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Google広告の地域データがズレる理由|3つのレポートの使い分けと実務での注意点

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記事サマリー

この記事を読んでわかること

    • Google広告の地域ターゲティング2つの設定の違い

こんな方へオススメの記事

    • ホテル・旅行など遠方集客がある業種の担当者

この記事を実践するための準備

    • Google広告の管理画面へのアクセス権限

Google広告の地域ターゲティング設定の違いを理解する

Google広告の地域ターゲティングには、主に2つの設定オプションがあります。この設定によって、どのユーザーに広告が配信されるかが大きく変わります。

「所在地やインタレスト」(デフォルト・推奨)

対象地域にいるユーザー、対象地域をよく訪れるユーザー、そして対象地域に関心を示したユーザーに広告が表示されます。たとえば、東京を配信地域に設定した場合、東京にいる人だけでなく、神奈川に住んでいて「東京 レストラン」と検索している人にも広告が届きます。

「所在地」

対象地域にいるユーザーと、対象地域をよく訪れるユーザーのみに広告が表示されます。関心を示しただけのユーザーは除外されるため、配信範囲は狭くなります。

参照:地域ターゲティングの詳細設定

キャンペーン設定がレポートに与える影響

ここで重要なのは、この設定がそのまま地域レポートに反映されるという点です。「所在地やインタレスト」で配信している場合、地域レポートには配信地域以外の地名が多数表示されることがあります。たとえば横浜市で宿泊施設を運営しているクライアントが東京のみで配信していても、群馬県や栃木県のデータが地域レポートに出てくる——これは設定ミスではなく、それらの地域にいるユーザーが横浜の宿に関心を示したためです。

Google Analytics4のIPベース判定との違い

Google広告の地域レポートとGoogle Analytics(GA4)の地域レポートでは、判定基準が根本的に異なります。

GAの地域レポートは完全にIPアドレスベースで、ユーザーが実際にアクセスしている物理的な所在地のみを記録します。「関心対象地域」という概念は存在しません。

一方、Google広告は所在地に加えて検索語句や過去の行動履歴から「関心」も判定するため、同じ「地域レポート」という名前でも、見ているデータの性質が全く異なります。この違いを理解していないと、クライアントへの報告時に「広告とGAで地域の数字が合わない」という疑問を招くことになります。

参照:ユーザーの所在地と関心対象地域を判別する方法

地域レポートの3つの見方とクライアント報告での使い分け

Google広告の管理画面には、地域に関する3つのレポートが用意されています。それぞれ異なる視点でデータを表示するため、目的に応じて使い分けることが重要です。

1. 地域(ユーザーの所在地)

ユーザーが実際にいる場所、またはよく訪れる場所のみが表示されます。「所在地やインタレスト」で配信していても、このレポートには関心対象地域のデータは含まれません。純粋に「どこにいる人に広告が届いたか」を知りたいときに使います。

使い方: 実店舗を持つクライアントで、実際の来店可能エリアからの反応を見たい場合や、配信地域を絞り込む判断材料が欲しいときに有効です。

2. ターゲットの関心対象地域

対象地域に関心を示したユーザー(別の場所にいる)のデータのみが表示されます。たとえば東京で配信している場合、大阪にいるユーザーが「東京 ホテル」と検索して広告をクリックしたデータがここに出てきます。

使い方: 旅行関連、不動産、教育など、遠方からの問い合わせが見込めるビジネスで、どの地域から関心が集まっているかを分析するときに使います。

3. 地域(一致)

所在地と関心対象地域が混在したレポートです。Google広告のデフォルト表示はこちらになっています。全体のパフォーマンスを見るには便利ですが、所在地と関心が混ざっているため、データの解釈には注意が必要です。

使い方: 全体像を把握したいときや、特定の地域名で入札単価調整を検討するときの第一段階として使います。

最後に

Google広告の地域レポートとクライアントが持つ顧客データ(宿泊名簿や会員登録住所)では、地域が一致しないことがよくあります。これはデータの誤りではなく、本質的に異なる概念を記録しているためです。広告の地域データは「広告に反応した時点での場所」、顧客データは「ユーザーの居住地」を示しています。たとえば東京のホテルで、宿泊客の住所は近郊が多いのに、広告レポートには群馬や栃木が出てくる——これは群馬にいる人が「東京 ホテル」と検索して広告をクリックし、後日予約したためです。このズレを理解せずに報告すると、データの信頼性を疑われます。しかし逆に、配信地域外からの関心を可視化できるこの情報は、新たな商圏開拓のヒントになります。クライアントには事前にこの仕組みを説明し、関心対象地域データの価値を伝えることが重要です。

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