ホーム » コラム » Search Console » AI検索(AIO・AIモード)時代のSNS戦略|SNS経由の効果をSearch Consoleで視る直接・間接効果

AI検索(AIO・AIモード)時代のSNS戦略|SNS経由の効果をSearch Consoleで視る直接・間接効果

この記事は9分で読むことができます。

記事サマリー

この記事を読んでわかること

    • AI検索でSNSが引用される理由とSearch Console新機能でSNS経由の直接・間接効果を測定する方法

こんな方へオススメの記事

    • SNS施策の効果を「検索流入増加」で数値証明したいデジタルマーケター

この記事を実践するための準備

    • Google Search Consoleのアクセス権限とSNS施策実施前のベースラインデータ

Ahrefsデータで判明!AI検索(AI Overviews・AIモード)で引用されやすいのはSNSコンテンツ

2025年11月、SEO分析ツール大手のAhrefsが、日本市場におけるGoogleのAI検索システムに関する重要な調査結果を発表しました。この調査により、AI Overviews(AIO)とAIモードという2つのAI検索システムが、それぞれ全く異なる引用戦略を持っていることが明らかになりました。

参照:【Ahrefs 独自調査】Google AI 検索で引用されるドメイン戦略の相違が判明! AI Overviews と AI モードの引用傾向を徹底分析

AI検索の2つの顔:図書館モデルとコンシェルジュモデル

Ahrefsは独自開発した「ブランドレーダー」機能を使い、日本市場におけるトップ1,000引用ドメインを徹底分析。その結果、両システムの相関係数は0.65(中程度の正の相関)で、約55%は共通のドメインを引用するものの、残り45%は明確に異なる引用傾向を持つことが判明しました。特に注目すべきは、AIモードにおけるSNSコンテンツの圧倒的な優位性です。

AIモードはSNSを2.4〜3.6倍も引用する

調査データによると、AIモードは以下のソーシャルメディアをAI Overviewsと比較して大幅に多く引用しています。

  • Instagram: 約3.6倍
  • X(旧Twitter): 約2.8倍
  • Facebook: 約2.4倍
  • YouTube: 両システムで1位(共通して最重要)

さらに、ユーザー生成コンテンツ(UGC)においても顕著な差が見られます。

  • クックパッド: 12.8倍
  • 食べログ: 3.2倍

なぜAIモードはSNSを重視するのか?

Ahrefsの分析によれば、AIモードは「コンシェルジュモデル」として設計されており、以下の特徴を持っています。

✓ リアルタイム性の重視 最新のトレンドやユーザーの生の声を優先的に引用

✓ 多様性の確保 一つの正解を提示するのではなく、複数の視点を提供

✓ 商業的情報の充実 Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなどEC系ドメインも2.7〜5.3倍優位

一方、AI Overviewsは「図書館モデル」として、医療情報(2〜4.6倍優位)や教育コンテンツ(2〜3.7倍優位)など、E-E-A-T(専門性・権威性・信頼性)を重視する傾向が強いことも明らかになりました。

デジタルマーケターへの実務的示唆

この調査結果が意味するのは、AI検索時代において、SNSコンテンツ戦略が必須になったということです。特に以下の業種・領域では、AIモード対策としてのSNS強化が急務です:

  • EC・通販事業者
  • 飲食・グルメ関連
  • トレンド性の高い商品・サービス
  • ユーザーレビューが重要な業態

逆に、医療・健康・教育などのYMYL分野では、引き続きAI Overviews向けの専門性・権威性の強化が優先されます。

重要なのは、自社のビジネス特性に応じて、どちらのAI検索システムを優先すべきかを見極めること。そして次章で解説する通り、そのSNS施策の効果を正確に測定するための新しい手段が、ついにSearch Consoleに実装されたのです。

Search Console新機能で実現!ソーシャルチャネル経由の直接流入が測定可能に

前章で解説したように、AIモードがSNSコンテンツを大量に引用する時代が到来しました。そして2025年12月、Googleはこのトレンドに呼応するかのように、Search Consoleに「ソーシャルチャネル」機能を追加しました

参照元:Search Console にソーシャル チャンネルを導入

これまで見えなかった「SNS→検索」の動線が可視化

この新機能により、以下のソーシャルメディアプロフィールからの検索流入が、Search Console上で直接測定できるようになりました:

  • YouTube
  • Instagram
  • TikTok
  • LinkedIn
  • その他、ウェブサイトに関連付けられたソーシャルプロフィール

重要なポイントは、これらのソーシャルチャネル経由の流入が、従来の検索トラフィックと同じように「インプレッション数」「クリック数」「CTR」「平均掲載順位」として測定できるようになったことです。

