にペルソナを生成してくれる点にあります

Persona Platformでできることは大きく3つあります。まず、クラスターデータからペルソナを作成できること。次に、そのペルソナ単位での広告制作が可能なこと。そして、作成したクリエイティブをペルソナ目線で評価してもらえることです。

特に注目すべきは、AIでペルソナと会話できる機能です。作成した仮想のペルソナと直接対話しながら、「何が気になるか」「どんな訴求が刺さるか」をヒアリングできます。さらに、クリエイティブの評価機能もあり、ペルソナ視点での評価結果が出力されるため、主観に頼らない客観的な判断が可能になります。

実際にツールを利用すると、「タイパ至上主義の自己投資型都市部ワーカー」や「ボディメイクに興味投資型健康投資家」など、10個ほどのの具体的なクラスターが提示されています。これは従来のペルソナ分析では考えられなかった変数の豊富さです。

このツールの真価は、クリエイティブ制作だけでなく、1to1マーケティングやMA導入時、チャットボットのシナリオ設計、カスタマーサービス分野でも活用できる点にあります。特に広告運用においては、「この層にはこのクリエイティブがこれだけ刺さった」という評価を、Googleの実データに基づいて客観的に行えるようになるでしょう。

 

最後に

このPersona Platformの登場を見て、「Googleもついにここまで来たか」という感慨を強く持ちました。

実はGoogleは、P-MAXやマーチャントセンターの管理画面内でAIを使ったクリエイティブ生成機能を以前から提供していました。しかしそれらはあくまで広告プラットフォームの中だけで完結する世界でした。

今回のPersona Platformが画期的なのは、外部データも取り込みながら、独立したプラットフォームとして提供され始めたという点です。Googleの持つコンバージョンデータや検索データに加えて、外部のクラスター情報も組み合わせながらペルソナを生成できる。この自由度の高さが、従来のツールとは一線を画しています。

そして、ここからが重要な話です。Google以外の民間企業でも、AIを使ったクリエイティブ評価ツールをサブスクモデルで展開している事例が増えています。しかし、Googleがこうして本格的に独立プラットフォームとして参入してきた今、この領域でビジネスを組み立てるのは、もう一度考え直した方がいいと強く感じます。

プラットフォーマーが本気でサービスを作り始めると、民間のビジネスモデルは一瞬で影響を受けます。やはり「Googleがやらないこと」をビジネス化するという原則は、デジタルマーケティング業界で生き残るための鉄則だと再認識させられました。

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