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記事サマリー
この記事を読んでわかること
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- GCLID依存のリスクとプライバシー保護に対応した新しい広告計測アプローチ
こんな方へオススメの記事
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- Google広告運用者・Webマーケティング担当者
この記事を実践するための準備
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- Google広告アカウントと計測タグの設定権限
目次
Google広告計測におけるGCLID依存の課題
デジタル広告の効果測定においては、正確なデータトラッキングが不可欠です。多くの広告主がGoogle広告を活用していますが、その計測システムはGCLIDと呼ばれる識別子に大きく依存しています。この依存関係が現在、大きな課題となっています。
GCLIDとは?
Google クリック ID(GCLID)は、広告がクリックされた際にURLに自動的に付与されるパラメータです。Googleによると「広告に関連付けられたキャンペーンやクリックの属性を識別できるため、広告トラッキングとキャンペーンのアトリビューションが可能になる」ものと定義されています。
Google広告でこの機能を利用するには自動タグ設定をオンにする必要があり、これによってウェブサイトコンバージョントラッキングやGoogle広告とGoogleアナリティクスのデータ連携が実現します。さらに、オフラインコンバージョントラッキングなどの機能と組み合わせることで、広告効果の詳細な分析が可能になります。
GCLIDはランディングページからサンクスページまで「引き回し」、コンバージョン発生時に広告クリックデータと紐付けることで、どのクリエイティブ、キーワード、バナー、ランディングページが効果的だったかを正確に把握することができます。これによって広告運用の精度向上や投資対効果の最適化が実現していました。
SafariのプライベートモードなどではすでにGCLIDが自動的に削除される仕様
SafariのプライベートモードなどではすでにGCLIDが自動的に削除される仕様となっており、コンバージョン計測ができない状況が発生しています。現状では約5〜10%のトラフィックでGCLIDが欠損していると言われており、この数字は今後さらに拡大する可能性があります。
こうした変化は、プライバシー保護を重視する世界的な流れの中で起きています。特にAppleはプライバシー保護に積極的であり、SafariブラウザやiOSにおけるトラッキング制限を段階的に強化しています。今後は他のブラウザにも同様の制限が広がり、通常のブラウジングモードでもGCLIDが自動削除される可能性が高まっています。
この状況は広告運用者にとって深刻な課題となっています。GCLIDが欠損すると、広告クリックとコンバージョンの因果関係が把握できなくなり、どの広告施策が効果的だったのかを正確に判断することが困難になります。特に機械学習を用いた広告の自動最適化においては、精緻なコンバージョンデータが不可欠であり、データ欠損はパフォーマンスに直接影響します。
プライバシー保護とコンバージョン計測の両立に向けた新たなアプローチ
プライバシー保護の重要性が高まる中で、広告業界は新たな計測手法を模索しています。
一つの例として、URLパラメータに「gad_source=1」のような識別子を付与する方法があります。これはGCLIDと異なり、広告からのトラフィックであることを示すだけで個人を特定するものではありません。こうした方法によって、プライバシーを守りながらも広告効果測定の精度を維持することを目指しています。
また、ファーストパーティデータの活用やサーバーサイドの計測技術、プライバシーサンドボックスなどの新技術も注目されています。これらは個人のプライバシーを尊重しつつ、マーケティング活動に必要なデータを収集するバランスを取るための取り組みです。
具体的には「リード拡張コンバージョン」などの新しいソリューションを提供し始めており、個人を特定せずに広告効果を測定する方法を模索しています。リード拡張コンバージョンについては、また違う機会に説明をします。
最後に
デジタル広告の計測環境は、プライバシー保護の流れを受けて大きく変化しています。GCLIDに依存した従来の計測方法では、Safariのプライベートモードなどで5〜10%のデータ欠損が発生しており、今後さらに拡大する懸念があります。広告効果の正確な把握とプライバシー保護を両立させるためには、「gad_source=1」のような新たな識別子の活用や、リード拡張コンバージョンなどの代替手法が重要となってきます。広告主は計測手法の多様化とファーストパーティデータの強化に取り組み、変化する環境に適応していくことが求められています。しかし法務部の壁を破るのは日本市場ではとても難しいのも事実です。

Web業界にて20年以上、大手から中堅代理店の顧問を請負。デジタルマーケティングを中心に、主に広告関係の教育や研修、コンペの相談に乗っています。またSEMのお役立ちツールもスクラッチで開発。現在も電通グループの顧問、Shirofuneのアルゴリズム作成補助など担当しています。皆さまに心から信頼されるパートナーであり続けるために日々研鑽しております。皆様に直接お会いし、お話しできる機会がありましたら、SEMの運用コンサルから無料相談まで、ぜひお気軽にお声がけください。