従来の測定方法との決定的な違い

項目 従来の課題 新機能で解決
プラットフォーム識別 Google Analyticsでは「social」として一括集計  プラットフォーム別に流入を分離(YouTube、Instagram、TikTok等)
流入経路の可視性 どのSNSプラットフォームから検索結果に来たか不明確 検索クエリごとのパフォーマンス測定が可能
Search Console連携 Search Console上では追跡不可能 オーガニック検索との統合ビューで一元管理

しかし、ここで重要な問題が生じます。この新機能で測定できるのは、あくまで「ソーシャルプロフィールから直接検索結果に来た流入」のみ。

実務において本当に知りたいのは、「TikTokでバズった結果、何人がブランド名を検索したか」といった間接効果ではないでしょうか。

次章では、この間接効果を測定するために、Search Consoleがなぜ最適なツールなのか、広告測定との比較を交えて解説します。

SNS施策の間接効果測定にSearch Consoleが最適な理由|広告との比較で分かる定点観測の重要性

前章のソーシャルチャネル機能は直接流入の測定でした。しかし実務で本当に知りたいのは「TikTokでバズった結果、検索が何件増えたか?」という間接効果ではないでしょうか

クライアントの本音「検索に跳ね返るならSNSやりたい」

「SNS施策の結果、検索流入が増えるなら予算を割きたい」これが最も多く聞かれるクライアントの声です。いいね数よりも、検索エンジン経由のトラフィック増加で効果を見たい企業が非常に多いです。

広告管理画面のビュースルー測定では不十分な理由

多くのマーケターが使う「ビュースルーコンバージョン」には、こんな課題があります。

  • どの経路で来たか不明(検索経由かブックマークか区別できない)
  • 入札額で変動する(意図的にインプレッション操作が可能)
  • オーガニック投稿は測定不可(広告費ゼロの投稿効果が見えない)

Search Consoleが定点観測に最適な3つの理由

理由1:検索需要の変化が”純粋”に見える

Search Consoleのデータは、ペナルティがない限り外部要因で急変しません。広告と違い、こちらが操作できないからこそユーザーの自然な検索行動の変化が捉えられます。

理由2:日別データで細かく追跡可能

過去16ヶ月分を日別で確認でき、SNS投稿前後の比較が容易です。

理由3:オーガニック投稿も測定可能

広告費ゼロのTikTokバズ、Instagramリール、X投稿など、すべての効果を追跡できます。

比較表:広告 vs Search Console

項目 広告のビュースルー Search Console
データ安定性 入札額で変動 安定
オーガニック投稿 測定不可 測定可能
時系列粒度 粗い 日別で細かい
コスト 広告費必要 無料

実例:TikTok施策後の検索クエリ変化

実際の事例を見てみましょう。ある企業(株式会社A)がTikTokで大阪支社の紹介動画を投稿した結果、Search Consoleで以下の変化が確認できました。

まず、関連キーワード「株式会社A 大阪」のインプレッションが+32.0%、クリック数が+9.0%増加。TikTok投稿の直接的な効果が数値で証明されました。

さらに注目すべきは、新規検索クエリの出現です。「マーケティング会社 A」は表示回数が+100.4%、クリック数が+70.5%増加。「Webマーケティング 大阪」も+5.0%と+58.2%の伸びを記録しました。特に興味深いのが「株式会社Aなんの会社」という検索クエリで、表示回数・クリック数ともに+79.3%増加しています。

TikTok投稿を見たユーザーが「どんな会社か?」「何をしている会社か?」と興味を持ち、後日検索行動に移していることが明確に分かります。特に「なんの会社」という検索クエリは、TikTok投稿がなければ発生しなかった検索です。これこそがSNS施策の間接効果です。

データで明確に答えられる時代が来たのです。上記の事例のように、比較機能を使えば、オーガニックなSNS投稿が検索需要にどう影響したかを定量的に証明できます。

最後に

AI検索時代において、SNSコンテンツがAI Overviews・AIモードで大量引用される今、その効果測定の重要性がこれまで以上に高まっています。Search Consoleの新しいソーシャルチャネル機能により、SNSプロフィールからの直接流入が測定可能になりました。さらに重要なのは、従来の広告測定では捉えきれなかった間接効果を、Search Consoleなら定点観測できることです。

入札額で変動する広告データと違い、Search Consoleの検索データは純粋なユーザー行動の変化を映し出します。TikTok投稿後に「なんの会社」という新規クエリが出現するような、SNS施策がもたらす興味喚起も数値で証明できるのです。

「SNSやったら検索に跳ね返るなら予算を割きたい」というクライアントの声に、Search Consoleのデータで明確に答えられる時代が来ました。無料で使える最強の効果測定ツールを、今すぐ活用しましょう。

上部へスクロール